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【無料】基礎から分かる水産用語<238> 肝油とは

みなと新聞で毎週火曜日に連載している「基礎から分かる水産用語」を公開します。

みなと新聞の専門記者が、漁業、流通・加工、小売など水産で使われる一般用語から専門用語まで、分かりやすく説明する連載です。


肝油とは

 浮袋を持たないサメやタラ、エイなどが浮力のため肝臓に蓄えた魚油で、ビタミンAやDなどを多く含む。夜盲症や小児の骨軟化症を予防するため北欧などで薬用とされ、明治~昭和初期、第2次世界大戦後しばらくまでは日本で抽出した肝油の国外輸出も盛んだった。

 甘味をつけて普及した河合製薬(東京都中野区)の「カワイ肝油ドロップ」は、栄養補助で近年まで幼稚園や小学校で配布された。ビタミン製造が工業化された現在、同製品は安全性向上のため魚由来から合成原料に切り替わっている。

 「深海ザメエキス」は抗酸化、抗がん、抗菌作用が強いとされる深海性サメ類の肝油内成分スクアレンに特化し、比較的高齢者向けの免疫力向上や肝機能改善効果をうたうサプリや、美肌効果を持つ化粧品に使われる。

 スケソウダラの肝油はウナギやニジマスなど養殖魚用の配合飼料に添加される。アンコウの肝油はDHAとEPAが豊富。茨城キリスト教大では宇宙航空研究開発機構から宇宙食の認証を得る目標を掲げ同肝油入り食品を開発している。

みなと新聞本紙2025年1月21日付の記事を掲載