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みちづれの猫 唯川恵
私は小説家の中で唯川恵が1番好きだ。
解説にもあるが、唯川恵といえば犬のイメージなのに猫物で短編かぁ。
猫視点の物語とか無いといいなぁ。と思いながらも買った。
心配していた猫視点の物語はなくどれもよく出来た短編集だった。
長年に渡って唯川恵の著書を読んでいるので
唯川恵の文感や比喩、心理描写のちょうど良さが心地よく入っていく。
唯川恵らしさがちゃんと現れている短編だった。
喪失と別離はどんな状況でも起こる。
しかし出会いと過ごした時間は無くならない。
どれも人と人の繋がりや社会生活を送る上で猫という生物を飼って時間を過ごしていく物語である。
猫が物語の主軸に成りすぎていない、バランスの取れた猫物だった。
しかし、猫はそう。そういう生物なのだ。
飼っていないのになぜ分かる。とか浅ましい事を思うくらい猫飼いの気持ちを抉ってくる。
いや、ほんとに嫌だ。飼い猫が死ぬのは本当に嫌だ。
年取ってきたから分かる。もう10年は過ごせぬことを。
ただ悲観し塞ぎ込むほど子供でもなければ社会的に閉じているわけでもないので
そう。きっとそう。なんて沢山頷きながら読んだ。
人は人と出会い、すれ違い、また新たに出会う。
が、動物はそうもいかない。すれ違っても一緒に生活をするのだ。
向き合わなければいけない。
その人との別離と猫との別離に動く感情が
人ってまじ自己中に生きているな!!
って感じもあったが(エゴといってもいい)
でもエゴイズムなくしては幸せや他者との関係性を築くことはない。
関係性を築いた後に、崩れ、風化していくのもまた良い。
私は何歳まで猫と生きるのだろう。
どうか長生きをしてくれ猫共よ。