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おすすめの本 その2 『英雄伝』
こんにちは、みねるばです。
今回は、歴史上多くの人を魅了し、そして時に歴史を動かす力すら持った書物、プルタルコス『英雄伝』の紹介です。
ツイートまとめ:『英雄伝』とナポレオン
おすすめの本について
— みねるば (@minerva_owl1) January 26, 2024
哲学者ルソーが、もし人生最後に読む本を1冊選ぶとしたら、この本しかないと言った書物があります。
それがローマ帝国の作家 プルタルコスの『英雄伝(対比列伝)』です。そこで繰り広げられるのは、
何かに命を捧げた英雄達の胸躍る物語です。
— みねるば (@minerva_owl1) January 26, 2024
叡智を求めた者、正しさを追い求めた者、平和を求めた者、力を求めた者、滅びゆく帝国の運命に抗った者、昇る帝国の先に栄光を掴んだ者、国を救い、そして愛する祖国に裏切られた者。
そこにはあらゆる英雄がいて、そこにはあらゆる栄光と悲劇があります。
— みねるば (@minerva_owl1) January 26, 2024
どんな人であっても、読めばかくありたいと願う英雄が必ず1人は見つかります。
この本は歴史上多くの人を魅了し、そして惑わせる力がありました。この本の魔力に取り憑かれた男がいます。
— みねるば (@minerva_owl1) January 26, 2024
それがナポレオンです。士官学校の成績こそパッとしない彼ですが、抜群にできたものがありました。それが歴史。中でも彼の愛読書が英雄伝です。彼は寝食を忘れてこの物語を読みふけりました。
そして、読みながらこう思いました。
— みねるば (@minerva_owl1) January 26, 2024
自分もアレクサンドロスのようになりたい。
自分もカエサルのようになりたい。
軍人となった後の彼は、まるで英雄達の足跡をなぞるかのように、それを行動に移しました。
当時、指揮官の仕事は安全な場所から、兵士達に行ってこいと命令するものでした。
— みねるば (@minerva_owl1) January 26, 2024
しかし、ナポレオンは違います。アレクサンドロスのように先頭に立ち、我に続けと叫びました。そんな指揮官を死なせまいと、兵士達は死ぬ気で彼を守りました。
指導者が兵士達と危険を分かち合いながら進む。それはさながらカイロネイアの決戦で繰り広げられた光景かもしれません。彼は軍の中で凄まじいカリスマ性を獲得しました。
— みねるば (@minerva_owl1) January 26, 2024
また、ナポレオンはエジプト遠征の際に、沢山の学者を連れて行き、古代世界の謎を解き明かすロゼッタストーンを発見しました。
— みねるば (@minerva_owl1) January 26, 2024
それはアレクサンドロスが東方遠征の際に、賢者アリストテレスの弟子達を伴い、様々な学術的発見をもたらしたことそのものです。
そして、カエサルが詩作を好んだように、ナポレオンもまた詩を作り、ジャコバン派に送っています。それが評価され、彼は政治の表舞台にも躍り出ることになりました。
— みねるば (@minerva_owl1) January 26, 2024
歴史に学び、民の心を掴み、権力の座を駆け上がる。
— みねるば (@minerva_owl1) January 26, 2024
そして、彼はとうとうカエサルが望み、死んでもなれなかったものになります。
「皇帝」
その野望に満ちた冠を自らの手で頭に載せた時、彼もまた英雄の1人へと召し上げられ、歴史にその名を残すことになりました。
英雄伝とナポレオンの記録を読み比べると「だからか!」と思わせる記述が沢山あります。
— みねるば (@minerva_owl1) January 26, 2024
ですが、それを全て明らかにするのは無粋なことでしょう。
是非皆さんも読んでみてください。
ナポレオンの足跡を辿るのもよし、本の魔力に取り憑かれ、歴史の激流に身を投じるのもよしです。
みねるばおすすめの関連本
『英雄伝』は古代ギリシャ・ローマのあらゆる英雄を、哲学者から詩人、政治家、軍人まで、扱っています。
ですが、その数はあまりに多く、細かい話も多いので、最初から全部読もうとすると大変なことになります。
なので、読むコツやおすすめの入門書、副読本を紹介しようと思います。
最新世界史図説タペストリー 二十一訂版
世界史の図説で、これは必須です。
やはり図や写真、地図がないと、英雄伝の内容が頭に入ってきません。
アテナイってどこ?
重装歩兵って何?
ローマ帝国ってすごいの?
そんな質問にビジュアルで答えてくれます。
これならわかる!ナビゲーター世界史B 1 先史~中世ヨーロッパ史の徹底理解
古代ギリシャ・ローマのざっとした歴史をわかっていた方が、英雄伝を楽しめます。
こちらは世界史の参考書で、歴史をとても面白くわかりやすく解説しています。
教科書の淡白な記述とは違い、生き生きとした物語が描かれます。
ギリシャ・ローマの章だけざっと読んでみるのがおすすめです!
ローマとギリシャの英雄たち 黎明篇・栄華編―プルタークの物語 (新潮文庫)
博識な作家の阿刀田 高さんの解説入門本です。
プルタークは、プルタルコスの英語読み。
細かい話や専門的な部分を抜いて、とてもわかりやすく英雄を紹介しています。
全ての英雄を扱ってはおりませんが、読んでもっと深く知りたいと感じたら、後述の原典に当たってみるといいかもしれません。
ただ、最初から順に全て読むことはせず、2冊の目次をざっと見て、面白そうな英雄だけつまみ食いすべきです。
英雄伝も全ての章は独立しているので、どこからでも好きな順番で読むのがおすすめです!
プルターク英雄伝─エロビオグラフィア─ (1)
なんと、漫画版(全3冊)にもなっております。
こちらも興味を持った英雄から読んでみるといいでしょう。
おまたせしました。
続けて、以下が原典の翻訳本となります。
西洋古典学の大家、柳沼重剛先生の名訳です。
他にも色々違う訳の本が出ていますが、個人的には柳沼訳がベストです!
(しかし、値は張りますが・・・)
6巻まで出ていますが、こちらも目次を見て、好きな英雄が出ている巻をつまみ食いするといいと思います。
それぞれの巻のおすすめ英雄を紹介します。
英雄伝〈1〉 (西洋古典叢書)
賢者ソロン
彼の叡智について記述されています。
頭脳を鍛えたいなら、彼に学びましょう。
軍人テミストクレス
ギリシャ最大の危機、ペルシャ帝国との戦争を勝利へと導いた英雄中の英雄。
しかし、そんな国家英雄に対し、祖国アテナイの仕打ちはあまりにも・・・
英雄伝〈2〉 (西洋古典叢書 G 53)
僭主(せんしゅ)アルキビアデス
最悪の独裁者とも言われる存在なのに、なぜか人々を魅了し、常に人気者。
その秘訣について迫る。
英雄伝3 (西洋古典叢書)
正しき人 アリステイデス
常に公正と正しさを求めた者。
ギリシャの劇場で、正しき人を称えるセリフがあった時、全員が彼を見たという。
そんな彼が目指した正義とは・・・
監察官カトー
演説の最後に「ともあれカルタゴは滅ぶべきである」と言ったあの大カトー。
堕落するローマ人を戒め、常に厳格さで人々を引き締めた。
英雄伝4 (西洋古典叢書)
金持ちクラッスス
ひたすら金儲けに明け暮れた男。
英雄と呼んでいいのやら。
人類史上トップ10には入る富豪と言われた彼のビジネス法とは。
最古のビジネス書かもしれません。
文官エウメネス
アレクサンドロス大王に仕えた賢者で、古代ギリシャを舞台にした漫画『ヒストリエ』に出てきます。
『ヒストリエ』もめちゃくちゃ面白いので、リンクを貼っておきます。
・ヒストリエ(1) (アフタヌーンコミックス)
英雄伝 5 (西洋古典叢書)
アレクサンドロス、カエサル
もはや紹介の言葉は不要。人類史の英雄の軌跡が生き生きと描かれます。
弁論家デモステネス
最も演説がうまいと言われた弁論家。
彼がどのような習練をしたのか。
その鍛錬と結末が記されています。
英雄伝6 (西洋古典叢書 G 116)
とうとうラスト。
廉潔の人ブルータス
ブルータスよ、お前もか!のあの人です。
誰もが彼の徳を褒め称え、公のために生きた人。
カエサルも彼の人間性を高く評価していました。
そんなブルータスがなぜ恨みもないカエサルを殺さなければならなかったか。
その秘密に迫ります。
以上長々と読んでくださり、ありがとうございました!
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