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最近練習をしていないなと気がついたことは、学びのチャンス
1.「最近練習をしていない」と気がついたことは、マインドフルであるということ。
マインドフルネスストレス低減法(MBSR)やマインドフルネス認知療法(MBCT)といったプログラムは8週間をかけて、マインドフルネスを深めていくプログラムです。多くの方は、そのプログラム期間中、自宅での練習に取り組み、自らの中に大きな変化があるといいます。
一方、受講者の方から、この8週間のプログラムが終わったあと一時してから、良く聞かれる質問は「コース終了後、いっときの間は練習が続くのだが、段々と続けるのが難しくなってくる。どうしたら良いのだろうか。」というようなことです。
練習を継続していくためにどのようなコツが有るのか、こんな考え方もあるよと、継続するためのヒントについてお話をしていきます。
(※ゆっくりでもいいので着実に続けていきましょう)
まずは、「続けるのが難しいのをどうしたらよいか」という質問を思いついたということ自体とても素晴らしいことだと思います。それは、8週間コースを受けて、そのときに練習を行った体験があればこそだからで、「練習をしたほうが良い」という思いが心のなかに残っているからです。「練習をしたほうが良い」ということが意識に上ってきた時点で、意識が練習に向いてきたともいえるのではないでしょうか。そして、こう思った時がまた練習を始めることのできる絶好の機会になります。
2.練習における意図 〜なぜマインドフルネスを学ぶのか〜
練習で大事なことの一つに、意図を思い起こすということがあります。MBSRやMBCT、マインドフルネスの練習に参加したのは、なぜだったのでしょうか。何かストレスに悩んでいたり、何か抱えきれないものがあったり、もしくは仕事の上で使いたいということもあったのかもしれません。そのときの気持ちは、今どのようになっているでしょうか。参加したときに抱えていた悩みや問題意識は全て解決されてしまったでしょうか。もしくは、抱えたままでしょうか。
目をつぶって静かに呼吸を整えて、改めて「自分はなぜマインドフルネスを学ぼうと思ったのだったか。今、自分はなぜマインドフルネスの学びを継続したいと思っているのか」と問いかけてみましょう。心のなかからどのような言葉が浮かんでくるでしょうか。他の人に言う必要もありませんし、正しい答えも、間違った答えもありません。また、答えが浮かんでこないならそれでも構いません。ただ待ちましょう。何か答えが浮かんできたら、それをそのままにして、もし差し支えなければ、もう一回同じ問いかけ、すなわち「なぜ自分はマインドフルネスを学ぼうと思っているのだろうか」と問いかけても良いかもしれません。これを何度か繰り返すと、気がついていなかった新しい切り口が見えてくることもあります。
マインドフルネスの大事な要素の一つは意図に意識を向け続ける、意図を何度でも思い出す練習だと私は考えています。私は、過去の練習の体験として以下のようなことがありました。
瞑想の練習をして、集中できないと思うことがありました。30分瞑想の練習をしたときに、例えばガイドの声についていけたのが5分だけで、残りの25分は気が散っていた、と感じることがあったとします。そのような時に「練習に失敗はないと言うけれども、本当にこれでいいのだろうか」と感じることがありました。
あるとき、瞑想の先生にその話をしました。これに対し、その先生は以下のような話をしてくれました。
「確かに、ガイドの声に集中を向け続けられるということは素晴らしいことだ。注意を向け続ける力というのは意味のもあるものである。 しかし、練習の目的というのはそれだけではなく、より大きな力を育むためのものでもある。私は、数年前に母を亡くした。その時、悲しさや辛さに十分に気づいて、そして受け入れる力は、自分がこれまでマインドフルネスの実践を通じて培ってきた力だった。」
つまり、その短期的な練習におけるある評価基準(このときの私なら「集中が続くかどうか」)ではなく、人生のより大事な局面で、自分自身の状態に気づき、痛みや苦しみとともにあることのできる力を身につける、という大きな枠組みでこそ、マインドフルネスの実践が生きてくるという事だったのです。
3.「気長に待つこと」と「信じること」
マインドフルネスの練習・実践は、畑を耕すことにたとえられることがあります。MBSRやMBCTを受講いただく皆さんには、皆さん、事前の面談をさせていただくので、その際にお聞きになった方もいらっしゃるかと思います。ある作物を育てたいと思うとき、私達が行うことは、土を耕し、種を撒き、肥料と水を与えて、太陽の光を当てる。その環境を整えることです。
その先は、ただ、水を与え、太陽を遮るものがあればそれを取り除き、時には雑草を抜いて、作物に栄養が行くようにするという、環境を整え続けることです。そして、その作物が自分の力で育ってくるのを待つのです。Jon Kabat Zinnは、マインドフルネスに臨む7つの態度を語っていますが、その中の2つに、patience(気長に待つこと)とtrust(信じること)があります。
(※patienceは忍耐、という言葉に訳されることが多いようですが、時に無理に我慢をするというように聞こえることもあるので、私は「気長に待つ」「どんな状態も優しく見守っている」「待つ力」「見守る力」という言葉のほうがいいのではないかと思っています)
作物が育つためには、作物自身が育つ力、自然が作物を育てる力を信じること、そして気長に待つことが必要です。作物の成長を焦るがゆえに、土を掘り返して苗をだめにしてしまうようなことをすべきではありません。
また、Jon Kabat Zinnは、patience(気長に待つ)について、以下のようなことを話しています。
---以下引用---
「気長に待つこと(patience)」は、「智慧」の一つの現われです。それは、物事は自らのタイミングで展開していくということを理解し、受け入れることです。子供が蝶々を羽化させようと思って蛹(さなぎ)の殻を破ってしまうとすると、それは蝶々にとっては好ましくないことです。大人であれば、蝶々は自らのタイミングでしか羽化できず、そのプロセスを早めることはできないことを知っています。
Patience is a form of wisdom. It demonstrates that we understand and accept the fact that sometimes things must unfold in their own time. A child may try to help a butterfly to emerge by breaking open its chrysalis. Usually the butterfly doesn’t benefit from this. Any adult knows that the butterfly can only emerge in its own time, that the process cannot be hurried.
https://mindfulnessbasedhappiness.com/the-9-attitudes-of-mindfulness-according-to-jon-kabat-zinn/
---以上引用---
4.練習を再開する実践的なコツ
それでは、具体的に練習するこつとして、Mindfulness Self Compassionの共同開発者の一人であるChristopher Germerが著書"The Mindful Path To Self-Compassion"(未邦訳)の中で述べている箇所をご紹介します。
この本のなかの瞑想練習を続けるには、という箇所には、以下のように書かれています。
まず、「瞑想者の多くは、人に言えないような秘密を抱えている。それは、他人に言うほどは練習していないということだ。」(概約)という、警鐘から始まります。マインドフルネスの練習、実践は外からは見えないものであるからこそ、しっかり行う必要が示されます。
そしてその記述の続きとして、練習を続けていくためのコツとして以下のようなことが書いてあります。(以下も概訳)
・まず3秒座る。時間なくてもそれならできるはず。それをやっていれば長く座れるようになるでしょう。
・練習をするまでの動きをイメージする。目がさめたら、ベッドの中で、顔洗いに行って、その後10分瞑想する、といった想像をする。
・仲間と一緒に練習を行う。
・智慧やコンパッションについて書かれた本を読んで学ぶ。
・先生について練習をする。先生は無駄に苦しい練習をすること回避させたり、玉ねぎの皮を剥くように誤った理解を正したり、やる気を起こさせてくれるかもしれない。言葉ではなく体で示してくれる。
・たまにリトリートに行く。
まずは「練習をしてないなぁ」と思い出したことを前向きに考え、意図を明らかにし、気長さと信じる気持ちを保ちながら、まずは小さく、練習を継続できる工夫をしながら練習をしていっていただければと思います。
一緒にマインドフルネスを学んでいく仲間を募集しています。よろしければお声がけください。
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