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吉川ひなのさんの「洗わない育児」について思うこと。

吉川ひなのさんが最近、自分の生い立ちや現在の生活についての本を出した。自宅出産についても書いていたので私も一通り読んだ。

その中に、「洗わない育児」という話がでてくる。一部ヤフーニュースでも記事になり、かなりバッシングを受けている。このご時世に洗わない育児をどうどうと発信してしまったのだから、仕方ないと言えば仕方ない。

でも、私も自然派助産師として、ただバッシングする人たちとは違う、私が経験してきた「洗わないメリット」について、いくつか紹介したいと思います。

私は最初、吉川ひなのさんの「洗わない育児」という言葉を見た時、石鹸を使わないってことかな?と思ったのですが、土遊びをしてきても洗わない、たまにシャワーをかけるくらいであまり水洗いもしない、と書かれていたので、結構ストイックな感じにやってるんだなということが本を読んでわかりました。

病院でもドライテクニックが主流の新生児ケア

数年前になりますが、公立の総合病院で働いていた時にも、すでに新生児の沐浴はうまれた当日はしない、というのが決まりでした。ドライテクニックと言って、新生児についている胎脂を取り除かないよう沐浴は2日目以降または4日目以降に行う方法あります。

私がいた病院は2日目以降には沐浴していましたが、沐浴を遅らせた方が黄疸の確立が減ったり、へその緒が乾燥するので感染リスクが減ったりといった効果があるとされています。

胎脂そのものも感染のバリア機能があったり、皮膚の乾燥を防いだりといった機能があります。

アーユルヴェーダ式オイルケアとお湯のみの沐浴

インド・コルカタにある、マザーハウスで、子どもたちの施設でボランティアをしていたときのこと。赤ちゃんたちがみんな外で寝かされ、ボランティアのおばさんたちがオイルマッサージをしていたのが印象的でした。

◇ ◇ ◇

私が働いていた助産院でも、アーユルヴェーダの考えを取り入れていたので、うまれた赤ちゃんはセサミオイルで全身マッサージをしました。マッサージと言っても、新生児なのでやさしくやさしく全身をなでるようにオイルをつけていくだけです。でも、頭からつま先までしっかり触れてあげることで、皮膚刺激になり、全身運動にもなり、ぐっすり眠ってくれたりとメリットがあります。

体調がよいお母さんには、お母さん自らもベビーマッサージをしてもらいます。

マッサージが終わると、沐浴布に包んで、米ぬかを入れたお湯の中でゆっくり全身をガーゼでさすります。この時、石鹸は使いません。お湯だけで洗います。

大人の化粧もオイルで落とす時がありますよね。同じです。オイルで汚れは落ちているので、石鹸はつけず、余分なオイルを落とすだけ、という感覚で沐浴します。

この場合の沐浴は、体の汚れを落とすために入る、というよりも、お湯の中で体の力を抜く練習をしている、というような感じです。

赤ちゃんもお産で様々なストレスを抱えている場合があります。力が入った状態だと、よく眠れなかったり、よく泣いたりします。

全身オイルケアして、沐浴中に体の力を抜けるようにしてあげると、だんだん緊張していた体がほぐれて、脱力して眠れるようになる赤ちゃんが多いのです。

宇津木式肌断食~洗いすぎは皮膚を傷める

アンチエイジング専門医の宇津木医師の本で、肌断食という言葉を知りました。洗うことが肌のトラブルの原因になっている、というもの。

これまで数々の(というほどでもないですが)スキンケア方法を試してきて、石鹸をたっぷり泡立てて熱心に洗ったりもしていましたが、洗わないという方法があるのか、しかも天然由来のオイルでも肌にとっては負担になっていることがあるのか、とちょっと衝撃をうけたことがあります。

私がこの本に書かれていることにすぐに納得がいったのには、訳があります。

この本に出合う前に、私は冷え取りを熱心にしていた関係で、4人目の子どもを妊娠する1年くらい前に、体中ひどい湿疹ができていたことがありました。

腕や足やお腹や胸や背中。どこもかしこも湿疹で、汗をかくとかゆくてかゆくて、外でも構わずボリボリかいていました。

冷え取りの本には、湿疹ができていても、お風呂に入ってよく洗いましょう、かきたいだけかきましょう、と書かれいました。でも、お風呂に入ったらますますかゆくなって、私はだんだんお風呂に入ること自体が恐怖になっていたのです。

そこでお湯につかるのはやめて、汚れをさっと流すだけ、湿疹のあるところはなるべくお湯にもつけず、場合によっては頭だけ洗う、ということをしていたのです。

そうしたら、だいぶ湿疹のかゆみも減ってきました。

◇ ◇ ◇

皮膚というのは、体のバリア機能を果たしています。皮膚に湿疹やただれがある状態は、そのバリア機能がなくなっている状態。皮膚は常在菌などの力を借りて再生しようとしているにもかかわらず、そこをまたお湯で流していては修復する暇がありません。

今は手術で切開した箇所も、ドライテクニックで消毒などせず、傷口が完全にふさがるまで保護しておくのが一般的です。

子どもがケガした時も、傷パワーパットなど、ちょっと高級なばんそうこうを貼って、傷が治るまではがさないようにしますよね?

傷口はぬらさない、消毒しない、表面だけ乾燥から守る。

これが一番皮膚に負担がかからないというのが、基本です。

◇ ◇ ◇

さて、こういった知識をふまえて、吉川ひなのさんの「洗わない育児」について考えてみましょう。

いろんな意見がありました。破傷風になる、ボツリヌス菌は心配じゃないの?

そもそも臭いよね。などなど。

私がいつも育児や健康面、思考法などいろいろなことで心がけていることは、ストイックになりすぎない、ほどほどにやる、中庸でいる、完璧を求めない、などなどです。

洗う、洗わないはそもそも対立軸にあるものではないですから、洗う必要のあるときは洗って、洗わない方がいいなと思うときは洗わない。

そして、その基準や判断は自宅にいる時と、外で人に会う時、仕事の時、TPOに合わせて柔軟に切り替える。

それが社会生活を送る上で必要なことだと思います。





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mica
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