ECサイトの口コミ・購買データ×AI、購買者の声を元にしたPOPで隠れた需要の掘り起こしに成功
株式会社マインディア(本社:東京都港区、代表取締役CEO:鈴木 大也、以下マインディア)と株式会社西鉄ストア(本社:福岡県筑紫野市、代表取締役社長:久保田 等、以下西鉄ストア)は、一般社団法人リテールAI研究会(所在地:東京都千代田区、代表理事:田中 雄策、以下リテールAI研究会)の研究活動として、ECサイトに投稿された口コミ(レビュー)・購買データを元にPOPをAIで生成する協業を行い、新しい売り場づくりと需要の掘り起こしにおいて、一定の成果を得ることができました。また、本件の詳細は2024年6月にシンガポールで開催されるNRF 2024: Retail’s Big Show Asia Pacific(以下NRF APAC 2024)にて展示・発表を行います。
取り組み内容について
マインディア、西鉄ストア両社が加盟するリテールAI研究会内の活動を通じて、売り場における商品説明文(POP)の作成と活用を行いました。マインディアが保有するEC口コミ・購買データを元に、AIによる解析と自動生成でPOPを作成、西鉄ストアの店舗で実際に展開しました。
課題と背景
スーパーマーケットの課題
食品スーパーの売り場においては作成工数や費用の観点から、POPを付ける商品は重点商品に限定されます。そのため、特に定番商品の販促手段は価格訴求が中心で、利益を圧迫する要因となっています。
メーカーの課題
プロモーションに多大な広告費や販促費がかけられないメーカーの商品は、消費者の認知と販売機会を得ることが難しく、価値ある商品であっても新規のユーザー獲得が難しいという課題があります。
消費者の課題
現状の売り場では、パッケージの情報や限られたPOPの情報でしか商品を選ぶことができません。またそれらの情報も、メーカー・小売店の販売者による説明で、中立性に欠けます。
実施のフロー
1. 西鉄ストアのID-POSデータをAIで解析し、顧客層の特性と購買傾向を解明
2. 1の結果から潜在需要が見込め、かつ種類が多く訴求が難しいカレーカテゴリと韓国のりを対象商品に選定
3. マインディアのEC口コミ・購買データをAIで解析し、商品ごとに消費者評価の傾向を特定
4. 各商品に対して見込み客の特性を踏まえた商品説明文を、AIで自動生成
2024年4月24日から5月21日の4週間、AIで生成した商品説明文のPOPを、「レガネット 牛頸」(カレーの定番棚に並ぶSKU30点)と「レガネット 東郷」(特定SKU1点)の2店舗で展開しました。
成果
売り場提案力の増強
実験店舗におけるカレーカテゴリの対象SKU売上構成比が全店平均を6.5ポイント上回る67.5%に。実際の購入者の口コミとAIに基づく商品説明は、情報の信頼性の高さから、顧客に対し選ぶ楽しみと出会いを提供するという評価にいたりました。
カテゴリ売上
カレーカテゴリの売上が前年対比105.5%(全店平均の+0.9ポイント)に。選ぶ楽しみを提供することで、売れる商品のすそ野が広がり、カテゴリ全体の売上が伸長しました。
売れるPOP作成
工数をかけずに購買につながるPOPを自動で作成することができました。
これらの成果は、メーカーが販促費を使うことなくお客様の商品との出会いを創出することに繋がり、小売事業者にとどまらず、メーカー、消費者の3者の課題を解決します。
今後の展開
今回の結果を元に、PDCAを回しやすくするための手法の構築や精度向上、展開売り場の拡大等を検討・実施していきます。
NRF APAC 2024への出展
2024年6月11日(火)から6月13日(木)の3日間、シンガポールのマリーナベイ・サンズ エキスポ&コンベンションセンターで、小売業界最大規模の展示会「NRF2024: Retail’s Big Show Asia Pacific(NRF APAC 2024)」が開催されます。本取り組みはリテールAI研究会のブース内で、展示・発表を行います。
リテールAI研究会の研究活動
リテールAI研究会では、加盟会員社が特定のテーマに沿って、AI実用化実験等、様々な研究活動を実施しています。本取り組みは、マインディア保有のEC購買データ/オンライン行動データのオフラインリテール活用を目的に、2024年1月に西鉄ストア、マインディア、リテールAI研究会の3社にて開始しました。