数1000万年前の化石を、大人が本気で磨いてみた
コロナ禍ど真ん中の今年3月、夫婦でカフェをオープンした。
普通のカフェではない。鉱物カフェである。
地球上のあんなところやこんなところを掘り起こして集めた原石や、それをカットした宝石、宇宙から飛来した隕石などの展示販売をしている。
百貨店や博物館のガラス越しではなく、直接手に取って、地球が生み出した芸術品に触れてほしい。子どもたちに、自然をもっと身近に感じてもらいたい。
そんな思いから手に届く位置にすべての商品を配置している。
さて、今回は夏休みに販売した「コパル(若年琥珀)の手磨きセット」について。
自由研究に頭を悩ませる親御さんがいかに多いか、想像以上に早く売り切れてしまったので、アイデアを必要とする方々に届くことを願って、初めてnote を書いてみる。
そもそもコパル(若年琥珀)って何?
若年、といっても数千万年前の樹脂の化石である。
もっと年代の古いものはアンバー(琥珀)と呼び分けられるのだが、明確な年代特定はできない。水分が揮発してより茶色が濃くなり、経年による変化が少ないものがアンバーである。
紙やすりで磨いていく
240、800、2000と荒い順に削っていく。
今回の手磨きセットには同封してあるが、もし足りなければホームセンターに行けば揃うはずだ。
周囲の汚れを削り取り、内部の黒い点々が見えやすくなるように磨いていく。
水に濡らすと、摩擦による熱が軽減されるため割れにくくなる。
そのまま削ってもいいが、形を整えたい場合は油性ペンで目指す形を書いてから削っていくのも良い。ニッパーなどで大まかにカットすることも可能だ。
しばらく磨き進めていくと、中身が見えてきた。
虫っぽいのが見える!
ツヤツヤになったところで、マイクロスコープで中身を観察してみる。
形からするに甲虫の仲間。
脚力の強い甲虫は羽虫に比べると樹液から脱出しやすいので、コパルには残りにくいのだが、綺麗に全身が残っている。
足元にもう一匹発見。
キクイムシ類はその名の通り木を食べるので、樹脂に内包されやすく、比較的見つけやすい。
どことなく愛嬌のある横顔だ。
羽が分かりにくいがキノコバエの仲間だろうか?
余談だが、夏場によく網戸をすり抜けて家の中を飛び回っている小さなハエはクロバネキノコバエである。一般家庭では植木鉢などから発生し、食卓を飛び回るので不快害虫とされる。
例に漏れず我が家の子どもたちにもよく叩き潰されているが、コパルに収まってさえいればちびっこたちは大興奮するのだから、なかなか不憫な生き物である。
さて、今回は一つのコパルから5匹程度の虫を見つけることができた。
伊丹昆虫館まで直接聞きに行ったという行動力あるお子さんの協力で、ある程度までの種別同定ができた。好奇心は偉大である。
応用編
ピンバイスなどで穴を開けるとネックレスにもできる。
自分で磨いた世界で一つの琥珀。きっと特別なものになるだろう。
まだまだネタは尽きない
・飽和食塩水に入れるとどうなるか
・こすると静電気が発生する?!
・琥珀はどうやってできるのか
・なぜ「琥珀」という漢字なのか
・産地はどこにあるのか
・最も古い年代はいつのもの
・薬に使われていた時代の薬効とは
・お香としても利用されている粉末を燃やしてみよう(必ず大人と一緒に)
などなど…
自由研究にはもってこいのネタであることは間違いない。
あとは夫の手が腱鞘炎になっていないことを祈るばかりである。
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鉱物&カフェ Mineral Muru オーナー
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