見出し画像

【無料】基礎から分かる水産用語<211> シュリンクフレーションとは

みなと新聞で毎週火曜日に連載している「基礎から分かる水産用語」を公開します。

みなと新聞の専門記者が、漁業、流通・加工、小売など水産で使われる一般用語から専門用語まで、分かりやすく説明する連載です。


シュリンクフレーションとは

 シュリンク(縮小)とフレーション(値上げ)を合わせた造語だが、日本では「ステルス値上げ」が通じやすい、価格を変えずに内容量を減らす実質的な値上げ方法。

 告知義務はなく違法でもないが、消費者庁や民間の調査では「通常の値上げよりも印象が悪い」とする回答が多い。改定前後の容量やカロリーをまとめたサイトもあり、変化が如実な菓子やパンほどではないが、一律料金が売りの回転寿司や100円ショップでも売られる缶詰など、縮減が比較しやすい商品で水産の事例が挙げられている。

 食料価格が高騰した2007年ごろから目立ち始めた同手法だが、近年の世界的な原料・輸送コスト増にはすでに明確な価格転嫁以外で対応できないとする見方もある。韓国では昨年12月に、フランスとハンガリーも今年、ステルス値上げした商品を消費者へ周知するよう小売店やメーカーなどへ義務化した。

 日本では22年、回転寿司チェーンが軒並み通常の増額に踏み切った。ニッスイは「まるごとおいしい太ちくわ」でサイズは変更なく値上げをしたが、高品質の印象などで売り上げを維持し、今年3月に発売10周年を迎えた。ローソンは先月、ツナマヨおむすびなどで価格を据え置いたまま47%増量する「盛りすぎチャレンジ」を展開。「ステルス値下げ」などと好評で品切れが続出した。

みなと新聞本紙2024年7月2日付の記事を掲載