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メダリスト -つるまいかだ-

アニメ『メダリスト』を観て原作にも興味が湧き、Amazonで3巻まで無料だったので読んでみた。

本作は、フィギュアスケートを題材にした選手とコーチの成長物語だ。

親や学校の先生の助けがないと何もできず、クラスメイトからもバカにされている小学5年生の結束いのり。
中学でフィギュアスケートと出会い、遅咲きながら選手を目指すも夢破れた元アイスダンス選手・明浦路司。
そんな二人が出会い、選手とコーチとしてオリンピックのメダリストを目指していく。

ここからは、アニメのネタバレにならない範囲で、特に心を打たれたシーンを紹介したい。

「わたしは恥ずかしくないって思いたいの!」
いのりが自らのコンプレックスとスケートへの想いを語り、必死に「やりたい」と訴える場面。
彼女の境遇や心情が自分の過去と重なり、思わず涙をこらえた。

「いのりのこと全然見えてなかった」
初めての試合を観た母・のぞみが、これまでの娘との向き合い方を振り返るシーン。

幼い頃から、いのりは姉・美叶と比べて要領が悪く、周囲の大人たちから「のぞみが早期復職したせいで、きちんとしつけられなかった」と評価されてきた。のぞみ自身も、いのりを「できないこと」から守ってきたつもりだった。

しかし、氷上で転んでも立ち上がり、笑顔で演技を続けるいのりの姿を見て、自分が「大嫌いだった他人の評価」を無意識のうちに信じていたことに気づく。
いのりの逞しさと母の後悔が胸に刺さり、漫画ではじめて涙がこぼれた。

「いのりは何のメダリストになるつもりなの?」
のぞみが娘を真正面から見つめ、いのりの夢を応援する決意を固める場面。
これはぜひ、直接読んでほしい。

3巻までで心を揺さぶられ、気づけば全巻購入し、12巻まで3周していた。
フィギュアスケートの魅力や厳しさ、それに立ち向かう選手やコーチたちの想いが細やかに描かれ、随所で共感を誘われる。

また、アニメと原作では展開や描写が微妙に異なり、その違いも楽しめる。特にアニメでは、演技の動きがしっかりと描かれているのが大きな特徴だ。

フィギュアスケートに詳しくない人には、技名だけではイメージしづらいが、アニメでは「こういう動きだったのか!」と新たな発見がある。原作とアニメ、それぞれにしかない魅力があるので、どちらもぜひ楽しんでほしい。

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