装束のはなし
男性神職と女性神職は同じ神職ですので、神事における役割や身分に差はありません。しかし、明確に違うのは身に着ける装束です。男女ともに平安時代の有職(ゆうそく)故実(こじつ)に基づいた装束を着ます。
男性神職は、正装は衣冠(いかん)、普段の神事では狩(かり)衣(ぎぬ)を着ます。アニメのおじゃる丸が着ている着物と言うとイメージしやすいかも知れません。
女性神職は、正装は唐(から)衣(ぎぬ)、普段の神事では表(おもて)着(ぎ)あるいは水干(すいかん)を着ます。
どのような装束かと申しますと、唐衣と表着は宮中の女房装束を基にしており、外での祭典や神事で動きやすいように裾が短く、お腹の所を紐で結んで着ます。水干は狩衣と似た装束で、首の所の装飾が違います。
小学生の頃、神社で着装した神職を見て、「お母さん、平安時代の人がいるよ」と言ったのを今でも覚えています。まさか、十数年後に自分が「平安時代の人」になろうとは思いもよりませんでした。
初めて神社で神事を奉仕した時、神職の雅な姿や巫女が神楽舞の時に着る衵(あこめ)装束(十二単のような装束)の華やかな姿は、まさに神様の世界に誘う非日常の空間でした。
装束以外にも、御簾や几帳など国語の教科書でしか見たことのない調度品が神社では日常で使われており、大変感動しました。私どもは、神社の維持管理だけでなく、日本文化の伝統を守っていかねばならないと強く責任を感じています
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