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人生は五分五分くらいがちょうどいい

 風邪をひいて熱が出た。
「ヤマイは気から」とはよく言ったもので、気持ちが落ち込んでいると、だいたい熱が出る気がする。
仕事で大ミスしてしまって、相手にすごく迷惑をかけた。
でも、相手は何も咎めることなく、許してくれた。隣に座る還暦を迎えたおじいちゃん職員も「誰にでもあることだよ。すぐ許してもらえてよかったね」と声をかけてくれた。

人間は完璧じゃないから誰だって間違いや失敗を犯す。
だけど、なんだか自分のことがすごく情けなく思えて、また一つ自分のことが嫌になる。
仕事にはだいぶ慣れてきて、今では周りから頼られるようにもなった。
少しは周りに追いつけたと思っていた。
それでも、上には上がいて、もっとすごい人なんてざらにいるから参ってしまう。

 学生の頃はそこまで心血を注がなくても、成績は中の上くらいだった。
まじめに努力したのって、大学受験の時と就活の時くらいで、あとはのらりくらりとやっていた。
周りの友人も似たような人たちで、いい成績じゃなくても、ある程度できればいいよねって人が多かった。
でも、社会に出たらそんな悠長なことは言ってられなくて、できた部分よりもできなかった部分が目立つようになる。

「どうしてこれをやらなかったの」とか「どうしてできなかったの」という話をたとえ自分に対してでなくても、耳にすると悲しい気持ちになる。
それが100%その人のせいかと言われると、きっとそうでもない。
環境的な要因もあるだろうし、人ひとりの力ですべてコントロールが効くわけない。

 起きてしまった事実は変わらないのだから、できることは誠意をもって対応するほかない。あとは時間が解決してくれる。
わかっていても、簡単には自分が許せなくて、いつも苦しんでいる。

でも、きっとそういう営みを通じて、人は何かを学んでいくのでしょう。
苦しいことや辛いことを何も知らずに、誰かを想うことはできないと思う。ずっと調子が良くて、全戦全勝の日々だったら、人の気持ちなんてわからなくなってしまう。

苦しいと他のことなんて何も考えられなくなってしまう。
だけど、そういう時期も人生だからあってもいい。
そうやって認めてあげたらいい。
人生は最終的に五分五分くらいになればちょうどいいのかもしれない。

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