わたしの履歴書(9)資格と実務は大きく違う
会社情報
業 種:行政書士事務所・法律事務所
職 種:事務補助
規 模:10名以下
在籍期間:半年程度(アルバイト)
これまでの経緯
新卒でシステム開発会社に入社したものの、業務が理解できず2年で退職。その後は美術・音楽・建築といった芸術系の仕事に携わりましたが、非正規の期間限定だったり、正社員で採用されても心身の調子を崩したり。
とにかく仕事をしなくてはと、カード会社のコールセンターでオペレーターに。上司の信頼も厚かったものの、不安定な派遣社員の身分から脱するため、行政書士の勉強を始め、合格を目指し退職。
勉強は得意です
勉強だけに集中する日々を送れば、さすがに実力がつくというもの。2度目の受験で行政書士試験に合格しました。ついでと言っては何ですが、ビジネス実務法務検定3級試験や簿記検定3級にも挑み、無事合格。元々勉強が得意なのだと思います。しかも資格試験の場合、合格までという決められた期限だけがんばればいいのだし、結果が明白なので性に合うようです。
行政書士としてやっていけると思っていました。だって試験に合格したのですから。ただ、実際にどのように業務を行えばいいのか、全く分かりません。まずはノウハウを学ぼうと、行政書士事務所や法律事務所などのいくつかの事務所でアルバイトをすることにしました。
いざ実務に携わってみたら・・・
すると、行政書士事務所ではあまりの仕事のなさに愕然とし、自分で事務所を構えることなどできるのかと不安に。法律事務所では何の説明もなく、入社翌日に遠方の法務局に行くように言われ、訳が分からず法務局の事務の方に一から教えてもらい、なんとか書類を持ち帰ることができたり。女性事務員からは、結構ないじめも受けました。
いざ実務を経験した結果、自分が考えていたのとは、どうも違うのです。仕事の内容や、そこで仕事をする人たちと、どうも合わないのです。それは明確な言葉で説明できる違和感ではないのですが、「何か違う。これではない。」という直感でした。せっかく勉強したのに・・・とは思いましたが、こういう直感こそ確かなもの。行政書士会への登録はしないことに決めました。
行政書士の実務を知らず、都合のいいように頭で考えて、合格すれば大丈夫と考えていたのですが、どうも違っていたようです。私はただ、知らないことを知ることが楽しくて、勉強に打ち込んでいただけなのです。またもやハイ状態、「資格ハイ」です。頭で考えてばかりでは本当にいけません。
その後、弁護士、司法書士、税理士、行政書士といった士業の方とお仕事をしたり、相談したりする機会がたびたびありましたが、あの時の私の直感は当たっていたと思いました。トラブルの渦中に飛び込む根性が、私には明らかに欠けていると痛感したからです。
人生に無駄なし
資格試験の勉強をしていると、合格しか見えなくなることがあります。資格は取得がゴールではなく、そこからがスタート。その資格の実務に自分が本当に向いているのかどうかよく見極めてから、資格取得の勉強を始めるのが常道でしょう。ある資格を取得したいと思ったら、まずアルバイトで経験し、これは面白い、自分でもやってみたいと思ったら、本格的に資格取得の勉強に取り組むというのが、正しい順序に違いありません。
足掛け3年、行政書士試験のことばかり考え、お金も時間も費やしてきましたが、結局モノにはなりませんでした。でもそれは新しい知識がどんどん増える楽しい時間でしたし、憲法を始めとする法律知識は、今もふと役に立つことがあります。
人生に無駄なことなど、何ひとつないのです。