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【無料】基礎から分かる水産用語<82> ABCとは

みなと新聞で毎週火・金曜日に連載している「基礎から分かる水産用語」を公開します。
みなと新聞の専門記者が、漁業、流通・加工、小売など水産で使われる一般用語から専門用語まで、分かりやすく説明する連載です。

ABCとは

 政府などが各魚種の漁獲可能量(TAC、Total Allowable Catch)を決める際に参考とする数値で、生物学的な立場から許容される漁獲量の上限値。日本ではマイワシやマアジ、スルメイカ、ズワイガニなど各魚種の乱獲を防ぎ、水産資源を持続的に利用するために設定する。Allowable(またはAcceptable) Biological Catchの略。

 日本の場合、ABCは資源管理方針に関する検討会(ステークホルダー会議)や水産政策審議会などを経て、魚種ごとの「漁獲シナリオ」に即して算出される。年齢や体長に準じた適切な漁獲利用、資源を適切な水準以下に減らさないための産卵親魚の確保、加入乱獲の防止などを目的として設定している。また、TACはABCを超えない範囲内で選定。TACを超えて漁獲した場合は罰則の対象となる。

 ABCを算定している国立研究開発法人水産研究・教育機構の担当者によると、日本での資源評価において統一的なABC算定規則を定めたのは2000年代初め。その後、禁漁水準の追加や資源量などが推定できない資源についてルールの見直しをしてきたという。18年度以前から資源評価対象種だった50魚種はABCの算定対象となっている。21年度までに資源評価対象種は全体で192魚種に拡大している。

みなと新聞本紙2023年1月17日付の記事を掲載