〈企業訪問プログラム/中村中学校・高等学校〉未来の私の名刺をつくろう
こんにちは。
株式会社レベルフォーデザイン・デザイナーの赤嶺です!
都内にある中村中学校・高等学校から、キャリア教育の一環としての企業訪問のご相談をいただき、先日8月末に高校1年生の生徒さん9名がレベルフォーデザインを訪れてくださいました。
キャリアデザインのためのイベントと伺っていたので、生徒の皆さんの就労観の醸成・進路決定の一助となるような2時間にすべく、プログラムを構築しました。普通科の高校1年生が対象なので、「デザインに興味がありながらも具体的な進路として決まっているわけではない」状態を仮定。前半はデザインという仕事やキャリアについて私からお伝えをするパート、後半は実際に皆さんに手を動かしてもらう「キャリアクラフトワークショップ」のパートとしました。
数ある企業の中からレベルフォーデザインを選んで来てくれることがとても嬉しかったですし、今回の企業訪問を通して、生徒さんたちに何か1つでも残るものがあれば…!と願いながら当日を迎えました。
1. デザイナーの仕事について
まずはじめに、皆さんのモチベーションや期待する内容を把握するために「なぜレベルフォーデザインを選んでくれたのか」理由を聞いてみました。
すると「デザインの仕事に興味がある」「デザインをするのが好き」などの答えが多く、「なんとなく」という方もいらっしゃるかなと思っていたのですが、皆さんデザインについて興味を持ってくれていたことが分かりました。うれしい!こちらも伝える気合が入ります。
一方で「将来就きたい職業が決まっている人」と聞くと、ほとんどが「まだ決まっていない」という答えでした。高校一年生、進路について考え始めたばかりの方も多いと思います。
まず最初に「デザイン」や「デザイナーの仕事」について、なるべくリアルな現場が伝わるように実例を交えながらお話をしました。
「デザイン」ってなんだろう?
なんとなく日頃使う言葉だけど、改めて聞かれてみると難しい。
実際のクライアントワークの例を出しながら、デザインとは単にかっこいいものや綺麗なものを作ることではなく「目的のために設計して、その設計に基づいて表現すること」であるとお伝えしました。
次に、「お仕事の流れ」の紹介として、ヒアリング〜納品に至るまでの基本的なフローをお話しました。ここまではうんうん、と静かに聞いてくれていた生徒の皆さんですが、ラフスケッチの参考として私が実際に仕事で使用しているノートをお見せしたところ「おお〜」「すごい」の声が。基本的に文字は走り書きだし、精巧なラフが描いてあるわけでもないのですが…「実際に仕事として描いたモノ」としての驚きか、みなさんの目がきらっと輝いてくれたので、古いノートを何冊か掘り起こしてよかった…と思いました。
2. 私のキャリアについて
続いて、キャリアのお話。事前にいただいていた質問の中にも、「デザインを仕事にしようと思った理由」「どんな大学のどんな学部の出身なのか」といった内容があったので、1つのケースとして私のキャリアについてご紹介しました。
中学時代からさかのぼり、「そのときしていたこと」「考えていたこと」を時系列に並べてお話しました。中学時代から会社に入るまで(そして入ってからも)ぐねぐねとした道を辿っていた私ですが、そのぐねぐね具合も包み隠さずオープンに。
そして、話の最後に「キャリアについて思うこと」をお伝えしました。
今回の企業訪問のお話をいただいてから、改めてキャリアについて考えていくなかで、高校1年生である皆さんに伝えたいことはなんだろう?自分が高校生のときにどんな言葉が必要だっただろう?と思いを巡らせていました。
30歳の今になって周りを見てみると、学生のころ想像していたよりもずっと、いろんな生き方やキャリアがあるし、途中で道が変わっても大丈夫。
だけど、
・「自分がやりたいことってなんだろう?」と考え続けること
・自分がそのとき夢中になっていることに、情熱を注ぎチャレンジすること
この2つがとても重要なんじゃないかと思っています。
そんな話を、スティーブ・ジョブス氏の「connecting the dots」の話も交えながらお伝えしました。
3. キャリアクラフトワークショップ「未来の私の名刺をつくろう」
話を聞いてばかりじゃつまらない!ということで、後半戦はワークショップを行いました。自分の中で目標としたことは「自分について・キャリアについて・未来について」考えてもらう。2つのワークを行っていただき、最終的なアウトプットとして"未来の私の名刺"をつくることにしました。
ワーク1:私と未来を「見える化」しよう!
「好きなことや趣味は職業にならないことがほとんど」とはよく聞くものの、社会における個々の仕事は得意なことの役割分担だと考えています。自分に向かない仕事を続けていくのは難しい。100%好きなことじゃなくても、好きな部分や得意な部分を見つけて楽しく働けることが理想だと思っているので、まずは「好きなこと・夢中になれること」「得意なこと・人から褒められること」を聞いてみました。
その上で「職業」ではなく「なんのために働くのか」「どのように働くのか」を考えてもらいたいと思い、「こんな夢がある」「こんな風に働きたい」という設問をつくりました。
いきなり言われてもなかなか書くのが難しいだろうと思ったので、自分で書き込んだ記入例を紹介。
こんな感じでまずはたくさん出してみよう!と声をかけて、スタート。
どのくらい筆が進むかは未知のところでしたが、引率の先生もサポートしてくださり、皆さん少しずつ書きだしてくれました。
ワークの終了時には、皆さんしっかりと枠を埋めることができていました。
ワーク2:キャッチコピーを考えて、色を選ぼう!
続いて、せっかくデザイン制作会社にきてくれているので、デザインワークの触りになるようなものをということで、ワーク1で発散した「自分らしさ」「未来」「働き方」のカケラをもとに、「未来の私」を表現するキャッチコピーを30文字以内で考えてもらいました。
最終的なアウトプットが名刺なので、カラーを選んでもらうために色についてのプチ講座も行いました。
「未来の私の職業」という欄も設けましたが、まだ決まってない人は書かなくても大丈夫ですよと声をかけながら、こちらもスタート。
短い時間の中でキャッチコピーを考えるというのがややハードルが高いかもと思ったものの、想像以上にスムーズに書いている方がちらほら。なかなか書き始めらなかった方も、一度書いてみるとそこから書いたり消したり、筆が進み始めました。後半は、生徒さん同士で「私どんな色かな?」などとお話しながら、わいわいとした雰囲気でワークを終えました。
4. 発表&名刺制作タイム
そして、ここからは私の出番ということで、仕事で使っているAdobe Illustratorを立ち上げて生徒さんに発表してもらいながら、その場でリアルタイムにキャッチコピーを名刺にレイアウトしていきました。
「たくさんの挑戦で世界中のみんなを笑顔に」
「探究心を忘れず ほどよく働きながらも睡眠を忘れない」
「思いやりのあるおもてなしを皆様に。」
など、皆さんそれぞれの想いや好きが盛り込まれた、とても個性的で素敵な「未来の私」のキャッチコピーが誕生していました!
名刺をレイアウトした後は、生徒さんからの質問タイム。
「働いていて笑顔になる時はどんな時ですか?」
「この仕事で世の中にどんな価値を生んでいると思いますか?」
「レベルフォーデザインが他の会社と違うと思うところを教えてください」
などなど。この仕事や自分自身を振り返って言語化する、私にとっても貴重な時間となりました。
そして最後に、実際にプリントアウトした名刺をお一人おひとりにプレゼントしました。(質問タイム中に別スタッフがこっそり出力&カット)
私と生徒さんとで名刺交換をして、プログラムを終了しました。
今回、最終的に持ち帰ってもらうモノをつくりたいと思い、このようなプログラムにしました。
こういうワークショップって、その時は考えたりするんだけど、家に帰ったら忘れてしまうことが多いんじゃないかなと思います(自分も然り)。なにかモノが手元に残れば、ふとしたときに進路について考えるきっかけになるんじゃないかと思い、そのようにしました。
「お友達やおうちの方とぜひ名刺交換してみてね」と、声をかける前に生徒さん同士で何名かすでに交換していたり。弊社の名刺もそうですが、カラフルだとつい集めたくなるよね、とそんな効果も狙っていたりします。
2時間の企業訪問ということで、全体的にみっちりのプログラムになりました。どういう風に受け取ってもらったのかは分かりませんが、生徒さんたちの将来に少しでも役に立てば、とても嬉しいなと思います。
5. 〈事後学習〉レベルフォーデザインの求人ポスターを作ってくださいました!
今回の企業訪問の事後学習として、訪問先企業の求人ポスターを生徒さんたちが制作するという取り組みをされているとのことで、完成したポスターを送っていただきました!
とっても嬉しい!!!
どの作品も大変素晴らしいです!!!
キャッチコピーを考えてくださったり、コアバリューを載せてくださったり、魅力を3つにまとめてくれたり、お伝えした内容を踏まえて工夫してくださったのがとてもよく伝わります。コーポレートカラーである黄色を基調として、色合いもまとまっていますし、レイアウトも見やすく配慮された、素敵なポスターを創り上げてくださいました。素晴らしいです。感動しました。
今回の企業訪問ではデザインの技術・技法的な話はしなかったのですが、次回以降また機会があれば、そのような話をしても皆さん吸収してくれるのだろうな、とこちらの作品を見て感じました。
改めて、この度はとても素敵な機会をいただきありがとうございました!