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ズミクロン or ズミルックス問題。


ライカ好きの方ならおそらく一度は陥ったことがあるのではないでしょうか、「ズミクロン or ズミルックス」問題。え?それは「ズミルックスもズミクロンも」で解決ですって!?いやいやいやいや。僕にはそんな財力はありません。

50mmの候補レンズ

僕は前回の書き込みの通り、今後はライカを軸にしてカメラライフを歩んでいこうと決めたのですが、それに合わせてずっと前から50mmレンズのアップグレードを目論んでいました。候補に上がるのは当然ながらズミルックス50mmとズミクロン50mm。ライカ以外ではフォクトレンダーのアポランター50mmも検討しました。

選考基準となったレンズ

まずはじめに前提として。僕はズミクロン35mm F2.0 ASPHを所有しており、その素晴らしさをよく理解しているつもりです。サイズ感は最高。モノとしての質感も言うことなし。コントラストのはっきりした写りも好み。マップカメラで購入した美品ですが、毎週のように買取額アップの知らせが届くことから資産としても文句ありません。買うならやはりライカレンズがいいと思うのはこういう理由から。

やっぱり純正レンズがいい理由

フォクトレンダーは以前にUltron 35mm F2を所有していましたが、それを売却してズミクロンを購入した経緯があります。僕という人間はブランドネームにそもそも弱いのですが、たとえ高価でもライカレンズ崇拝の傾向があるのは否めません。それは単なる偶像崇拝ではなく、ちゃんと価値が伴っているからに他なりません。その点から考察した結果、アポランターは早々に選択肢から外しました。巷の噂ではアポズミクロンにかなり性能が近いとの評判ですが、

  1. フォーカスタブがない

  2. サイズがやや大きめ

  3. 所有価値は低く、売却額も比較的低い

  4. リムがシルバーなのが好みではない

  5. やっぱりライカじゃない

といった理由から見送ることにしました。一定の予算でなるべくいろんなレンズを試したいという方もおられるでしょう(そういう楽しみ方は一切否定しません)。そういう方には素晴らしい選択肢の一つになりうると思いますが、自称なんちゃってミニマリストの僕にはそういう考えはなく、たとえ高くても良い一本の方が魅力的なのです。一本入魂。大袈裟に言えばそういうことです。

ズミルックス or ズミクロン

というわけでライカの50mmを買うことに決心したのですが、ここで表題の通りズミルックスかズミクロンかで三日三晩悩みました。素直な写りの優等生ズミクロン。やや暴れ馬的なところもあるが秀才肌のズミルックス。検討したのは以下の点です

  • もちろん価格差

  • 入手しやすさ

  • サイズ感や重さ

  • 明るさ F1.4 vs F2.0

  • 絞り解放での描写

僕が住んでいるカナダの場合はズミクロンの良品は大体30万円前後。一方ズミルックスは40万円ほど。その差10万円。ズミルックスにその価値があるのか。

ズミクロンは玉数が多く、ズミルックスよりも入手しやすい。マップカメラの入荷情報を見てもズミルックス50mmはあまり流通していない模様。それだけ人気なんでしょう。ズミクロンは比較的よく見かけますし、価格もこなれている印象。

ズミルックスはズミクロンに比べやや大きくやや重い。ただ、その差は実際にはそれほど大きくないという結論に。

F1.4とF2.0の差は小さいようにも見えますが、僕が使うライカボディがM240であることを考慮するとあまりISO感度を上げることはできません。となるとやはり暗がりでの子供撮影を考えると明るければベターななず。

絞り解放での撮影は後述しますがやはりズミルックスの方が好みでした。ライカQを使っていた時の描写が好きだったこともあり、ズミルックスがそもそも好みの描写をしてくれるバイアスがかかっていることも否定はしません。

両レンズ試し撮り

ということで地元のライカストアにて両方のレンズを試しました。さらには自分の所有しているズミクロンも持参して撮り比べをしました。

2年間に中古で買った初ズミクロン。使用感がしっかりあります。 フォーカスリングはやや硬め。 絞り羽にはオイル滲みがあります。 それでも数十年前に製造されたレンズがこれほど写るのは驚きの一言。
前玉はお世辞にも良いコンディションとは言えません。それでも味のある写りをします。

試し撮りをした時、正直ズミルックスとズミクロンの差はあまり感じませんでした。さらに言えば持参したマイズミクロンもそれほど引けを取らない。意外な結果でした。ただ、マイズミクロンはフォーカシングタブがなく、さらにフォーカスリングの回転角度がかなり広く、フォーカスリングをかなり回す必要があることが不満点でした。あとは逆光の時にはコントラストが激減し、かなり淡い写りになります。オールドレンズとして遊ぶにはちょうどいいでしょうが、子供の成長を記録する写真にはあまり向きません。

Leica M240 + Summilux 50mm F1.4 ASPH.(フード組み込み)
F2.0 SS1/4000 ISO400

ここでズミルックスで遠景を撮ってみたら、その写りにハッとさせられました。フォーカス面はかなりシャープ、そして周辺はよく見るとやや滲みやパープルフリンジがでているのになぜか全体としてとても透明感が高い素晴らしい写真に収まっているように感じたのです。なぜだろう。よくわからない。でもこの1枚でズミルックス熱がものすごく上がりました。

中央の赤い標識にフォーカスを合わせています。

ズミルックスを探す旅

ということでズミルックス一本に決め品定めをしていたのですが、こちらで中古を購入するとあまり質の良くないものを掴まされることが多いのです。美品と謳っていてもマップカメラの並品程度なんてことが多々あります。そこでマップカメラから逆輸入を検討していました。円安も手伝って今なら買いやすいのです。しかし物がない。本当にない!一世代前のズミルックスに狙いを定めたのですがほとんどモノが出てこないのです。そこで仕事でよく行くアメリカのライカストアに目をやったらそこそこコンディションのよいものがあるではないですか。というわけでLeica Store Miamiにて美品を購入してきました。税込46万円ほど。使用感がほぼない超美品で元箱など全てがついたセットになっていました。なお、マイアミのライカストアのはRed Dot Forumでお馴染みのデビッドとジョシュがいます。僕が行った時はデビッドが対応してくれて、とても貴重な体験をしました。アポズミクロンなども試させてもらえましたし、色々お話しできてそれだけでも行った価値があるというものです。

こうやってみると長く見えますが、実際はサイズ感は全く問題ありません。フィルターはやっぱりダサく見える。
いわゆる美品でした。
やっぱりフォーカスタブはあった方が良いです。
フードは伸ばす工程ではなんだかガタガタしますが、一旦ロックしてしまえば遊びはありません。

ズミルックス所感

というわけで我が家にやってきたズミルックス50mm F1.4 ASPH.  最高です。質感は全体的にかなり良いです。組み込み式フードがやや心許ない気もしますが、これは仕様とのこと。あとはレンズフィルターをつけるとやや不細工になること以外はとても満足しています。

これで35mm/50mm/90mmと揃いましたので大抵のものはライカで撮れるようになりました。あとは広角側に28mmを追加したいとも思いますが、それはまた資金ができた時にでも。

いくつか作例を。

立体感を感じる写り
ハイライトとシャドーの表現が好み
雰囲気を捉えるレンズ
ボケ感もいいです

これで娘の写真を撮りまくります。

さて、次は何を導入しようかな・・・。

(2024.08.06 写真を数点入れ替えました。)

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