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それは、ふわっと 祈る

近所に神社がある。
1870年の歴史をもつ由緒ある神社だ。
1870年?卑弥呼より昔の話だ。
中国では黄巾の乱も起きちゃいない。

日本で最も古い神社は2600年前だ。
中国だと春秋戦国時代。孔子がいた時代。
すでに戦乱がおき歴史に残る聖人がいる。
中国すげえけど、いまは関係ない。

さておき、そんな昔からあることは眉唾ものだけど、とにかく物静かな雰囲気が好きで僕はよく通っていた。

あの日までは

そうあの日、あの日だよ
なんて、エピソードは残念ながら何もない。
近所に歴史のある神社があるただそれだけだ。

以前、友人が重い喘息になった。
なにかできないかなあ。と考えた結果、由緒ある神社が近いから頼まれてもないのにお百度参りをすることにした。

そのときの話。

お百度参りって知ってる?
知ってるっていても、やったことあるって人、少ないんじゃないかな。

3月1日
1日からだと数えやすい。今日からはじめよう。
あさ6時、神さま こんにちは。日春市の高山です。いつもありがとうございます。

なんせ、勝手がわからない。
お百度石はこれか。ここをぐるぐる1日で百回まわるか百日かけて通うか。そりゃ百日きますよ。

誰と話しているわけでもないけれど。
「神さまもそりゃ難易度の高いほうを応援するよね」とつぶやいていた。

3月10日
雨の日も風の日も毎朝6時に参拝している。
ただいつも一人じゃない。参拝してる方ってこんなにたくさんいるんだ。とワクワクした。
というのは話半分。毎朝6時は無理だった。
昼や夜に通ったり時間はバラバラになっていた。

3月19日
ヤバい!忘れてた。ただいま23時47分。
急いで神社に走る。真っ暗闇。超怖い。
こんな時間にくんな。そりゃそうです。
めっちゃ怒られた。でも、忘れたらイチからね。
と決めたのは神さまですからね。当たらないで!

3月25日
おはようございます。の挨拶が「いってきます」
こんばんはの挨拶が「ただいま」にかわった。
「今日は不在ですか?お忙しそうですね」
そんな会話が始まった。もちろん脳内の妄想。
お詣りのあいだ、言葉を発してはいけません。

4月1日
神さま相手につくウソもなくて、お朔日参りを真面目にやってみた。福沢諭吉を備えようと思ったけどもったいなかったから渋沢栄一の切り抜きにしといた。だれでもわかるただのウソ

4月19日
50日を過ぎた。あっ。高山です。今日はご不在でしたか。また、明日あらためます。明後日も明明後日もあらためます。お会いしてくれるまで諦めませんよ。なんて独り言を唱えてた。

そばから見れば怖い人かもしれないけど。
まわりはみんな毎日通う顔見知りばかりさ。
と言いたいところだけど、出会う人が同じ人なのかどうか全く覚えられない。

4月30日
61日目。もう何も言わなくても伝わる気がして無言で立ち去った。

5月1日
世間はメーデー。メーデーのことはよく知らないので僕とってはお朔日参りさ。お勤めごくろうさまです。あれっ。入れ替わってる!なんてことはおきるはずもない。

5月5日
こどもの日、子どもも一緒にお詣り。
「今日は神さまいるね」
「わかるの?」
「うん。感じるやん。パパも感じるでしょ」
「そうだね。」
60日を超えてつかんだ感覚を1日で越えてくるのはやめてほしい。
今日は間違いなくおられる。それは知ってる。アムロかよ。

あっ。お百度参りの途中で話してしまった。
まあ、いいよね。

5月10日
よく会うおじいちゃんがあまりにキャラクターっぽいので実は神さまなんじゃないの?
と疑ってみたけど自転車にのってたんでたぶん違う。神さまは自転車には乗らない。

5月13日
土砂降りすぎて、わざとらしく濡れていった。
こんな日でも
「かさささずかかさずきました。」
そういうのいいから。
そこまでクルマできたこと見え見えやで。
傘をさしていても神さまは怒らない。

6月1日
気がつけば、あと一週間。
だんだん寂しくなってきた。
神社の人とも親しくなった。毎朝している掃除に機会があれば参加してみたいと思った。
ただ、その機会が永遠にやってこないことはここまで通って研ぎ澄まされた感覚おかげでわかる。
ところで、神さま、どちらまで最近見かけませんね。

6月8日
100日目、朝6時、いつもの道を歩いていると前に大学生ぐらいの女性が二人歩いている。
初めてみる人だな。若い子でも参拝するのね珍しい。
あとについて、神社の角を曲がった。

消えた。

たった、2メートルまえを歩いていた女子大生は神社の角を曲がって消えた。

社務所までは10メートル、境内まで30メートル
他に入るところはない。

出かけるときは、お若い姿になるんですね。
100日目の境内からの感じたことのないチカラに身体が震えた。

御祭神は伊弉冊尊(いざなみのみこと)、大日孁尊(おおひるめのみこと、天照大神)どちらも女性の神さま。

友人の喘息は、なぜかなおったようだ。
最近、若い女子大生二人とであったりしなかった?
ときいてみたが、出会うわけないだろ。会社にも若い子はいねーわ。
と余計なことまで教えてくれた。

ことの顛末を話すと
まあ、西宮戎よろしく神社の角を曲がった瞬間
二人福女選びでダッシュして消えたんだろうね。
と言っていた。

お百度参りについては、
ひまなの? の一言だった。

喜んで泣いてもいいんだよ。
まあ、作り話じゃなけりゃね。

たしかに!!





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八田 零 ∣ゼロ
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