![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/39174182/rectangle_large_type_2_808673e4a76f77d36301c6cf47ad3d0b.jpg?width=1200)
久しぶりにデンマーク映画を観た話①。
Hej!今日は久しぶりにデンマークに関するトピックを。
先日久しぶりにデンマーク映画を観ました。
北欧映画といえばどんなイメージがありますか?
北欧=ほっこりみたいなイメージを抱く方も多いのでは。以前書いたこちらの記事では、割とハッピー系を扱ったのですが…
実は北欧映画ってとっても重たくて、暗いテーマが多いんです。
ハリウッド映画に比べるとヨーロッパ映画全般、「エンターテインメント」というよりも、よりリアルで、社会的な作品が多いですよね。演出も、台詞や音楽が少なく、ドキュメンタリーのような感じのものも。
今回取り上げる
「Hævnen/ 未来を生きる君たちへ(In a better world)」
もその作品の一つ。
2010年公開。上記の記事でも取り上げた「アフターウエディング」の監督、スサンネ・ビアの作品。アカデミー賞・ゴールデングローブ賞の最優秀外国語映画賞W受賞という快挙を成し遂げました。
あらすじは以下の通り。
主人公の少年エリアスはいじめられっこですが、ある日クラスに転校してきたクリスチャンと出会い日常が変わり始めます。
クリスチャンは母親を亡くし、父と祖母の家に越してきましたが、母を亡くした傷から、父を恨み、「復讐」というものに強い感情を抱くように。
エリアスのいじめっ子に激しい暴行で怪我を負わせてしまいます。
ある日、エリアス・父親のアントン・弟のモーテン・クリスチャンで出かけた際、モーテンが他の子供と些細なことで喧嘩に。
仲裁にはいったアントンですが、後から来た相手方の父親に理不尽に殴られます。アントンは相手にするだけ無駄なんだ。と言いますが、クリスチャンは納得できません。
そんな中、エリアスとクリスチャンが自由課題の作品作りをしていると、倉庫からクリスチャンの祖父の花火が見つかります。クリスチャンはエリアスの父親を殴ったやつに復讐しようと、爆弾を作り、車を破壊することを計画。エリアスも尻込みしながらも計画に参加することに。
果たして結末やいかに・・・
原題「Hævnen」は「復讐」という意味。
理不尽な暴力に対する「復讐」と「赦し」が作品のテーマです。
「復讐はさらなる復讐を生むだけ」
そういう解釈が一般的では。私もそう考えています。
しゃあどうすればいいのか?解決するには?やられた方はただ我慢するだけ・・・?
鑑賞中、そんな疑問が次々と頭に浮かびました。
特に印象的だったのは、
エリアスの父アントンが「復讐したって意味がない。相手は暴力でしか物を言えないバカなやつなんだ。相手にするだけ無駄」と子供をなだめるシーン。
しかし、クリスチャンがそこで一言。
「でもそれじゃああいつは一生自覚しないんだ」
現に相手はアントンが建設的な話し合いを試みるも、やはり暴力でものを言う始末。
もう一つ。この物語はデンマークに住むエリアスやクリスチャンの話と並行して、アフリカの難民キャンプで医師をするエリアスの父アントンの話も登場するのですが、後者でのシーン。
最近アントンの働くキャンプには腹を負傷した妊婦たちが運ばれてくるように。それは村のマフィアによる仕業でした。そんな中、そのマフィアのボスが負傷した足を治療するようキャンプに乗り込んできます。
エリアスの父親はキャンプの住民の反対をよそに医師として治療にあたりますが、ボスが亡くなった女性を見て卑劣な言葉を浴びせたことで激怒、彼をキャンプから追放します。そして、そのボスはキャンプの住人らにリンチされます。
この復讐は絶対に悪であると言えるのか。
理不尽に子供や妻を殺された残された家族の気持ちを考えると、絶対にそうであるとは言い切れないような気もします・・・
元を辿れば誰が悪くて誰が正しいという問題ではなく、その個人の問題というよりも
その個人をそうさせてしまった、社会があるわけで。そこには貧困の問題があったり、子供にしたら親の問題があったり。
ある人の行動を一元的に見て善悪を判断するのではなく、その背景に何があるのか考えることが大切だと。
情報に溢れる現代では
ニュースのヘッドラインや、正しいかわからないニュースを信じて
誰が悪い、良くないの議論になりがちでは。
特に私は日本社会は
すぐに誰の責任かばかりを問い
本質的な解決から目を逸らす傾向にあると思います。
でもそうではなくて、その問題は誰にでも起こりうることであって、誰の責任ではなく、
「じゃあどうすれば前に進めるのか」
「その原因はどこにあるのか」
建設的に議論し合うことが大切だと思います。
正論を言えばこうかもしれないですが、
そういかないから上手くいかないんですよね。。。
とにかく、久しぶりにデンマーク映画を観て
すごい良い刺激をもらいました。
私のデンマーク語の先生曰く、デンマーク映画はリカバリーに2週間かかるとか…笑
それでも見る価値大有りの素晴らしい映画なのでぜひ!トレーラーはこちら
最後まで読んでくれてありがとうございます!それではVi ses☺︎