社会的時差ボケ、クロノタイプに関わる要因
皆さん、こんにちは!
今日のnoteでは、私たちの日常生活リズムが健康にどのような影響を与えているかを掘り下げてみたいと思います。
現代社会と私たちの生活リズム
現代社会において、私たちの生活リズムは非常に複雑です。
早朝から夜遅くまで働く人、シフト制で夜勤をする人、学校や仕事のスケジュールに合わせて生活する学生や社会人。
さらに、デジタルデバイスの普及により、私たちは日中と夜間の境界線が曖昧になる環境で生活しています。
しかし、この不規則な生活リズムが、私たちの健康にどのような影響を与えているのでしょうか?
今日はクロノタイプ(朝型人間か夜型人間かという生物学的傾向)と社会的時差ボケ(平日と休日の生活リズムのずれ)が、人口統計学的特徴や健康にどのように関連しているかを調査した興味深い研究からシェアします。
それでは、2023年に発表された論文、Daily rhythms, light exposure and social jetlag correlate with demographic characteristics and health in a nationally representative survey.から紹介していきます。
研究紹介
背景
クロノタイプと社会的時差ボケ
この研究の背景には、クロノタイプ(個人の生物学的傾向に基づく朝型または夜型)と社会的時差ボケ(社会生活と個人の内部時計とのずれ)の概念があります。特に平日と週末の睡眠パターンの違いは、睡眠の質の低下、昼間の疲労、ストレスの増加につながる可能性があります。これらは、個人の健康、気分、生産性に大きな影響を与えると考えられています。
この研究の主な目的は、クロノタイプと社会的時差ボケが、さまざまな人口統計学的特性や健康状態とどのように関連しているかを解明することでした。
研究者たちは、ハンガリーの成人7,000人を対象にした全国調査を基に、これらの関連性を詳細に分析しました。
調査方法
ハンガリーの国民代表調査「Hungarostudy 2021」のデータを利用して行われました。研究には合計で7,000人が参加し、2021年7月21日から9月15日の間に自宅で面接者によって配布されたアンケートに回答しました。
研究では、次のような様々な変数が収集されています。
クロノタイプ評価: ミュンヘンクロノタイプアンケート(MCTQ)のハンガリー語版。これは、労働日と休日における典型的な就寝時間と起床時間を自己報告するアンケートです。クロノタイプは、休日の睡眠中点を取り、過剰睡眠の影響を調整して計算されました。
社会的時差ボケ: MCTQを使用して計算され、休日と労働日の活動のタイミングの違いを示します。これには、負の値となる相対的社会的時差ボケと、常に正の値を取る絶対的社会的時差ボケの二つのタイプがあります。
週間の光への露出: MCTQで評価され、労働日と休日に屋外で過ごした時間を合計し算出。
地理的変数: 参加者は居住地を報告し、それはハンガリーのウェブベースのデータベースで参照されました。居住地に関しては、経度、緯度、住民数。
人口統計変数: 性別、出生年、教育水準、個人の月収、同居状況、民族、宗教などの自己申告データが収集。
人体計測と生物医学的変数: さまざまな標準化されたアンケート(例えば、PHQ-14、アテネ不眠スケール、BMI)やカスタム質問(特定の病気への治療、飲酒、喫煙、身体活動、精神薬の使用)を使用して、クロノタイプと関連する可能性のある人体計測および生物医学的特徴を評価。
精神的健康とウェルビーイング: BDI-9(簡略版ベック抑うつインベントリ)、PSS(ストレス尺度)、WHO-5(世界保健機関ウェルビーイングインデックス)などの標準化されたアンケートが含まれていました。
統計分析では、クロノタイプおよび社会的時差ボケと、人口統計学的、地理的、人体計測/生物医学的変数の関連性を調べました。
この研究では、これらの予測因子とクロノタイプおよび社会的時差ボケとの関係を、互いに関連することが予想されるため、他の要因をコントロールした形で分析されました。
この方法により、日常生活リズム、光への露出、社会的時差ボケが人口統計的特性や健康とどのように関連しているかを包括的に分析することができました。
研究結果
1.クロノタイプと人口統計学的要因
クロノタイプは多くの人口統計学的要因によって影響を受けています。
・性別と年齢: 女性と高齢者は平均して早いクロノタイプ(つまり朝方傾向)を示します。さらに、年齢が上がるにつれて性別間の差は小さくなります。
・教育水準: 教育水準が高いほど、クロノタイプは遅くなります。
基礎教育から中等教育への移行で18.9分、中等教育から高等教育への移行でさらに3分の遅延が見られます。
・子供との同居: 小さな子供(6歳以下)と同居することは、クロノタイプを早める最も強い予測因子の一つで、平均して28.6分早くなります。
・宗教: 宗教的な人々は、平均して早いクロノタイプを示します。
・収入: 収入が高いほど、クロノタイプは遅くなります。
年齢や性別の影響は、生物学的要因に起因する可能性が高く、他の要因は、より教育を受け、より裕福な人々の異なるライフスタイルが遅い睡眠タイミングを含むことを示唆しています。
特に、子育ては成人よりも早いクロノタイプを持つ子供たちのニーズに合わせて調整されることが一因と考えられます。
宗教的な人々の早いクロノタイプは、以前の研究でも報告されており、この関連性は文化的な普遍性を持つ可能性があります。
全体として、これらの発見は、クロノタイプが、年齢や性別といった生物学的要因と、教育や収入といった社会的要因の相互作用によって決定されることを示しています。これは私たちの生活リズムと健康への理解を深める上で重要な意味を持っているでしょう。
2.社会的時差ボケの影響
・年齢と性別の影響: 年齢が高くなるほど、また女性では、社会的時差ボケが少ないことが示されました。年齢が上がるにつれて性別間の差は小さくなります。
・地理的要因: 西方に位置する人々や北方に位置する人々は、より多くの社会的時差ボケを報告しました。居住地の人口規模は社会的時差ボケとは関連していませんでした。
・健康関連の要因: 喫煙、アルコール消費、WHOのウェルビーイングスコアが高いほど、社会的時差ボケが大きいことがわかりました。
社会的時差ボケは、生物学的なクロノタイプとは別に、個人の日々の活動のタイミングと社会的義務との間のミスマッチを反映しています。
年齢が上がるにつれて、また女性では、生物学的なクロノタイプが社会的時間とより一致しているため、社会的時差ボケが少なくなることが示唆されています。
地理的な要因による影響は、特に興味深いもので、異なる地域での日の出と日没の時刻が異なるため、地域別で見たときには、人々の生物学的リズムに影響を与えていると考えられます。
また、健康関連の要因として、喫煙やアルコール消費が社会的時差ボケと関連していることは、これらの行動が生物学的リズムに影響を与える可能性を示唆しています。
社会的時差ボケは、私たちの日々の活動が生物学的なリズムとどのように一致あるいは不一致であるかを示す重要な指標です。
直感的にも想像できますが、この不一致は、健康、生活習慣、地理的な要因などが複雑に絡み合っていることが明らかになりました。
Take Home Message: 日々のリズムと健康への影響
健康的な生活習慣の大切さ
喫煙やアルコールの摂取は、私たちのクロノタイプにも影響を及ぼします。健康的な生活習慣を心掛けることで、良い睡眠リズムを手に入れることができるかもしれませんね。
日々の生活で太陽の光をどれだけ浴びるかも、私たちの睡眠パターンに関係しているのです。
社会的時差ボケにもご用心
平日と休日で生活リズムが大きく異なると、社会的時差ボケが起こることも。これが、ストレスや健康問題の原因になることもありますので、注意が必要です。
いかがでしたか?私たちの生活リズムは、ただの習慣以上のもの。
自分の体内時計を理解して、健康的で快適な毎日を手に入れましょう!
今日から、あなたの「クロノタイプ」に合わせた生活を始めてみてはいかがでしょうか?
今後、クロノタイプについての記事も配信予定です!
今後も日常に有益な情報を発信していきます。
最後まで読んでいただきありがとうございました😄
参考文献📗
Ujma, P. P., Horváth, C. G., & Bódizs, R. (2023). Daily rhythms, light exposure and social jetlag correlate with demographic characteristics and health in a nationally representative survey. Scientific reports, 13(1), 12287.
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