アバター2から学ぶ、ソーシャルペインと訪問看護チームに必要なこと
おはようこんにちはこんばんは!
ナーシングマネージャー®の赤木です。
「看護師しんどい!」をラクにする🌈
研修講師・訪問看護管理者コンサルティング
をしています。
なぜかというと、患者さん、利用者さんに
いい看護を提供するには、
看護チームのコミュニケーションや、
看護師自身の心のケアが必要だと
考えているからです。
赤木は、日々アンテナを張って過ごしています。
研修に参加してくださった生徒さんに、
いつでもいいものを提供したり、
看護師の悩みを解決できるようなヒントや気づきがあるように。
ヒントは、あらゆるところで見つかります。
患者さん・利用者さんと関わり、
チームや家族との関わり
歌やドラマ、映画、漫画、アニメなどの
名作にも気づきがたくさんあります。
この考察日誌シリーズでは、
そんな名作からの気づきを、
ネタバレありで掲載します。
正解はありませんが、よかったら読んでいただき、
ご自身の考えや気づきを深める
刺激にしていただけると嬉しいです。
アバター:ウェイ・オブ・ウォーター
※重大なネタバレが含まれますので、観てから読んでくださいね
令和4年も終わりに近づいたクリスマスイブに、映画館に観に行きました。
感想は、ものすごくよかったです。
がんばっている自分への
クリスマスプレゼントだと思いました。
いろんなことを感じました。
戦争のこと、
資源のこと、
人間の愚かさ、
ソーシャルペインやスピリチュアルペイン、
子どもという存在のこと、
愛のチカラのこと。
すべては書ききれないので、
何回かに分けて書きたいと思います。
アバター2考察連載
#1アバター2から学ぶ、医療・看護チームの人間関係のヒント
今回は#2ソーシャルペインについて
新たな土地や違う環境で人間関係をイチから構築しなおす
慣れ親しんだ土地を離れて
種族の違う人たちの中で
生きていかなければならなくなった
主人公サリー家族
自分たち、森の部族・オマティカヤ族と
移住先の、海の部族・メトカイナ族は、
環境に適した進化をそれぞれしていて、
身体の形が違います
働くことも、食べることも、遊びも
すべてが変わります
サリー家族はオマティカヤでは
部族長の家族でしたから
地位もあって、周囲からも愛されていたでしょう
そんな彼らが、
他の部族にお願いして住まわせてもらう
身体が違うため
「ちゃんと働けるの?」という目で見られる
しかも、戦争という不穏な影を連れている
そんな、低い地位からスタートするわけですね
生きるために
危機理論からみても、かなりの環境の変化により
ストレスが強い状況ですよね
しかも、子どもたちは正直で、残酷で
大人たちが、体裁で隠している不安や疑念を
無意識に受け取り
メトカイナ族の子どもは、
サリーの子どもたちに意地悪をします
そんな彼らが、
ソーシャルペインを感じていることが
キリ「なぜ、私はみんなと違うのか」
トゥク「おうちに帰りたい」
ロアク「はぐれているお前の気持ち(孤独)がわかる」
といった、子どもたちのセリフからもわかります
(キリのセリフは、個人的には、違う意味も含まれていると思います)
ターミナル看護に欠かせない、トータルペインの理解
ソーシャルペインに補足すると
今まで自分のアイデンティティになっている
人間関係や社会的地位が
病気により失われていくことが
痛みになるんですよね
看護師の私たちは、
日々、患者さん・利用者さんの
この4つの痛みに向き合っています
その中でも
社会的苦痛(ソーシャルペイン)と
スピリチュアルペインは
薬や治療では緩和することができず
看護師として、
無力さや、もどかしさを感じる人も
いるのではないかと思います。
私も、そのひとりです。
ですが、私は
看護師が人間だからこそ、
この痛みのケアができる可能性を感じています。
ターミナルや病気のときだけではないソーシャルペイン
ソーシャルペインは、
サリー家族のように普段の生活でも起こります。
年齢も関係ありません。
誰もが、
新しい環境に行ったときや、
人とのつながりを失ってしまったり
疎外感を感じたり、
経験したことがあるのではないでしょうか
マズローの基本欲求の
所属と愛の欲求
にも、あるように
仲間でいたい
周囲に受け入れられたい
周囲に認められたい
というのは、誰もが持っている感情です
ソーシャルペインをケアするには、まず、
ありのままのその人を
肯定的な態度で受け入れること
が必要だと、体感的にも感じています。
持ち込んだひとが悪いのか?
クオリッチ大佐が、サリーたちを追って
メトカイナ族を襲ったとき
「サリーが戦争を持ち込んだ」
と責められました
部族や家族を守りたい気持ちや
サリー家族を受け入れた責任や
罪悪感を感じていた
のだろうと推測しますが
理不尽を思わずにはいられませんでした
悪いのは、怒りで周囲を巻き込む
クオリッチ大佐です
サリー家族は争いを望んでいません
今なお、
医療従事者へのコロナ感染の偏見があることも
似た気持ちになります
私たちは悪くない。
悪いのはコロナウイルスです。
どんなに気を付けていても、
やつらの感染力は強く
対策をかいくぐってきます。
理不尽ですね
サリー家族から学ぶ、新しい場所での人間関係の作り方
まず、敵意がないことを伝えていますね
自分は安全だよ、とアピールすること、
大切だと思います
どんなに善人であろうが、
他人からみるとわからないですから
そして、知らないことを素直に教わり
最大に役に立とうと懸命な姿を見せています
かといって、決して卑屈ではない。
自信を持ち、能力を隠したり遠慮はしません
キリをからかったメトカイナ族の子を
兄弟が怒って殴ったとき
サリーは兄弟を叱りましたが
理由を知ると「よくやった」
と言わんばかりでした
心の中では、
自分たちのこともちゃんと尊重している
これが、かなり大切だと思います。
自分のことを大切にしていないと、
相手にもそれが伝わって大切に扱われない
ってことありますよね
子どもたちが良好な関係になっていくきっかけは
次男のロアクが
メトカイナ族の子をかばったことでした
怒りから、先に降りて
思いやりを渡したんですね
「えらい」と思いました
クオリッチ大佐は大人なのに
これができないんですよね
とにかく、先に相手に思いやりを渡す
先に心を開く
これが、いい関係を作るポイントか、
そう感じました
乗り越える力になったのは何か
ソーシャルペインを感じながら
危機的状況にいて
それでも全員が前向きに
新しい人間関係を作っていけたのは
心理的安全性の高い拠点があるから、
だと思います
どこか、というと、本作では「家族」です
すべてを愛されて、
肯定的に存在を許される場所があるから
頑張ってチャレンジすることができるんですよね
(サリーの次男ロアクへの態度は、もっと話を聞いてあげて~って感じでしたが)
サリー家族に学ぶ、訪問看護チームの役割
これをチームに置き換えるとどうでしょうか?
訪問看護師って
利用者さんに始めから肯定的に
受け入れてもらえるわけではなくて
「なんで来たの?あなたに何ができるの」
って思われてることって、
あるあるじゃないですか
そうやって外で新しい関係を作ろうと
頑張るときに
拠点であるチームが
心理的安全性が高い場所になっていることって
ものすごく重要だと思うんです
サリーの息子への態度みたいに
心配するがゆえ、話もちゃんと聴かず
「こうしなさい、なんで言うこときかないの」
って頭ごなしに指導しちゃいませんか?
これしちゃうと、指導された側は
自分で考える脳が働かなくなっちゃうんですよ💦
もしくは、反発して「言っても信じてもらえない」
と信頼をなくすか…
安全な看護のためには、
ちょっとした気づきを発言し共有することって必要です
自主性が高いスタッフを育てるためにも
チームの心理的安全性は最重要だと
私の研修でもお伝えしていますが
カードゲームで心理的安全性の高いチームを作る
「にじつなカード」
オンライン・リアルで体験会の参加者
随時募集中です
(突然の告知失礼しました)
本作のソーシャルペインの視点から学ぶこと
まとめますと、
ソーシャルペインのケアは、相手のありのままを受け入れ肯定し続けること
新しい職場の人間関係を作るときは、自分の安全さをアピールすること、素直に教わること、役立とうとすること、自尊心を失わない事、先に思いやりを与えること
チームでは心理的安全性を作ること
でした。
次回は、トータルペインの中の
スピリチュアルペインについて
書こうと思います。
また、読んでくださいね。
看護師しんどい!をラクにする🌈
ナーシングマネージャー®
すべての看護師が自分を大切にしながら
能力を活かして働く世界にしたい
あかぎでした
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