青梅の映画館「シネマネコ」のミニシアター遠足振り返り
みなさま、こんにちわ
先日「ミニシアタークラブ」でご紹介しました「シネマネコ」。約50年ぶりに映画館ができるということで話題になっていました!
緊急事態宣言での延期などありましたが、6月4日に無事オープンとなりました。そこで今回は、前回取材したシネマネコを運営する株式会社チャス 代表取締役の菊池康弘さんとユーロスペース北條支配人との対談の様子を少し抜粋したいと思います。
なお、こちらの動画で内容を見ることができます。
今回は、非公開となっているクラブ会員向けの内容も少しだけご紹介させていただきます。
シネマネコとは
東京で唯一の木造建築・最新設備の映画館 CINEMA NEKO(シネマネコ)
質問内容抜粋
今回は下記のような質問をしております。一般公開版では、シネマネコの映画館の概要についてたっぷりと、ミニシアタークラブ会員向けには、あまり言えなかった裏話をお届けしています。
<一般公開用>
● シネマネコについて
● 映画館の設計について
● なぜミニシアターを作ろうと思ったのか
● 青海と映画について
● 映画館を作っていくことの苦労
● 資金について
● 劇場の名前の由来について
● クラウドファンディングの手応え
● 青梅の人たちの反応
● 劇場の運営について
● オープニングプログラムについて
● 地域との共生について
● 座席について
● ロビーやカフェについて
● 音響設備、映画館コンセプトについて
<ミニシアタークラブ会員用>
● 映画館の経営について(北條支配人との熱い談義です・・)
● 誰もが観やすい劇場について
● 映画館を運営していくモチベーション
● 人生のピンチ
● 劇場スタッフについて
なお、具体的なオープンまでのヒストリー・劇場の仕様についてはこちらの記事にもしっかりまとめていただいているのでこちらもぜひご覧ください。
トーク内容一部抜粋(Q &A)
● シネマネコについて
北條「今木造の映画館とおっしゃっていましたが、木の香りがものすごくいいですね」
菊池「入っていただくと全体的な木の香りが漂っていて、シアタールームに入ると、本当に木造建築なんだと匂いで体感していただける方が多いです」
北條「木の香りって落ち着きますね」
菊池「静かですね」
北條「吸音もしますし、湿気も吸ったりもするので」
菊池「日本人は木造建築の家に住み慣れていたというのがあって、居心地の良さや、あったたかさ、温もりを感じてもらえると思います」
北條「もう一方の観点で、木造の映画館は、今の消防法や保健所などとの対応で照らし合わせていくと、(建築することは)ほとんど不可能に近い。そうした中で木造の映画館を作る際に苦労があったのではないですか?」
菊池「そうですね。現行の法律に合わせると建築基準法だったり消防法や保健所の対応などを踏また時に、木造建築で興行する正規の劇場に対する法律の壁は結構厳しいと思います。そのため、設計チームが審査機関と常に掛け合って、どうしたらこの施設が映画館として運営できるのかを設計の段階から細かく話し合った結果です。一個一個、ここはダメ、あそこは大丈夫というような障害を乗り越えて、ようやく映画館になりました。そこに至るまでは途中審査に通らないのではないかということが多々ありました。もちろん、作っていく中で設計変更もあったが、頼れるチームスタッフがいっぱいいたので助かりました。例えば、構造のプロには耐震の調査をしてもらったり、耐火の専門家にどのような素材を使うのか意見をいただいたりして、振り返ると、一つ一つは難しいプロジェクトであったが、全部申請の許可をいただけてよかったです。」
● 映画館の設計について
北條「設計のチームは、映画館の建設は初めてですか?」
菊池「そうですね、そもそも映画館を施工したとか、作っているところがあまりなく、全国的にも事例が少なかったです。そこで、地元でやりたいと思ったので、地元の人たちで集まっておこないました。」
北條「(今の)ユーロスペースも設計事務所に入ってもらいましたが、その方々も初めてでした。そのときポロッと聞いたのですが、人生でこういう映画館を作る経験というのは、一生で1度あるかないかなので、非常にプロジェクトを楽しんでもらえました。」
菊池「うちのスタッフも同じようなことを言っていました。大変な作業ではありましたが、今後映画館を作ったり、施工するということはないので、みんな工夫したりアイディアを出して進めました。現場自体は楽しそうでした。」
● なぜミニシアターを作ろうと思ったのか?
北條「そもそもこの建物がどういう建物で、なんでミニシアターを作ろうと思うわれたのですか?これは戦前からの建物?」
菊池「そうですね。昭和8年、9年に建てられた築約80年の木造建築になっていて、この敷地が青梅の織物工場の跡地になっています。」
北條「青梅は織物が盛んだった?」
菊池「そうですね、もともと青梅は織物の街として栄えました。こうした建物がいくつかあります。産業が衰退するにつれて工場が閉じたり更地になったりして、こうした貴重な建物が少なくなっていっています。唯一織物工業協同組合の敷地内には、登録有形文化財が4つ残っていました。この映画館の跡地は、旧都立繊維試験場でしたが、これを映画館にできないかと相談をしました。」
北條「織物組合さんから菊池さんがお借りする形?」
菊池「そうですね、テナントして入っています。」
● 青梅と映画について
北條「青梅で映画館をやりたい気持ちがあった?それともたまたま?」
菊池「青梅で映画館をやりたい気持ちは10年ほど前からありました。なんでかというと青梅は昔映画の街として知られていて、久保版観さんという方が描かれた昔の映画看板が商店街に飾られています。昔から自分は映画看板があるのは知っていたが、映画館がないことをずっと感じていて、映画の街だったらいつか映画館が必要だなと思っていました。」
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(会員特別動画より)
● 誰もが観たい映画館について
北條「古い歴史の建物で、入ってきた瞬間に雰囲気の良い劇場は、(特徴のすくんあい)いわゆるこばまない劇場といえます。シネマネコは、青梅の歴史の中にも溶け込んでいて、入った人に熱烈にウェルカムではないですが、どうぞどうぞという感じを感じます。だいたい東京のミニシアターは個性が強いところが多いのですが、どうしてそのような方向にされたのですか?」
菊池「(個性の強い)映画館はすこし入りにくさも感じており、そうしたことを青梅でやっても難しいのではないかと感じました。開かれた場所でそこで映画館がある方が良いと思いました。」
北條「今後は、作り手とかの応援してもらって、(先ほど参考にされたという)深谷シネマと入江悠監督のような関係ができたらいいですよね。ゆくゆくは青梅で映画とか・・・」
おわりに
以上、抜粋になりました。自分も初めてシネマネコを訪れて、想像を超える驚きがありました。音響も素晴らしく観る人が本当に気持ちよく映画を観ることができる場所だなと思いました。青梅にこのような映画館ができて非常に羨ましいなと思いました。
そして、菊池さんが運営する焼き鳥屋「火の鳥」で焼き鳥を少しいただきました。とても絶品です。東青梅からシネマネコへ歩く途中にお店がありますので、お帰りの際にはぜひ寄ってみてください。
以上、今回もまたミニシアタークラブの活動を紹介させていただきました。ミニシアタークラブでは、ミニシアターを盛り上げていくために様々な活動を続けていきます。もしご興味あればぜひご参加をお待ちしています。
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