終活でまず最初にすべきは子供を捨てること
「子供を捨てる」なんて、一体どういうこと?とお叱りを受けるかもしれない。
「子供から自立する」といえばお分かりいただけるかと思う。
「あ〜、なるほど自立ね。とっくに子供から自立してるわよ」と大半の方は思うだろう。「子供は結婚して別に暮らしているから、うちは大丈夫。ちゃんと自立しているわ」という。しかし、本当の意味ではなかなか自立はできていなくて、やはり「捨てる」という言葉を使ったほうが正しい気がする。
この仕事をしていて本当に毎日思うのが、子供を産み育てるのは、何を隠そう最終的には老後の面倒を見てもらいという目的のためにやってきたという方がほとんどだ。
最近カウンセリングした83歳のKさんも、そうだった。
品のいい素敵なおばあちゃま。2人の息子さんはそれぞれ独立し家庭をもっていた。それぞれ車で10分から20分のところに暮らしている。
夫はもう20年以上前に亡くなり、一人暮らしを謳歌していた。
海外旅行をしたり、国内の温泉旅行、趣味の鎌倉彫を習い、パン教室や中華料理を習っていた。
今まではとても元気だったのが、だんだん歯や耳の調子が悪くなり、気分がすぐれないことが多くなってきた。途端に息子達に依存し始め、一緒に住みたがるようになった。「長男は優しい子なんです。しかし嫁が私とは住みたくないというので。いっそ長男とあの嫁離婚してくれないかと思ってね」なんて言い出す。
人間というのは、本当に身勝手だ。
自分が気に入らないからと、息子の離婚を願う母とは一体どういう生き物なのだろう。
息子が幸せになってほしいと願いながら、なぜか嫁の存在が許せない。
もう息子は「お母さん、大好き」と母の後ばかりついてきた幼い頃の息子ではないのだ。家庭を持って必死でその家庭を守っている大人の男性に成長したというのに、今もまだ幼い男のままで居させようとする。
そして、嫁と息子の間に割って入ろうとする。
嫁よりも私の方が息子にとっては大切な存在なのよと言わんばかりに、息子の世話を焼こうとするし、この先は自分の世話を焼いてほしいと懇願する。
いつの間にか「息子の恋人」か「息子の嫁」のポジションを奪おうとする。
自覚してるかどうかわからないが、そのポジションに勝手に守備を構える。
息子の場合は嫁の存在が疎ましくなるが、これが娘の場合だと違ってくる。
娘の子供になろうとする母親が多いように思う。
どちらにしても、見てると子供が気の毒で仕方ない。
親の呪縛から逃れるのは、親が死んだ時だろう。
「子供を捨てる」イコール「子供から自立」して良い最後を迎えましょう。
子供のお荷物にならないような最後を迎えましょう。