最後の買い出し

日に日に日差しが強くなり、夫が亡くなってから1ヶ月弱が経とうとしていた。

夫のいない新しい日常が否応なしに始まっていた。

私は朝ごはんを作ろうと、冷蔵庫を開けた。

夫と最後に買い出しに行った時の味噌がなくなりそうだった。

不思議なウイルスの時代で、外出はスーパーしか行けず、私たち四人はまるで遊園地にでも行くかのようにはしゃいでスーパーへ出かけた。家の近くではなく、ちょっと離れた、車で行ける大きなスーパー。私は、すごく楽しかった。私がカートを引いて、夫や子供たちが好きなものを入れていく。私がこれはいいよ、これはあるからいらない、またこれ買うの?これはダメって言いながら、カートに物が増えていくのが、家族四人での幸せな時間を保証してくれるようでたまらなく嬉しかった。

そんな最後の買い出しのお味噌が、とうとう底をつきそうだった。

もう、あなたと買い出しに行くことはないんだ。あなたと一緒に買ったものが一つ一つ冷蔵庫からなくなってしまうのが寂しい。

とめどもなく涙が出てきて、私は味噌を使わずに冷蔵庫にしまった。



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