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【無料】基礎から分かる水産用語<235> みちのく寒流のりとは

みなと新聞で毎週火曜日に連載している「基礎から分かる水産用語」を公開します。

みなと新聞の専門記者が、漁業、流通・加工、小売など水産で使われる一般用語から専門用語まで、分かりやすく説明する連載です。


みちのく寒流のりとは

 共販で流通する宮城産乾(ほし)ノリ全量が冠するブランド。JFみやぎ(宮城県石巻市)が定める。宮城沿岸は、海流がぶつかり豊かな漁場を形成する三陸沖の特性を備え、ノリの産地として最北に位置する。ブランドの由来は栄養塩に富む親潮(寒流)に育まれることから。塩釜市の塩釜総合支所は例年、全国に先駆けて新物の初入札が開かれる。

 JFみやぎによると、同県ノリ養殖は江戸時代に気仙沼湾で始まり、その後、県中央部や南部に広がった。昭和30年代になると人工種苗と養殖技術の向上で沖合でも養殖され始め、宮城は養殖産地としての重要性がいっそう高まった。

 磯の香りと歯切れの良さが特徴で、ご飯との相性がぴったり。毎年1月には品質向上と生産者の意欲向上を目的に「奉献海苔品評会」と銘打つ審査会を行う。県内生産者が出品した製品を地元買受人やJFみやぎ、行政などでつくる審査員が品評する。優勝、準優勝の製品は2月に皇室へ献上される。

 今期(2024年11月~25年5月)は11月26日に初入札を実施。シーズン累計で約4億枚の生産を計画する。前期は全13回の入札会を通じ、2億8110万枚を共販で取り扱った。主要産地での不作などから強い引き合いで取引され、平均単価は1枚22円56銭と過去最高値を記録した。

みなと新聞本紙2024年12月17日付の記事を掲載