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渡米準備(2/2): n回目の「渡米準備進んでる?」に答える徒然ノート

「最近何してるの、渡米準備進んでる?」
100回くらい色んな界隈で色んな方に聞かれた質問だが、その度「ええ、まぁ… 」で流してきた。答えたくないとかそういうことではなく、
(色々準備はあるんだけど、イロイロすぎて伝わらないだろうなぁ…)
を流し込んでの「ええ、まぁ…」だった訳なのだが、あまりに聞かれるのでいっそまとめてしまえば早いのではという発想に至り (職業病…)、ここに書いてみることにする。

ちなみに、私は必要な情報が簡潔にまとまった綺麗な情報まとめサイト的noteを書こうという気はさらさらなく、随筆のようなエッセイのような手触り感のある文章の方が書いていて楽しいので、 (そして日本語のこれ以上の退化防止というのも目的の一つだったりするので、) ずるずると文章を綴るスタイルで行く。

一応前回の続きという体で、進学先が決まった3月頃から話を始めると、この時期まずはフルブライトが定める渡航健診というのを受ける必要があった。
イギリス留学時にそんなものを受けた記憶はないぞと思いつつ調べると、長期の海外渡航者向けに健康診断のフルコースを提供するサービスがあるらしい。一般クリニックでも可とあったので、健康診断でお世話になったクリニックに一応聞いてみたが、「やってますが、え、英語で診断書ですか…?」という反応だったので、諦めて日比谷の専門クリニックにした。中々な額が吹っ飛んでいったが、その分「あぁフルブライトですね」と慣れた様子で、テキパキ進学先のヘルスチェック要件まで調べ上げ (州ごとにも結構違うらしい)、対応してくれた。

加えて春は、ペーパーワークがとにかく多かった。大学のTA契約とフルブライトのすり合わせだけで結構な回数やりとりをしたと思う。この時ばかりは、5年かけて作った自分の社会人ペルソナをありがたく思った。鍛え上げてきたジャパニーズサラリーマンハビトゥス (膨大な情報コミュニケーションをノーストレス・無心で捌く"お掃除スキル")が、遺憾なく発揮された瞬間だったと思う。

初夏、ビザ書類はスポンサー承認待ちの段階に入り一旦落ち着き、生活まわりの手続きを始めた。どんな頭でっかちであっても、ヒトである以上基本的な「食う寝る歩く」を整えないことには始まらないというありがたい教訓を、私は前回のほろ苦い経験から得ている。(美味しいご飯を食べ、メンタルヘルスに良い住居でしっかり睡眠を取り、適度に運動をしないと研究どころではなくなる。)

手始めにツテをたどり、先住者に話を聞いた。
「食う」に関しては、アイオワは意外と韓国人学生がいるためか、韓国食材へのアクセスは担保されているとのことだった。自分のメンタルヘルスは、正直日本食より韓国食へのアクセスに依存するので、この時点でかなり安心した。「寝る(住む)」に関しては、車を持ち戸建てを借りている人もいれば (アイオワシティは中々の田舎らしく、学生が戸建てを丸っと借りることも現実的なオプションに入ってくるとのこと)、栄えているエリアの小さめのスタジオ (一人部屋) で徒歩圏で生活している人もいた。
私は掃除が大変そうなので小さめのフラットを借りたかったが、そうした部屋は繁華街にあるので家賃が高い。仕方がないのでどう使っても部屋が余るであろう物件の不動産屋にコールドメールを入れてはみたが、予想通り返事はこなかった。
面倒くさくなってしまった私は結局、寮ではないが (アイオワ大学に院生用の寮は無い)、Facultyや院生が多く暮らしている実質寮的なところに申し込んだ。キッチンとリビングを共有するフラットメイトが一人いる形態だが、風呂トイレは寝室にあり専有である。
ロンドン時代、ウィードの匂いが漂う薄暗い路地を抜け毎晩のようにいる殺人鬼(切り裂きジャック)ツアーの人波をかき分けて帰宅し、築100年を優に超える建物の半地下部屋でTGIFの談話室のクラブのような爆音騒ぎにも耐えた私なので、自然豊かな日光降り注ぐ物件での共同生活は余裕である(多分)。
家の申し込みにはアメリカの電話番号が必要だったので、日本で取得できる会社を探して申し込んだ。

ちなみに、家は申し込んだらやること終わりという訳でもなく、ポロポロと確認事項が発生する。例えば電気ガス系の契約が必要だったが、これはルームメイトが先住者かどうかに依存するため、ルームメイトマッチング (非常にアメリカ的、ロンドンの際は問答無用でぶちこまれた) が終わり部屋が確定する7月まで動けなかった (結局先住者とマッチしたので特段アクションは必要なくなった)。またinsuranceも必要とあったため、適当な会社のプランを調べないと…と思っていたが、結局7月頃「住人ポータルで買えます」という案内が来た (最初から言ってほしかった)。

なお、最後の「歩く」に関しては大学のジム設備が異様に整っているらしいという話を各所で聞いたのと、家物件のコミュニティセンターに24/7のジムがあるそうなのでバッチリである (土地が余っているから設備が充実するのではないかと正直思っている)。

20代前半のエネルギーがあった頃は生活まわりをそれほど整えなくとも何とかなった気がするが、三十路の今や、健康第一である。(というか本当はいつだって健康第一であるべきである。)

「食う寝る歩く」以外の生活周りとしては、車を持つかどうか (持つとしたらいつ頃からか) の検討もした。維持費、免許取得方法、先住者インタビューから見えた生活費とstipend incomeの引き算を踏まえて車を持つことがペイするか…等々である。そう書くとすぐ終わりそうに見えるかもしれないが、調べていくと意外と時間がかかる (面倒くさい)。そう、この頃になると新生活が大変楽しみであるのと同時に、"面倒くさい"のオンパレードになる。だが仕方ない、やらないと誰もやってくれないのでやるしかない。

あとは地味だが、退職に伴う健康保険、年金周りの諸手続きも、誰もやってくれないので (大事なことなので2回言う) 色々調べ、制度を理解しながら手続きしていった。ちなみに役所の窓口は、聞くと意外と親切に教えてくれる。

そうこうする内に梅雨もあけ、7月に入り、渡米まで一ヶ月を切った頃、ようやく肝心のビザ手続きでアメリカ大使館に行った。面接というので身構えていたが、極めてスムーズに終わった (ただ、この辺りは人による部分が大きいかもしれない)。


ビザが取れればあとは粛々とパッキングの準備である。まさに今、リストアップ・買い出しが必要なものの洗い出しを進めているところである。


つらつらとここまでしょうもない体験記を書きおこしてきたが、いつか誰かの参考くらいにはなるだろうと思い、残しておく。
これから留学を検討されている方・渡米準備をされる方は、勉強以外にも実は結構色々あるので、大変だとは思うが楽しみつつ頑張って頂きたい。

そして何度でも言うが、大学院生の皆様におかれましては、生活周りの整えには是非注意を払って頂きたい。健康第一!

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