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読書感想文:なんくるない よしもとばなな
沖縄旅行のお供に読み始めたから、タイムリーに沖縄パワーに共感した。確かにあの地には、いろいろを受け入れてくれる寛大さがあるような気がした。夢とか憧れとか、もしくは何かからはみ出したものとかも。沖縄には移住者が多いが、みなそういうパワーに引っ張られて来たのだろうか?わたしもあの寛大な空気の中で、すごく自分でいられた。武器も鎧もいらなかった。
つまんないことがたくさんたくさんあって、力がなくなるようなこととか、生きててもしかたないと思うようなことがたくさんある、TVを観ても、なにをしててもいつでもたくさん目や耳に入ってくる。だから面白いことをたくさんして、逃げ続けるんだ。逃げ続けるしかできない戦いなんだよ。僕のちっぽけな人生を誰にも渡さないんだ。(p.214)
最近、嫌なものばかりを目や耳が拾うようになってしまった。それには嫌な感情もついてくる。そしてそんな自分こそ嫌になる。もう全てをバッサリ切り落としたいとさえ思う。
大変なこととか辛いこととか悲しいこととか、そういうのから逃げたいんじゃない。生きてたらそんなこといっぱいあるし、それは成長に繋がる。そうでなくて、自分が自分でなくなるような、息がしにくいような、そういう圧力みたいな嫌なものから逃げたいのだ。
トラのセリフと、今のわたしの頭の中が重なったようで、良き理解者に出会えた温かさなのか安心感なのか、涙が出た。
そういう重なりが、『なんくるない』にはたくさんあった。
悩んで、なんくるないと思っては、また悩んで。うまく進んでいかなくても、それでも進んでるんだ。読んだ後、“なんくるない”気持ちで心が明るくなった。