~”入れ子構造”の謎を解く~『髙田安規子・政子 冨安由真 東山詩織 「枠物語」』
”入れ子構造” × "物語" の解として、
「小人」がピッタリ!テーマとギミックの親和性◎
前フリが丁寧! 美術初心者も楽しめました〜!
以上が【感想の結論】となります! (終)
”入れ子構造” × "物語" をテーマとした「枠物語」という展示会を観てきました。
その感想ルポになります。
最後まで読んでくださると嬉しいです!
【前置き】
【展示会の説明】
髙田安規子・政子 冨安由真 東山詩織 「枠物語」
場所:東京・代々木にある「Gallery 10 [TOH]」
会期:6月30日で〆
【"私" の説明】
美術知識 ゼロ
謎解きが好き
展示作品の素人解釈
➡ 作品内容を十全に鑑賞できているかは怪しいです。
【余談:入れ子構造とは】
マトリョーシカのような再帰性のある構造のこと。
枠物語とは、その物語バージョン。
作中作に近い (ex. 『千夜一夜物語』)。
謎解きだと、
「ドロステ謎」が同じテーマですね
(問題の中に問題画像が埋め込まれている構成のナゾ)
どちらもうまい構成ですよね……!
入れ子構造、
無限に続く画面が、鑑賞者まで迫ってくるように思えるところ。
ここがおぞましくて、不思議で、魅力的です
【いざ展示会場へ】
一部の展示をざっくり紹介します。
【入口】
「枠物語」の入り口は、細いビルの中にありました
よく見るとPULLって書いてあります。
ビルと自販機の相性は良さげ?
ドアの先には階段が。
上った先の踊り場には絵画が。
上り切った先に、ようやく展示会場!
あれ?
この景色、さっきの絵と同じだ!!
➡入れ子構造!
既に展示が始まっていた???
これから私は、絵画の世界の中に引きずり込まれるんだ
【窓】
ようやく展示会場内に辿り着けました。
部屋の4辺は、窓枠で囲われており、カーテンがあったり無かったり。
中央には大~小のベッドが無数に置かれていました。
窓枠で囲むことで、部屋を模している?
部屋の中に部屋がある?
➡入れ子構造!
入れ子の景色の中に、
部屋の外の生活が垣間見えます。
テントみたいな住居で暮らしているのでしょうか。
構造上、奥の方は小人みたく見えてしまいます。
今度の景色は写実的です。
室内の食卓?の様子でしょうか。
いや、”部屋の中” から ”室内” が覗けるっておかしい。
窓枠に、何か違和感を感じる
......カーテンが窓枠の「奥」についてる!
ってことは、
絵が「室内」で私が「外」ってことか。
覗いているはずが、覗かれていました。
【小部屋】
今度は、皿の上にミニチュアの食器が置いてあります。
可愛いサイズ
と思ったら、後ろに小部屋。
staff onlyかな?と思っていたら
会場の方に
「入っても大丈夫ですよ~」
と案内されました。
これも展示の一部らしいです。
よくこんなにも小さいものを。
精巧に作られているな~
……。
──この2枚の絵、どこかで見たことあるな──
あ!
展示会場本体(?)に飾られていた景色の絵と同じだ!
ってことは、
➡展示会場の入れ子構造の小部屋だ?!
【誰の生活空間か】
どれもこれも前フリが丁寧で面白い~
でも、まだ、気になることが。
これまで観てきました、
大小あるベッド
窓から見える小人?
ミニチュアの食器
やけに狭い小部屋
の中にミニチュアのインテリア
このヒントから、
発想を飛躍させると
つまり?
➡この部屋では、小人も暮らしてるってこと?
入れ子構造の設定的に、人の絵が小さくなるのではない。
入れ子構造で生まれるミニチュアサイズのモノに
意味を持たせる。
その物語として、「小人」は要請されていた?
寝具がど真ん中に置かれているという、
通常ならありえない部屋のレイアウト。
これも、
寝具を生活感の表情として用いて、
大〜小の生物が存在する事を明示しているのなら納得!
もしかして私たちも、巨人に覗かれている?
これは違いそう
感じろと言わんばかりのインスタレーションなのに、
非常にロジカルで布石が丁寧!
ちょっとした感動がありました。
入れ子構造と物語が、
独立して存在しているのではなく、
互いに必要とし、密接に絡み合っている。
アイデア表現の一貫。
良い大謎を浴びたときの納得感に近いです。
え、じゃあ。
あの小部屋の中の、
ドアを覗いたら???
中には、きっと。
中には、きっと。
うわああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ