
雲の切れはし
ふと上を見上げると、雲がちぎれていた
まるで、使い古した枕を力いっぱい左右に割いたみたいに
それぞれの小さな綿のかたまりが、風にそよぐ尾をほそく引くあの感じ
雲の形は風によって常に変わっていくから
何かに見えると誰かに伝えようとしても
「立ち上がったリス」は僕の思考の文脈の上にしか存在しない
見える世界も、心にある暗さも、寂しさも、背徳感とセットのワクワクも、どう表現したらいいか分からないドロドロも、比較が根底に存在せざるを得ない誇らしさも
どうしたって理解はされないし、される必要も無い
それは雲が作り上げるイメージとおんなじ
自分の孤独とは自分で向き合わなきゃいけないから
頭じゃなくて心で読む詩集を開く
少し分厚い紙に躊躇しながらも、好きな詩のページには折り目をつける
孤独な自分から、未来の自分にメッセージのつもり
「僕じゃない」人は、あいつは、あの子は、あの人は、
同じ雲を見たらなんと言うんだろう
同じ雲の配列にどんなものを見出すのだろう
分からないから聞くしかない
その答えが何であれ、受け入れるしかない
どうしても受け入れられない時は
あの雲の切れはしと一緒に、風に吹かれてどこかに行くしかないのかな