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マーケター視点で見るAdobe MAX 2023:広報・鈴木の探訪記
夏に開催したAdobe Summit EMEAに続き、10月10〜12日にロサンゼルスで開催したアドビによるクリエイターの祭典「Adobe MAX 2023」にも参加してきました。
どうも、アドビ広報の鈴木です。
Adobe MAX 2023というとクリエイター向けのイベントというイメージが強いかもしれませんが、マーケティング向けの新たな製品の発表もありました。今回はワタクシ鈴木が、マーケターとしての視点からAdobe MAX 2023をレポートします。
今回は初めてAdobe GenStudioという9月に発表した新ソリューションに触ってきたので、その様子もお届けします。
*TOP画像は2日目の夜にバッシュというパーティーで「ウエーイ」とした日に撮影したものです。
歓声の上がる初日キーノート、でもそれより注目はクリエイターが思いを伝える2日目キーノート
突然ですが、みなさんは人生の中で思いっきり「ヒャッハー」と叫んだことがありますか?
Adobe MAX2023のオープニングに行われたキーノートスピーチでは、次々と新製品の発表がありました。ここで冒頭の「ヒャッハー」の声が会場のあちこちからあがってきます。
新機能を見てクリエイターが「この新機能は仕事はかどるわー」と感じて、そのお気持ちから声を発しているのです(おそらく)。
アメリカという明るい国民性に加え、クリエイターは全般に発信力が強め(意訳:奇声をあげがち)なのですが、それにしても今回のキーノートは生成AI関連の発表が目白押しで、その熱気から会場は例年にも増して薩摩示現流の猿叫(チェスト~!の声)のような声が響いていました。
イベント2日目になると、この日のキーノートのトーンは一変します。この日は4人のクリエイターが登壇し、彼らがどんな思いでクリエイティブに取り組んでいるのかを語ってくれました。
どんどん売れっ子になってゆくイラストレーターが、一番大切にしているのは実家の母がやるガレージセールの看板を作ってあげることだった、SNSのインフルエンサーが「周囲から承認されたい」という思いと「自分の届けたい思いを表現したい」という思いの葛藤を語ったり、さまざまな共感できるエピソードが披露され、彼らのクリエイティブに対する思いにあらためて敬意を抱きました。
もしみなさんがAdobe MAXのキーノートを1本だけ見るとしたら、この2日目のキーノートを見ることを強くおすすめします。マーケターとしてクリエイティブに関わっていることに誇りを感じていただける話がたくさん聞けます。
デジタルエクスペリエンス担当シニアVPが語る、クリエイティブを届けるまでの3つの要素
さて、キーノートが終わりますと個別セッションやミーティングの時間です。ラッキーなことに今回アドビのデジタルエクスペリエンス担当のシニアVPのAmit Afujaから直接話を聞けました。
ちなみにシニアVPというと結構サラリーマン的には上の人なので、会うだけでも緊張しそうなのですが、Amitは東洋系の顔立ちで、なんとなく知人の「塚本さん」に似ている感じで親しみやすかったです。
さて肝心の話ですが、アドビとはいわば「クリエイティブを作ってから届けるまで」をすべて賄っている会社なのですが、そこには3つの要素がある、と言っていました。
その1:データを理解する
その2:データから意思決定をおこなう
その3:コンテンツを大量に作成する
当たり前のことではありますが、時にこのような声が聞かれます。
「コンテンツ、作ったけれど、跳ねもせず」
すみません、Amitが川柳を言うはずはなくここは筆者が作ったのですが、このような現象は案外みなさんの身近にもあるのではないかと思います。Amitによると、それは必ずしもコンテンツの出来が悪かったということではなく、ターゲットの理解が十分ではなかったことが原因の場合も少なくないそうです。
こうした残念な事態を避けるためにも「計画して」「作って」「届けて」「分析する」という工程全体で同じ情報ソースをみながら会話しないと、いいクリエイティブも出てこないよね、ということでした。
その上で強調していたのが「とは言え、すべてのコンテンツはブランドのガバナンス、ブランドのコントロール下に置くことが重要なんだ」という点でした。
さまざまな部署が一斉にAIを使ってクリエイティブの生産性を上げるのは良いのだけれども、ブランドのトーンの統一ができていなければ厄介なことになってしまう、というのは確かに容易に想像できる世界ですね。
今回発表したAdobe Fireflyの次期バージョンでは自社のブランド資産を読み込ませることでそのブランドのトーンを理解してくれますので、ここは期待して良いんじゃないかと思います。
触ってきましたAdobe GenStudio!
さて、Adobe MAXのもう一つの目玉は、さまざまなツールについてアドビのエキスパートから直接レクチャーを受けられることです。
筆者の狙いは当然、先月発表された「Adobe GenStudio」です。Adobe GenStudioは、アドビの画像生成AIテクノロジー「Adobe Firefly」を活用してコンテンツの企画から制作、配信までをトータルに支援するソリューションですが、恥ずかしながら現物を見せてもらうのはこれが初めてでした。
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「オーライリー! これを見てごらん」
妙にテンションの高いスタッフが見せてくれたのはPhotoshop。ん、でも筆者の画面とちょっと見た目が違うような。よく見ると画面右側に「task」という部分があり、ここにマーケティング部門から「次はこれを作って、納期はいついつまでね」という指示が出てくるのです。クリエイターとしてはどのクリエイティブをいつまでに納品すればよいかがPhotoshop上で確認できるので、これは便利ですね。
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さらにさらに、Photoshopなどのツールで制作したクリエイティブはそのままAEM Assetsというクラウドに保存できます。この先社内でコンテンツが必要な時、このAssetsの中を探せば一発で欲しい画像がみつかるというわけです。もしほしい画像がなければ、そこから生成AI Fireflyを使って違うバリエーションを作ることもできます。この時、Fireflyには会社のブランドガイドを学習させているので、トンチンカンなクリエイティブは出てこない、というわけです。
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生成AIとクリエイティブの最先端を体験できる「Adobe MAX Japan」は11月16日開催
とにかく「生成AIもマーケティングの仕事で使えるレベルになってきているな」というのが筆者の感想でした。
そんな生成AIとクリエイティブの最先端を体験できるイベントを日本でも開催します。11月16日、東京ビッグサイトで「Adobe MAX Japan 2023」が開催されます。事前チケット絶賛発売中です。すみません、最後は宣伝で終わってしまいました。
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