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定点観察しながらの伊勢神宮参拝記

 立春を過ぎると伊勢神宮に参拝し、ご祈祷をお願いするようになって、もう15年以上でしょうか。自分なりのコースがすっかり出来上がり、定点観察化しています。穴場情報もありますので、今回は私流の伊勢神宮参拝記をご紹介しましょう。

 伊勢神宮を初めて訪れたのは小学校の修学旅行。当時の神戸市立の小学校はみんなそうだったんじゃないのかな。その時に近鉄特急で宇治山田駅に降り立って以来、伊勢は近鉄で行くもの、という思い込みが出来上がりました。外宮のある伊勢市駅へはJRでも行けるのですが、やはり近鉄特急に乗ってしまいます。朝から焼肉の香り漂う鶴橋駅でJR環状線から近鉄に乗り換えると、伊勢に行くんだ!という気持ちが高まりますね。

 大阪から奈良を越え、榊原温泉口駅の向こうに見える巨大な自由の女神像に「なんやねん、あれ?」と例年通りひとりごちているうちに三重。平日なので車内はガラガラ、シートをマックスまで倒し、快適な近鉄特急の旅を満喫です。

 伊勢市駅に到着し、ならわし通り外宮から参拝します。しかし本当にきれになりましたね、外宮の参道。おかげ横丁やおはらい町の整備が進んだ内宮の参道に比べ、外宮の参道はなんだかちょっとうらぶれていて、だからこその良さもあったのですが、近年すっかりきれいになりました。 

路面も店舗も門前町らしくなりました。
【定点観察ポイント1】
がんばってずっと営業を続けてほしいお店。
【定点観察ポイント2】
この旅館の動向も毎年気にかかります。

 外宮参道の定点観察ポイント2か所をチェックし、今年も変わりないことに安心し、外宮へと向かいます。

 大寒波のため参道では震えていたにも関わらず、鳥居をくぐったとたんに体内が温まり、寒さを感じなくなるのが不思議です。これは毎年のことなので、外宮とは相性がとてもよいのかもしれません。 

虹が写り込み、歓迎して下さっているのだと
嬉しくなりました。 
灘の酒「白鷹」を御料酒にして下さっているとは、灘の民として誇らしい。

 鳥居をくぐった先は畏れ多くて写真は撮らない主義のため、画像はありませんが、正宮である豊受大神宮を参拝し、荒御魂(あらみたま)をお祀りする多賀宮に手を合わせ、心が安らぐのを感じます。

 さてここからはバスで内宮に向かうのですが、その前に猿田彦神社へご挨拶。みちひらきの大神ということで、これからの人生もよい方向へお導き下さいまし。

「さるたひこ」というお名前は愛嬌があって
いいですねぇ。

 と、ここで、早めのランチタイムです。おはらい町に行くとどのお店も混んでいるため、猿田彦神社から徒歩5分の「五十鈴川 野あそびどころ」にある「野あそび棚」というお店で腹ごしらえをするのが定番になりました。
ここはおはらい町の端っこなので人も少なめ。ゆっくりできる穴場です。

豚の角煮の定食を。
かまど炊きのごはんがおいしい。

野あそびどころには、この人が!
同世代の関西人なら、ピンときますよね。
さあ、皆様ご唱和下さい。
「伊勢の名物、赤福餅はえーじゃないか」

 「野あそび棚」ももちろんおいしいのですが、10年ほど前は「こじはん」というお昼の定食を出してくれるお店に行くのが楽しみでした。でもお店がなくなってしまったんですよね。

 地元のお母さん方が作ってお給仕もして下さる、ごはんと季節の汁物とおかずの、素朴だけれども味わい深いお昼ごはんが気に入って、毎年お邪魔していました。おはらい町のカルチャーセンター「五十鈴塾」が運営されていたと思うのですが、なんとか復活していただけないものでしょうか。

五十鈴塾は健在です。風情のあるいい建物。
「五十鈴塾」の隣のスペースを使って
「こじはん」を提供して下さっていたはず・・・。

 お腹も満たし、おはらい町の定点観察をしながら、内宮へ向かいます。

【定点観測ポイント3】
おはらい町にスタバ誕生。

 そして内宮へ。鳥居をくぐった先は畏れ多くて写真は撮らない主義のため、画像はありませんが・・・と言いたいところですが、差し障りのない範囲で数枚ご紹介を。

いつ見ても立派な鳥居。
脇にある衛士見張所ではペットを預かるため、
犬の鳴き声がワンワン聞こえていたりします。

 五十鈴川にかかる宇治橋を渡ると、伊勢神宮に来たぞという気持ちが高まります。五十鈴川で手を浄め、五十鈴川の守り神である瀧祭神に手を合わせ、砂利を踏みしめつつ鬱蒼とした森の奥へ奥へと進みます。大木に抱きついてパワーをもらっている人も、最近は減ったようですね。

【定点観察ポイント4】
五十鈴川の水量も今年はまだ多い方ではないかと。
投錢も少ないようでした。
メダカのような小さな魚がいっぱい。

 正宮である皇大神宮を参拝し、荒御魂(あらみたま)をお祀りする荒祭宮にお参りを。荒祭宮へと下る石段で転ぶと禍があると聞いたことがあるのですが、京都の三年坂のようなものでしょうか。

荒祭宮へと向かう下りの石段。
熊野の石段で鍛えられたので余裕ですね。

 さてメインイベントのご祈祷へ。申込をして待合所で15分ほど待つと、御饌殿に呼ばれます。いつもだいたい20名くらい合同でご祈祷を受けますが、神職が読み上げる祈祷を受ける人の住所を聞いていると、やはり伊勢神宮、遠くから参拝に来られているんだなといつも感心します。そういえば以前に、フランスの住所も聞いたっけなぁ。 

御饌殿の脇にて。
鷹の牙城に必死に食い込もうとする鹿と鶴。

 ご祈祷を終え、新たな年を迎えた清々しい気持ちになりました。大役を終え、ほっとした気分です。

 帰りの砂利道を歩きながら、昔はとてもきれいなニワトリが放し飼いにされていたのに、最近見かけなくなったことに気付きました。検索したところ、神様のお使いだそうなのですが、飼育しているわけではなく、自然にいなくなってしまったという記事を見かけ、ひょっとしてどこぞの不届者が盗ったのではないかと、よからぬ想像をしてしまいました。

 神域を後にすると、頭の中は赤福でいっぱい。さあ、赤福本店で赤福ぜんざいをいただこう。

【定点観察ポイント5】
いつもながらにおいしく、体も温まります。
でも、値上げされました?
やはり本店の建物は趣深い。

 そしてお土産のお買物。やはり赤福と、伊勢うどんは持ち帰りたい。そして最近のお気に入りは、赤福ほうじ茶。お店で出しておられるほうじ茶なので、赤福の甘さと合う合う。

 内宮からの帰りは五十鈴川駅が最寄駅なのでしょうが、宇治山田駅から近鉄特急に乗りたくなるのは、修学旅行以来の刷り込みでしょうか。 
 心もお腹も満たされ、うとうとしながら幸せな帰路につきました。今年は熊野も伊勢も行ったことだし、大きく踏み出せそうな予感がします。

 ご祈祷の内容は、判を押したように毎年「心願成就」です。「心願」とは「心の奥に秘めた願い」だそうなのですが、「願い」の内容は毎年変化しています。「心願」にはその時々の状況や切なる思いが、大きく反映されているようです。

 私なりのいつもと変わらぬ伊勢神宮参拝記、いかがでしたでしょうか。定点観察ポイントは数々あれど、「心願」を通して知る自分の心が、最大の定点観察ポイントなのかもしれません。

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みのむし庵主の1K日記
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