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こたつでぬくぬく幸せ時間

冬の寒さが一段と厳しくなったある日、桜井真琴は、アパートの一室でこたつに入り、お気に入りの小説を読んでいた。部屋の隅には、可愛らしい猫型の加湿器が静かに湯気を上げている。

「ふぁあ……」

心地よい暖かさに、ついあくびが漏れる。今日は一日中、大学のレポートに追われていた。やっと解放されたこの時間が、真琴にとって何よりも至福のひとときだ。

コンコン、と控えめなノックの音がした。

「はーい」

返事をすると、ドアが開いて、黒崎雅人が顔を覗かせた。手に持っているのは、温かい湯気を立てるマグカップ。

「お邪魔します。真琴、ホットココア淹れてきたよ」

「雅人、ありがとう!ちょうど喉が渇いてたの」

真琴は嬉しそうに笑い、こたつの端を少し開けて雅人を招き入れた。雅人もまた、こたつの中の温かさに、ほっと息をつく。

「レポート、大変だったみたいだね。お疲れ様」

「うん、でも、もう終わったから大丈夫。雅人は今日、バイトだった?」

「そう。夕方までみっちり。でも、今日は美味しいパン屋さんのパンが手に入ったんだ。一緒に食べようと思って」

雅人はそう言って、紙袋から焼きたてのパンを取り出した。バターの香ばしい匂いが部屋中に広がり、真琴は思わずお腹が鳴った。

「わあ、美味しそう!」

二人がこたつの中で温まりながら、ホットココアとパンを味わっていると、今度はまた、ドアがノックされた。

「あれ、誰だろう?」

真琴が不思議そうにしていると、ドアの向こうから元気な声が聞こえた。

「真琴ちゃーん、雅人くーん!遊びに来たよ!」

ドアを開けると、そこには水野美咲が満面の笑みで立っていた。両手には、大きな袋を抱えている。

「美咲!どうしたの?」

「実はね、今日、実家からお菓子が送られてきたんだけど、一人じゃ食べきれないから、みんなで分けようと思って」

美咲が広げた袋の中には、色とりどりのお菓子がぎっしり詰まっていた。クッキーやチョコレート、せんべいなど、どれも美味しそうだ。

「すごい!こんなにたくさん。ありがとう、美咲!」

「どういたしまして!さあ、みんなでこたつに入って、ぬくぬくしながらおしゃべりしよ!」

こうして、真琴、雅人、美咲の3人は、こたつの中で身を寄せ合い、温かいホットココアと美味しいお菓子を囲んで、楽しい時間を過ごした。大学のこと、バイトのこと、最近あった面白い出来事……話は尽きることがない。

時折、こたつの中でウトウトと眠りそうになる3人。しかし、誰かが話始めると、また楽しそうに笑い合う。部屋の中は、温かい空気と笑顔で満ち溢れていた。

外は寒い冬の夜。それでも、こたつの中は、3人の友情と温もりで、ぽかぽかと温かかった。真琴は、このぬくもりがいつまでも続けばいいと、心から願った。

「あー、幸せだね」

真琴がそう呟くと、雅人と美咲も笑顔で頷いた。

3人のぬくもりの時間は、こうしてゆっくりと過ぎていった。

おしまい。


おわりに

この物語は、寒い冬の日にこたつで温まるという、ごく日常的な風景を描いています。しかし、その中には、温かい人間関係や、日々の小さな幸せを大切にすることの大切さが込められています。

私たちは、忙しい毎日の中で、つい目の前のことにとらわれがちです。しかし、ふと立ち止まって周りを見渡せば、そこには温かい人たちの存在や、ささやかな幸せが溢れていることに気づくはずです。

この物語が、読者の皆様にとって、心温まる時間や、身近な人たちとの繋がりを改めて大切にするきっかけとなれば幸いです。そして、寒い冬でも、心は温かく、笑顔で過ごせることを願っています。

最後に、この物語が、皆様の心に小さな灯火を灯し、明日への活力となることを願って、ここまでお読みいただきありがとうございます
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