記者発表を行いました
「みんなの飯高」として飯高町の風力発電事業計画の環境配慮書に対する多くの意見書を集め、まとめたことを松阪市の記者クラブで発表しました。
(仮称)三重松阪蓮ウィンドファーム発電所計画についての勉強会を8/17、18に行って65名の参加があり、137の疑問が上がったこと。そこから事業者に対しての意見書を書くこと、発信すること、交流することを目的に動いていったら、沢山の声が集まったこと。1060通のうちの一部(737)を集計して共有できるものにしてきたこと。それに対しての質疑応答でした。
当初から大きく取り上げてもらおうとか、反対の声を集めようと意図していたわけではありません。「ちゃんと自分の意見を持とう」という流れで意見書を集めていたら、本当に沢山の優しい想いや心配の声がありました。事業者さんが集計してくれるのだろうけれど、公表まではしてくれないかもしれない。声を届けてくれた人や、飯高を想う人に、沢山の声を伝えたい。途中からそう思って記録を残しました。
数として把握しているのは1060通。そのうち737通をまとめたことを発表したのです。これまで新聞に取り上げられたのは把握している限りでは、飯高地域に大規模風力発電所の計画があること、この事業についての松阪市での環境影響評価委員会のこと、大台町長と松阪市長が県知事に意見を出したこと、日本自然保護協会が意見書を出したこと、新聞記者さんによる社説などでした。8月半ばから多方面から関心を寄せられながらも、どんな記事が書かれてしまうのか不安だったのもあり、地域の分断につながっては本当に困るので、取材などはしてもらわないようにしていました。
関心を持ってくれている記者さんたちにそろそろ地元の声を届ける時期がきていて、今回集まった意見は大事にしたいと思って声を掛けました。告知していたこともあり、新聞社6社とお話することになりました。
「みんなの飯高」スタンスは変わらず、「飯高町全域に関わるこの風力発電事業計画をきっかけとして、これからの飯高がどうなっていくのかをみんなで考えて行動していきたい」なのです。これは本当にわかりにくく、伝わりにくく、報道しにくいのです。わかってはいたけれど、あまりにもわかってもらえなかったかなというのが初対面での感覚でした。お互いなんだか難しい中でしたが、事実は伝えられたかなと思います。
報道としては「市民団体が反対声明」とか「事業中止を求めて決起集会」とかが好ましいのでしょう。何も知らない人が見て気を引くのはわかりやすい話です。そうではなくて、事業者にももっとよくこの地を知ってほしい。先人が守ってきてわたしたちが愛してやまない環境を、積極的に活かして守っていきたいという感覚は、ニュースとしては弱いです。どこもそうではないか。で、何するねんという流れになるのが見えている。
とういわけで、今回の発表を受けての記事は、全部は見ておりませんが概ね「9割が反対意見」との見出しで広がっています。そうには違いないのですが、体よく反対運動になってしまったかとの残念感はあって、慎重に慎重に進めてきたのに、地域に対してなんだか申し訳ない気持ちが強いです。早いうちに発表しなくてよかったともとれますが。
もし報道を見られた方がおりましたら、意見書の中身に注目してくださると嬉しいです。水質が変わる心配とか、流れが変わることへの恐れとか、住居区域と近すぎることとか、業者の進め方に対する不安とか。
住民もつながりのある人たちも本当に不安で仕方ないのです。崩れやすい山であることや、珍しい多種多様の生き物が生息する貴重な場所であることや、水源地であることなどは明らかなのに、それらを事業者はご存じでないのか。環境配慮書を一読すれば詳細に書かれているのに、そういう場所をいじることへの歯止めはないのか。工事を行えばそれだけで危険であることの想像ができていないのか。それを押してでも工事をしたい理由が本当にあるのでしょうか。まだわからないことが多いです。
事業者さんは、環境配慮書の作成も外注、意見書の集計も外注で行われているそうです。手元にあったものを見ることはできたはずなのに、目を通しているわけではないようです。確かに1000通以上に目を通すのは並大抵ではありませんし、反対意見は読むと疲れます。それでも自分たちの事業に対して書かれたものを読んで理解することはできたはずなのに。ある程度分業しなければ進まない大きな事業ではあるのですが、不安を煽るだけの仕事に未来を託して良いのかは疑問が膨らみ続けています。
これからもいろいろな報道が上がってくるでしょう。この地域のことだけでなく、再生可能エネルギーに対して日本はどうしていくのか、未来を見据えたビジョンはどうなっていくのか。まだまだ考えていかなくてはいけません。山々を、里山の風景を想う人々が不安にならない未来を築き上げていかなくてはいけません。ちっとも簡単ではないけれど、20年後もその先も、まだ生きていくのですから。
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