困っている人
夫は2か月に一回、
ばあばの病院に同行する。
(=連れていく)
解ってないと思うけど、
もはや2か月前とは違うのだよ。
玄関に迎えに行って、
そのままタクシーに乗っけていくって
わけにはいかないのだよ。
オムツを替えて、着替えや、
場合によっては入浴もしないと、
外出できないよ。
そこで、通院日に
「そのまま病院に連れていけないよ。
病院に行く1時間前にばあばん家に行って準備するから、
この1か月、私が何をしてきたか見て」と ばあば宅で待ち合わせる。
行くとばあば、またオロオロした表情で
「ビッチャなのよ」と困っている。
うむ、身体も床もビッチャだね。
急いでお風呂を沸かして、
入浴してもらい、
その間に、オシッコまみれの服を
洗濯し、床を掃除。
怒涛の勢いで作業を進める私と、
オムツを履く順番が分からなくて
「次、何やるんだっけ?」
と半裸で聞くばあばを、
チーンとした表情で見る夫。
「出来なくなっちゃったのよー」
というばあばに、
「いや、出来てるよ(モゴモゴ…)」
と夫。
ばあばと私で異口同音に
「出来なくなっちゃったんだよ!
だから困ってるんだよ!!」
ヘタな慰めはいらんから、
現実を見てくれ〜〜。
夫はよく、
「ボケてるから何も分からない。
言ってもどうせ、通じない」
と言うけれど
認知症のある人は、
何もわからない人じゃないよ。
自分が出来なくなっていることや、
感情がコントロールできないことや、
色々分からないってことも、
わかってるよ。
さっき起こったことは忘れちゃっても、
数年前とか、もっと昔のことは、
しっかり覚えているよ。
ひとりの『困っている人』だと思うよ。
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