タネを守ることは、未来を守ること
昔々、世界中の農家さんは、
自家採種をしていた。
自家採種とは、
毎年、種を買うんじゃなくて、自分の畑で、
野菜を収穫せずに、そのまま土に置いておくと野菜は子孫を残そうと、花を咲かせる。
その花はやがて実を結び、種になる。
その種を大切に保存して、
次の年に自分の畑に種をまく。
よその土地から来たタネであっても、
その土地で、育ち、花を咲かせ、
子孫を残せば、年々その風土にあうように
なっていくという。
そうやって、その土地固有の野菜が、
世界各地に生まれていった。
そう、そうやって、毎年タネは命を繋いでた。
昔は。
ところが、人は、F1(エフワン)というタネを
作ることに成功してしまった。
このF1というタネの野菜は、子孫を残すことができません。
タネをまいたその年で、命が尽きてしまう、
死んだタネなのです。
子供を授かりたいと願っているのに、
子供ができない。
不妊で悩んでおられるご夫婦がたくさんいると
聞きます。
今、日本のスーパーマーケットに並んでいる
野菜はほとんど全て、このF1の野菜でしょう。
ホームセンターなどで、売られているタネも、
ほぼすべて、F1のタネだと思います。
子孫を残すことができない、死んだタネから
生まれた野菜を、みんな喜んで食べている。
そんな死んだ遺伝子の野菜を
毎日食べていたら、自分の遺伝子もおかしくなっていく。
だから、子供ができないんじゃないか?って
考えてもおかしくないと思います。
F1の野菜と不妊の因果関係が証明されているわけではありませんが。
だからといって、F1の野菜が全て無くなって、固定種の野菜だけになるとしたら、とてもじゃないですけど、1億二千万人の日本人の食べる野菜を二百万件の農家さんではまかないきれないと思います。
自給率が低いですから。
みんな自分の食べる野菜を、自分で育てようなんて思ってないですもんね
固定種の野菜は
大規模な農業に向いていません。
種によって、育つスピードが違ったりします。
人間の子供と似ています。
おっきい子もいれば、ちっさい子もいる。
だから、一辺に収穫はできないのです。
おっきくなったら収穫していく。順番に。
だから、家庭菜園に向いているんです。
固定種の野菜は。
そして、固定種の野菜は来年のために種を実らせないといけません。
だから、しばらく畑にそのまんま置いとかなければいけません。
なので、収穫が終わっても、
次の野菜の種をまくことができないので、
畑の回転率が悪いのです。
一方、F1の野菜は、育つスピードがほぼ一緒なので、一辺に収穫ができて、来年のためにタネを実らせることができないので、畑が空いて、次の野菜のたねをまくことができます。
なので、畑の回転率は良く効率はよくなります。
だから、ほとんどの農家さんは、
F1のタネを使わざるをえない状況になっているのだと思います。
そうしないと、
固定種のタネでは効率が悪くて、
農家さんが食べていけませんから。
この本、「タネが危ない」の著者、
野口 勲さんが営んでおられる野口種苗は、
固定種のタネを販売して下さっています。
いつもありがたく買わせて頂いています。
「同じタネを、2回は買わないで下さい。」
と、野口さんは仰っているそうです。
一回そのタネを買ったら、永遠にタネをとりつづけて下さい。
と、いう事だと思います。
自分の子供にもタネをとるように教えて下さい
と、いう事だと思います。
一人でも多くの人が、固定種の野菜を、
自分で育てること。
自分の食べる分と、
あなたのまわりにいる愛する人たちの分。
それだけでいいと思います。
そしたら、野菜の未来、私達の未来が、
少しだけ明るくなると思うんです。
タネを守ることは、未来を守ること。
そーすれば、野菜も子孫を残すことができる。
そして、私達も同じ様に。