あれやこれやの雑務と完璧主義の脱皮:2月の日常
マイナス30度の冷凍庫のような1月も過ぎ去り、気温がプラスになったこの頃は半袖短パン勢がちらほら見受けられ、キャンパスはすっかり春模様だ。(東京の温室で育った私にとってプラス5℃はしかしまだ寒いので、半袖短パンで風を切ってランニングしている学部生に追い越されながらモコモコダウンでノソノソ歩いている。)
最近はどういう訳か研究がどうというより、To Doリストがパンパンな感じだ。
奨学金の更新手続き・新規申請、学部の報告書提出、確定申告などなど。この間やっと来年度の家の内見・契約まで済ませてきてやっと研究に集中できるかと思ったのだけど、全然そんな感じではない。
働いている時、複数プロジェクトに従事する働き方をしていたから、マルチタスクはさばける方だと思っていたけれど、中々全てをベストなタイミングで打ち返せている手応えはない。
タスク以外にも、色々な人から色々なアドバイスやコメントを頂く割にそれらを全て消化できている訳でもない。
授業外で参加したセミナーでは、野心的にパブリケーションを早い段階から戦略的に狙っていくべしという極めてごもっともな話をされ、タスクの山に埋もれかけて実際戦略的に動けている感じでもない自分を他人事のように自覚したりもした。
要するになんともまぁ、中途半端な感じな今日この頃である。
もっと死ぬ気で頑張らないといけないよなぁと脳筋的なことを思ったりする一方で、アクセルを踏み込みすぎ完璧主義が悪い方向に働くとインポスターシンドロームでノイローゼになりかねないしなぁとも思ったりする。
PhDというのは修道院か寺に近いんじゃないかと最近は思ったりするのだが、最近は (可能な限り) 毎朝晩ジャーナリングをするようにしている。笑われそうだが、「今日ちゃんと一歩進んだ」ことを目に見える形で書き残し自分で自分をエライと褒めないと、やってられないからである。
まぁでもセミナーでも、4年目だか5年目の人が毎朝作業開始最初の15分は自分の研究にあてることにしている、それでフローがくればそのまま午前中を使えばいいしフローが来なくても少なくとも15分は進めたと自己肯定して1日を過ごせると言っていたから、みんなそんな感じのゴールの見えないマラソンを健やかに続けるためのうまいやり方を見つけているのだろうと思った。
なんというか、会社員時代のマルチタスクで鍛えられたものがあるとすればそれは目の前に与えられた物を打ち返すという即応的な筋肉だったのであって、今の自分にそれと同じくらい必要なのは、タスクというかプロジェクト自体を、ペイするかどうかという単一的/わかりやすい基準ではなく自分の方向性/タイミング/キャパシティ等複合的基準に基づき設計し、自分がプロマネし、作業もするという、全方位的な筋肉なのだろうと思う。
(コンサル業界のjargonだらけでキモい文章になっている点はご容赦頂きたい、あえて対比するためにこの段落はこう書いている…ということでお許し頂きたい。)
まぁ、研究者というのは、個人事業主みたいなものなのだろう。
大学院生活についてざっくばらんに話す場で、何か研究についてアドバイスはありますかとクラスから聞かれた際ある先生が、自分の興味関心のままやりたいことをやれる自由は本当に素晴らしいことだよ、と返していた。そして続けて、会社で働いたことがある人ならその自由の意味がよくわかるんじゃないかな、と言ったのだが、しっかり一瞥された私は思わず苦笑いを返したのだった。
まぁそう、だから強い意思を持って戦略的に長期的な視座で考えることと、リラックスして (というと変な感じだけれど) 目の前にあることを脊髄反射で片付けていき今日一歩進むこととのバランス、そして色々言われることと自分ができることとのバランス、なのだろうと思う。
積み上がったタスクに押し潰されそうな圧迫感を感じている2月の今だけれど、今日、というかこの1時間で片付けることはこれ、という脊髄反射的なマインドにあえて持っていくことで最低限のストレスで一日一歩進んでいき、気付いたら一山超えていたという月末を迎えたい。