日本の作曲家が中国で仕事をするために知っておくべきこと ゲーム劇伴②

おはようございます、かわはら社長です。
 
前回に引き続きゲーム劇伴のお話です。

中国で一番売れているゲームなどappのセールスランキングTop100の10作品前後は常に手掛けていますが、そういった作品をイメージしています。世の中には色々な作品があり、あくまで私見ですのでご了承ください。

中国からの需要として”優秀なクリエイターが足りていない”と書きましたが、そんな状況で日本で優秀じゃない人に頼んでだら本末転倒ですよね(笑)

そもそも日本のコンポーザーのバリューですが、中国ゲーム会社の音楽班に「日本のコンポーザーで誰を起用してみたいか?」と聞いて数名の名前が挙がればかなり優秀だと思います。

ちなみに挙がる方々ですが、ほぼ毎回同じ名前が挙がります。(約15名前後、たまに挙がる方々も合わせても30名に届かないくらいですかね)

これは逆の立場で考えてみたらイメージしやすいと思うのですが、日本のゲーム会社の音楽班に「ハリウッドのコンポーザーで誰を起用してみたいか?」と聞いて10名も挙がってくれば十分だと思います。
(もちろん詳しい方々もたくさんいますが、一般論として)

まして中国から観て日本は米国、欧州、韓国に次いだポジションなことは以前お話した通りです。むしろ日本人作家で挙がる約15名がいるのは、日本のコンテンツ力(主にアニメ)のおかげかなと思います。

ちなみに中国のゲーム音楽制作でよく挙がる人たちには要因があるのですが、それが下記になります。

①中国でファンの多いアニメ作品を手掛けている

中国から最も触れることが簡単な日本のコンテンツがアニメになります。

最近ようやくがNintendo Switchが正式にリリースされましたが、ハードウェアを使うゲームや中国版がリリースされないと遊べない日本のスマホゲームよりもネットで正規版の観れるアニメに圧倒的に導線があります。

そのため、アニメの実績のほうがゲームよりも通用しやすい現状があります。
(タイトルの規模にもよりますが、全体論として)

よく挙がる約15名の中でも弊社が中華圏のマネジメントしている高梨康治氏が最もゲーム会社から挙がるコンポーザーですが、NARUTOが中国で日本の少年作品で一番人気であることは大きな要因です。

それと高梨氏のサウンドといえば和風×ロックという確立されたスタイルがありますが、前回の通りで和風サウンドは日本に依頼したい需要があります。実際に中国作品で日本が登場する作品のオファーも多いです。(決戦!平安京龍族幻想、など)

②:中国でファンの多いオリジナルのコンシューマーゲーム作品を手掛けている

ゲーム分野だとコンシューマー作品の実績が必須になります。

スマホゲームがバリューになりにくい理由ですが、そもそも日本のオリジナルIPのスマホゲームが中国市場に参入してことごとく失敗しています。
”パズルをフリックで入れ替えるアレ”も”弾を弾いて戦うアレ”ですら、ほぼ爆死状態でしたからね。。。

もちろん例外はあるのですが、日本のIP作品(FGOなど)or日本のIPを使用して新規制作しているゲーム(魂斗羅、聖闘士星矢など)のほうが優勢です。IP作品だとゲーム版の音楽よりも導線のあるアニメの音楽が評価される傾向にあることもあり、オリジナルのコンシューマー作品の実績が求められます。

本題のコンシュマー作品ですが、中国で受けているタイトル=グローバルで売れているタイトルという印象です。

例えば下記などでしょうか。

・ファイナルファンタジー
・ストリートファイター
・モンスターハンター
・ペルソナ
・ニーアオートマタ

など

ざっくり目安ですが、100万本以上売れている作品で海外売上>国内売上みたいな作品は中国でも人気がある可能性が高いです。

個人的に一番好きなゲームなので残念ですが、ドラゴンクエストは国内売上が大半なこともあり中国だとあまり知名度がなかったりします。アニメもこういったケースもあるのですが、中国でヒットしている作品の実績が重要です。

③ドラマの実績はあまり役に立たない

大河ドラマ、NHKの朝ドラ、月9、などは非常に大きなお仕事だと思いますが、中国ではあまり重視されていません。以前も書きましたが、そもそもドラマ自体がほぼ中国に輸出できていないので実写は根本的に難しいです。

ということで、前回「99%くらいの人は基本的には需要はない」と書いてましたが、挙がる人が決まっているということなんですよね。

もちろん弊社も名前が挙がる15人とだけお仕事をしているわけではありません。

むしろ名前が挙がる人たちはアニメorゲーム系を中心に活躍しているタイプのトップコンポーザーなので、スケジュール確保するのも大変ですもの(笑)

辛辣なことを書いてしまいましたが、
日本を含む海外に発注する需要自体はあるから弊社も仕事しているわけで、次回からはその需要を掘り起こす方法みたいなお話を書いてみます。

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