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【キャリア教育】どうしてフィリピンに鉛筆を届けるの?社会課題解決を考える授業

1 自己紹介

私は「社会と学校をつなぎワクワクを作る」合言葉にゲストティーチャーと協働した授業を行っている公立小学校教諭です。ゲストにしか話せない言葉を引き出し、ゲストだからできる活動を考え、ゲストと共にオンリーワンの授業づくりをしています。

2 今回の授業は?

今回は、フィリピンやカンボジアに日本で不要になった文房具を届ける活動を行っている一般社団法人casaさんとキャリア教育の授業を行いました。特別講師としてcasa代表の小澤真紀さんにオンラインで登壇していただきました。

3 授業での工夫

子どもたちに小澤さんの行動力を実感してもらうために「友人からメッセージをもらった際、自分だったらどんな行動をするか?」を児童に考えさせました。
また、小澤さんが実際に海外で活動した様子の動画や写真をたくさん見せてもらいました。さらに、小澤さんが行っているエンピツプロジェクトというワークショップを子どもたちも行うことにしました。

授業で行った3つの工夫(画像は本人が作成)

4 どんな授業だったの?

・学年 第4学年
・教科及び領域 総合的な学習の時間「職業調べ」(キャリア教育)
・ねらい 一般社団法人casaの不要な文房具を海外に届ける活動、
アップサイクル活動を理解する。(知識及び技能)
casaの活動内容や活動している方の思いを整理し、自分の考えをまと
める。(思考・判断・表現)
自分の未来の姿を考えようとする。(主体的に学習に取り組む態度)
・授業展開
まず、「私の教え子の中に貧しくて文房具を十分にそろえることができない子どもたちがいて、少しでも彼らの学習環境が良くなるように、力を貸して欲しい。」というメッセージを紹介。
その後、以下の発問をしました。
発問 みなさんなら、このようなメッセージを受けた後、どのような行動しますか?
子どもたちは、自分で集めて送る、友達に協力してもらうという意見を言っていました。
そのメッセージを受けて、不安の中、エンピツプロジェクトを立ち上げたことを話していただきました。
その話の中で小澤さんが
「自分のやりたいことを様々な人に相談することで実現した。一人でやろうとせずに、色んな人と協力することが大切。」

画像は本人が作成

という話をしていただきました。
小澤さんは、フィリピンから帰国した後、自分のやりたいことを周りの方に相談したそうです。その中で協力してくれる人と出会うことができたそうです。小澤さんの「これをやりたい!」という芯の強さと、みんなを巻き込んでいく力が表れているエピソードだと感じました。
子どもたちは「すごいなぁ。」「自分だったらそんな行動力ないなぁ。」と話していました。

さらに、短い2本の鉛筆を専用の鉛筆削りを使ってつなぎ合わせ、新しい鉛筆を作る「アップサイクルエンピツ」という企画を紹介していただきました。鉛筆作りに取り組んでいる日本の他学校の子どもたちの写真を見せていただきました。子どもたちが「先生、私達もやりたい。」と反応したので、次時に小澤さん指導の元、アップサイクルエンピツを作りました。

画像は本人が撮影

子どもたちは、実際に手を動かして活動することで、より楽しく、活動内容について理解できたと思います。

児童の振り返り
・困っている人がいたら助ける精神で大人になったら小澤さんのような活動をしてみたい。
・もし自分が小澤さんの立場だったら、エンピツプロジェクトはできなかったと思う。小澤さんの行動力はすごいと思いました。
・別なエコ活動もやってみたいと思った。
・私も海外に行って小澤さんみたいに活動してみたい!!

児童の感想をもとに著者が編集

5 まとめ

鉛筆をフィリピンに送る。という活動を知るだけではなく、その活動の始まりや想いに触れることで、社会課題解決という取り組みについて理解することができました。また、体験活動を取り入れたことで「自分たちにも社会課題解決ができる」という自信が生まれ、より主体的に活動してみたいと感じた児童もいました。
小澤さんの「たくさんの人たちに相談して夢を実現する」という言葉は、こどもたちにとって新しい視点だったようです。行動力というのは、夢に向かって自分が努力するだけではなく、人との出会いを大切にして、その方たちを巻き込む力も含まれていると私自身も考えさせられた授業になりました。
オンラインを屋外から繋いで授業をしてくださりました。東京都庁を背景に海外での活動を語る小澤さんに、子どもたちは「格好良い」と素直に憧れていました。私はこういったあこがれもキャリア教育の大切な要素だと思います。

今回、協力いただいた一般社団法人casaさんのnote「casa STATION」 はこちら


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