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スマホ時代に必須のマインドフルネス:共存のための新しい視点

NPO法人マインドフルネス心理臨床センター(CMAP)の公認心理師・臨床心理師・マインドフルネス講師の小林亜希子です。

あけましておめでとうございます!今年もどうぞよろしくお願いいたします。今年は、MBRP(やめられない!を手放すマインドフルネス)とスマホ依存のためのマインドフルネスをさらに進化させていきますので、勢いよく前に進んでいきます!

スマホは生活の一部

どんな時でもスマホと一緒な私達・・こんな経験はありませんか?

  • 朝起きてすぐスマホをチェック

  • 夜寝る直前まで無意識にスクロール

  • 気づけばいつもスマホが手の中に
    どんな時でもスマホが生活の一部となって久しい現代、私たちはその利便性と引き換えに、集中力や心の安定を失いつつあります。

集中力が低下してきているという研究報告が、マイクロソフト社の研究チームが発表しています。なんと金魚以下の8秒にまで、人々の集中持続時間が減少しているそうなのです。

金魚以下の集中力

2021年MMD研究所調べによると、約7割の人がスマホに依存しているというデータがでています。電車に乗っても9割くらいの方はスマホに釘付けですし、このデータは、体感とも一致するものがあるかと思います。

MMD研究所調べ


スマホは本当に悪者なのか?

「スマホそのものは本当に悪者なのか?」を考えて見たいと思います。実際、スマホはコミュニケーション、情報収集、読書、エンターテインメントなど、多くのメリットを提供しています。しかし、問題はその使い方にあります。

スマホに無意識に振り回されるのではなく、自分自身でコントロールできる状態を作ることが、これからのスマホ時代に必要なスキルと言えるでしょう。

無意識にスマホに振り回される

自動操縦状態から脱するために必須なマインドフルネス

「気づいたらずっとスクロールし続けていた」を脱する

そのための鍵となるのが「マインドフルネス」です。マインドフルネスとは、今この瞬間に意識を向け、自分の身体感覚・感情・思考に気づきをもたらす心のトレーニングです。これをスマホとの関係に適用することで、無意識にスマホを手に取る習慣から抜け出し、より健全な使い方を選べるようになります。

例えば、スマホを使うときに「今、自分は何のためにスマホを開いているのか?」と自問してみるだけでも、大きな変化が生まれます。ニュースをチェックするのか、SNSを楽しむのか、あるいはただなんとなく開いてしまったのか。その瞬間に気づくだけで、スマホに支配される状態から一歩抜け出すことができるのです。

多くの場合、私達は、「疲れすぎていて何も考えたくない時」「ストレスを感じて気分転換をしたい時」「なんとなく暇な時」「電車に乗っている時」「悩み事がある時」に自動的に、スマホを手にしています。自動的にスマホに依存してしまうと、本来解決しなければいけない問題を残したまま、いたずらに時間が過ぎて虚しさを生むことにもなりかねません。

マインドフルネスの実践により、スマホに依存しすぎることで起きるストレスや焦燥感にも気づけるようになります。スクリーンから少し離れ、本当に必要なことに意識を向けることで、頭の中の混乱が解消され、心の安定が戻ってきます。


マインドフルネスのプログラム(MBRP):やめられない!を手放すマインドフルネス

MBRPとは、Mindfulness Based Relapse Prevention for Addictive Behaviorsつまり、「やめられない!を手放すためのマインドフルネス」8週間プログラムです。

MBRPについて

ワシントン大学のチームによって2010年に作成され、科学的なエビデンスを蓄積しています。主要なレビュー論文によると、MBRPは通常の治療よりも効果が優れていることが示されています。再発率が低く、再発しても下に戻れる可能性が高まるのです。また、長期的な対処スキルを身につけることもできます。

当センターの受講者:スマホ依存、過食、アルコールへのプチ依存が大多数

そんな本格的ではないのだが、少しだけ依存傾向がある、そういうプチ依存の方が当センターのプログラムを受講してくださっています。そして、88.2%の方が、依存行動がよい方向に変化したと報告してくださっています。


当事者の声

このように根本的な、セルフケアが可能になります。プチ依存の方の多くはセルフケアがおろそかになっており、マインドフルネスの実践を通じて、自分の体・感情・思考に気づくことが増える、一瞬だけ「間」を置く練習をすることで、心からのニーズを満たすことができるようになります。結果的に、よりよい対応策がとれるようになり、根本的な解決、そしてウェルビーイングへとつながります。

スマホへのプチ依存がない人を探すほうがむしろ大変な現代。すべての人に開かれているプログラムです。 

まとめ

これからの時代、スマホとの共存は避けられません。しかし、その共存を健全なものにするかどうかは、私たち次第なのです。無意識にスマホを使い続ける生活に「待った」をかけ、マインドフルネスを取り入れることで、心に余裕を持ちながらデジタル時代を生き抜くことができるようになります。

スマホを「便利な道具」として使うのか、それとも「無意識の習慣」にしてしまうのか。選択肢は私たちの手の中にあります。そしてその選択を支えるために、マインドフルネスというスキルをぜひ身につけてみてください。最初は切り替えのために使っていたマインドフルネスも、練習を続けるうちに「集中力の向上」「よりよい意思決定」「パフォーマンス改善」といった働く方に嬉しい副産物もついてきます。

私自身、やめられない習慣を手放すためにも役立つマインドフルネスですが、現在は、イライラしたり落ち込む時の気分転換や冷静さを取り戻すため、仕事前に仕事に集中するため、仕事での意図を明確にするためなど様々な場面でマインドフルネスが役立つようになってきており、多くの方も同様のことを報告してくださっています。

スマホとの共存のための戦略としてのマインドフルネスから、今度はよりよい仕事をする上でのマインドフルネスに変化も可能なのです。

MBRPについては、過去にも多く記事を書いておりますので、よければ参考にしてみてください。また、現在1月21日スタートのMBRPの開催を予定しております。
トライアルセッションのご提供や、スマホ依存に関するセミナーなどは今後も予定しておりますので、今回都合が合わない方も気軽にご参加いただけると幸いです。


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