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【無料】基礎から分かる水産用語<33> RASとは

みなと新聞で毎週火・金曜日に連載している「基礎から分かる水産用語」を公開します。
みなと新聞の専門記者が、漁業、流通・加工、小売など水産で使われる一般用語から専門用語まで、分かりやすく説明する連載です。

RASとは

 循環式陸上養殖システム。魚介類を陸上で養殖する際に、生物ろ過装置など飼育水浄化システムを導入し、水を再利用しながら運用する飼育手法を指す。リサーキュレイティング・アクアカルチャー・システム(Recirculating Aquaculture System)の頭文字を取り、RAS(ラス)と呼称される。

 RASには2種類あり、「閉鎖循環式」は全ての飼育水を浄化し、蒸発や浄化処理の工程で失われる水分のみを補充する。高度な水質維持装置が必要でイニシャルコストが高い。一方、「半循環式」は一定量を排水しながら飼育水を浄化する。閉鎖循環式に比べイニシャルコストは低いが、用水の確保が必要なため、立地条件が限定される。その他、いわゆる「掛け流し式」と呼ばれる飼育手法は水を再利用せず養殖するため、RASには該当しない。サケ・マス類やエビなどの他、貝類の養殖に導入されている。

 2022年度中に、RASの本格運用を始める鹿島・島根栽培漁業振興センター(松江市)では現在、アワビ数種を養殖。RASを導入する利点について、市水産振興課は「アワビの発育が早くなる。掛け流し式では、ふ化から1年で3センチほどに成長するが、半循環式のRASを試験的に運用した水槽では5センチに成長した」と説明する。

みなと新聞本紙2022年7月12日付の記事を掲載