日本の作曲家が中国で仕事をするために知っておくべきこと ゲーム劇伴③
おはようございます、かわはら社長です。
前回に引き続きゲーム劇伴制作のお話です。
中国で一番売れているゲームなどappのセールスランキングTop100の10作品前後を常に手掛けていますが、そういった作品をイメージしています。世の中には色々な作品があり、あくまで私見ですのでご了承ください。
前回辛辣に書いた通りで、日本の作曲家と言っても現地でよく挙がるのは15名(最大限に見積もっても30名程度)という現状があります。
とても失礼な言い方になることは重々承知ですが、"そこに挙がらない作曲家さん"向けに、オファーが来るために知っておくべきことを書いてみます。
そもそも中国から海外にオファーする需要はあります。
挙がる人たちと日本でのキャリアや品質は遜色ない方々も、"知られていない"というだけでオファーが来ていないだけなので、価値を最大化する必要があります。
私自身そこに価値があると思って仕事をしています。
まずは中国のゲーム劇伴のオファーのルートを考えてみましょう。
ざっくり分類すると下記でしょうか。
①中国のゲーム会社から直接オファーが来る
中国からバリューのある限られた作曲家の場合は直接オファーが届くケースも少なくありません。本人のHPやTwitterのDMまで直接来ます。
実際、弊社が中華圏のマネジメントをしている作曲家事務所宛にもよく届きます。
弊社はそのタイミングから引き継ぐので、このケースで基礎条件(対価、スケジュール)が合わないケースを除きこれまで全ての案件を成立させています。
今回は何もせずにオファーが来る限られた作曲家さん向けのお話ではないので割愛します。
②国際間の制作をしているエージェント/制作会社からオファーが来る
弊社のような会社からオファーが来るというイメージでしょうか。
日本企業、中国企業、米国企業、など、いくつもルートがあります。
このケースが一番現実的だと思うので、今回と次回はこのケースについて掘り下げてみます。(③の場合もここを経由されるケースも多いと思います)
③マネジメント宛に中国からオファーが来る
マネジメント側からしたら、それができたら苦労しない、と言われるかもしれませんが(笑)
中国に積極的にアプローチしているマネジメントもあって、仕事しているところもたくさんありますよね。(中国側から色々な情報が常に入ってきてます)
大事故を起こしている話もよく聞きますし、トラブルが起きてから私のところに来る日本の皆さんもたくさんいます。
専門的な知見のある側から言わせれば日本側もだいたい地雷踏んでることも多いんですけどね(笑)
日本と中国の劇伴制作で異なる点だったり、マネジメント向けの話もそのうち書いてみます。
④日本の案件が中国案件と紐づいているケース
例えば日中合作だったり様々な案件があると思います。
これはケースバイケース過ぎるので、今回は割愛します。
[最も現実的な②のケースについて]
まさに弊社もこの業務をしています。
弊社が起用したくなる作曲家さんは他社からも需要あるんじゃないかと思います。
③マネジメントの所属作曲家の場合も②のケースが多いと思います。
中国の制作案件をオファーするためにお願いしたいことは非常にシンプルです。
ぶっちゃけた意見ですが、「日本で売れる」ことが一番の近道です。
(元も子もない意見ですみませんが…。)
前回の通りで「歌モノ、ドラマ、映画、スマホゲーム」はあまり中国では刺さらないので、中国で刺さる作品を手掛けてもらえるとエージェント側としてもオファーしやすいです。
具体的な例を挙げてみましょう。
弊社は中国最大手ゲーム会社から常に新しい案件の打診が来ていますが、予算やスケジュールの都合で希望の作曲家にオファーできないケースもあります。
その場合に「日本アニメっぽいグラフィックだし、日本の作曲がいいと思っているんだけど、いいアイディアない?」なんて相談されるんですね。
常識的なやり方でやるのであれば、中国で知名度のある日本アニメorゲームのサウンドトラックで質感のなるべく近いものや自分からの意見を添えて「作曲家でどうですか?」と提案していきます。
ここでポイントが「サウンドトラックを添えて」と「中国で知名度のある日本アニメorゲーム」ということです。
中国だと日本以上に作曲家がどんな作品を手掛けてきているかを重視します。
国内だとジャズっぽい劇伴を仕事でやったことなくてもジャズっぽい作品のオファー来ることも普通にある思いますが、中国だと"やらせたら面白いんじゃないか"という観点よりも"過去にこういうものをやっているから任せたい"みたいな慣習が強いです。
また日本国内だと基本的に通じない実績ってあんまり思いますが、中国で響いてないコンテンツだと実績的に価値0みたいな扱いになります。
あまりヒット作に恵まれなくても地上波でやってる作品の劇伴を何本もやっていれば、品質面を過度に心配されるようなことって無いじゃないと思いますけど、中国との国際間では普通にあり得ます。だって価値0だもの。
これは日本でK-Popと言われて東方神起やTWICEなどトップ級は知られていても、ある程度売れている…くらいだと一般人は名前すら知らないレベルに知名度が落ちる感覚と近いんじゃないかなと思いますね
自分も「TWICE手掛けてる作曲家」と「現地ではそこそこ頑張ってる(らしい)けど知らない人ばかりやってる作曲家」では先入観が入ってしまうかもしれないものね。
エージェント側から言わせてもらえば、持たせてもらえる武器が強いほど成果を上げられます。
なので「日本で売れる」ことが一番の近道です。なんて元も子もないことを書きましたが、中国で刺さる作品を1つも手掛けていない場合はまずは日本でそういった作品に携わることをオススメします。
もし自身のキャリアが中国で刺さりそうか気になる、とかであればTwitterとかで気軽にDMもらえればと思います。
まず自分の位置を知ることってめちゃくちゃ重要なんじゃないかな。
ということで、日頃お仕事している作家さん、事務所さん、最新のプロフィールと作品を定期的にいただけると嬉しいです。(弊社に武器を持たせれば、しっかり働いてきますので)
次回はある程度中国で刺さるキャリアを持っている場合に、どうすればオファーが来るのかという話を書いてみます。
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