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Thank you 秋学期 v2
記憶が、半ば飛んでいる。
気付いたら学期もICUの燭火礼拝も終わっていた (東京にいる時は毎年出て、東京にいない時でもYoutubeで見ていたのに!)。
昨日のプレゼンテーションまで走り抜けてきたからだと思う。昨日、自分の分野で (多分最も) 参照されているレビューペーパーを書かれた先生に来て頂いて、固まってきた研究を見て頂いた。(ここまで引っ張って頂いて、場をセットしてくださったアドバイザーには本当に頭が上がらない。)
あまりの盛り上がり具合に予定していた時間の倍、ディスカッションが続いた。ここまで正面から移民、差別、線引き、排除の問題について議論する機会は今まで無かったから ー そして私は多分、その機会に飢えていた ー 、あまりに楽しくて、嬉しくて、ありがたくて、朝ごはんをあんまり食べれなくてプレゼン前にぐーぐーなっていたお腹は、気付いたら音を立てるのをやめていた。
この走り抜ける時間を通じて、あまりにも多くのことを学んだと思う。
得てして読み続ける i.e. インプットだけを続けがちになる研究生活だが、コンスタントにアウトプットを続けること、アウトプットドリブンで戦略的にインプットを続けていくこと、その繰り返し、アジャイルなプロセスで研究というのは進んでいくものだということ。
だからアウトプットをいかに速攻作るか、いかにサイクルを (それは文献まで立ち戻る大きなサイクルの場合もあるし、分析パターンを変えてみる比較的小さい半径のサイクルの場合もある) 多く回して頑強に論理を・ストーリーを仕上げていくかが肝要であること。
考えるより、いや考えるためには、言語化すること、アウトプットすることを呼吸をするように日常化する必要があること。
そういったことを頭ではなく身体で覚えた秋学期だったように思う。すごい脳筋なことを言っているような気もするが、でもhabitusってそういうことだと思う。先生はそういう姿勢を「見せてくれた」と思う。「教え」られることには限界があって、そばで見せてもらえた時に、真似て吸収するしかないことが沢山ある。ありがたいことだ、と思う。大人になってからそんなにhabitusを吸収できるような人に出会えること、学ぶ機会を得られることって、本当に貴重だ。
とはいえ新たなSocialな出会いも今学期はあって、川向こうの病院コミュニティを中心としたジャパニーズの皆さまとつながれた(絶滅危惧種とか以前書いてすみません、私が繋がっていないだけでした… いやでもSocial Science側では実際絶滅危惧種かも?)。日本語を喋らないコリアンの彼も何の問題もなく集まりに呼んでいただいて、日本語と英語ごちゃ混ぜの空間が当たり前にそこにあったことにジーンとした。言語というのは得てして一番わかりやすいsymbolic boundaryになるし、きつい言葉を投げつける訳ではなくて真綿で首を締めるような、穏やかそうな仮面の奥に渦巻くどす黒い嫌悪感情に裏打ちされた「呼ばない」「輪に入れない」形での排除の形に、私は慣れているから。
まぁ、皆様それぞれ色々な理由があってこの地に来たのだと思うけれど、頭脳流出がなぜ起こるかについて「我が国」はもう少し真剣に考えた方がいいと思うなどした。考えないだろうけど。
ちなみにホッケー観戦の経験は、社会学的にも、元インフラ周りのコンサル的にも、色々と面白かったので書き残しておこうと思う。
見たのは「Iowa Heartlanders」という、アメリカに3つあるアイスホッケープロリーグの一番下のリーグに属するプロチームの試合だった。2021年にできた新しいチームで、今年のキャプテンがなんとジャパニーズの方 (というわけでご厚意でチケットを頂いたジャパニーズが固まって観戦するという光景ができた)。チームキャッチコピーというものがあり、それが“Defend the forest”らしいのだが、中々面白い。Youtubeで宣伝動画があったので見てみたが、つまりDurkheimが言うところのトーテムはこの場合「森の中の鹿」で、プレーヤーは"平和な森の中への侵入者"としての相手チームと戦う、というセットアップらしい。どこまで観客がそのストーリーを意識しているかは別問題だが、あそういうアイデンティティなのねアイオワン、とちょっと面白かった。
試合が行われたXtream arenaは彼らのホームアリーナらしいのだが、キャパとしては固定席だけだと5,100人らしい (フロアも含めれば6,600人まで収容可)。 by Mediacomとついているのでネーミングライツを売っているのだと思われる。2020年10月にオープンしたらしくとても小綺麗だ。どこが運営してるんだろうと思ってちょっと調べたのだが、やっぱり所有権はCoralville市にあるが、建設、運営管理はOak View Group にPPPで発注したらしい。ちらっとアイオワ州政府から資金をもらってアリーナ一帯を不動産開発したと書いてあったので (確かにホテルやら洒落た店やらが謎に集積している)、田舎とはいえアイオワ大学があって集客力が強いということで州としても補助金を入れて開発してるのかしら、と思うなどした。
ちなみに細かい計算をした訳では無いが、アリーナのイベントカレンダーを見る限り半分くらいの稼働率に見える。まぁスポーツの種類によってシーズンの波が違ったりするのだろうけれど、この地でコンサートなんて中々ないだろうからほぼスポーツの試合で回しているのと考えると、よくお財布回るなぁ…と思ってしまった (回っていないのかもしれない)。
と、そこまで考えて、あーあCapitalismの奴隷から脱出してやっとアカデミアに来たのに、もう思考に刷り込まれてるんだなぁと何だか情けなくなってしまった…。(まぁでも社会のメカニズムを解きほぐすというのは社会学者の仕事なので一応仕事の範疇の思考、ということでいいのかもしれない…)
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冬休み、に一応テクニカルには入ったのだが、あまりそんなモードでもない。ここはハワイでもロンドンでもないので初詣 / New year evensong に行ける訳でもない (特にreligiousな訳では無いのだが年末年始のritual的に何か"そういう感じのこと"をやりたい気がする、のだ)。が、まぁ何か、この地なりの年末年始の楽しみ方を見つけたいと思う。