【無料】基礎から分かる水産用語<216> 特殊漁場とは
特殊漁場とは
冷凍マグロ類を漁獲する延縄船の漁場のうち、南北高緯度の冷水域とされる漁場。一般的に脂のりが良いとされ、市場では高く評価される。
特殊漁場とされる海域は南北30~60度の高緯度の漁場。海が非常に荒れるため船の性能や設備、船員の経験などが求められる。台湾や韓国の海外船も特殊漁場で操業するが、設備が整う日本船がメインという。旬の時期に漁獲したマグロは脂のりが良く、東京・豊洲卸は「高品質の個体が多い」と説明する。
代表的な特殊漁場はメバチがチリ、シドニー、ケープタウン、タヒチ、フリーマントル、アンゴラ、ニューヨークで、ミナミマグロがケープタウン、シドニー、南インド。大西洋クロマグロがアイルランドとグランドバンク。同じ海域でも種類によって生息する水深が異なるため、狙うマグロに合った水深で操業する必要がある。
大西洋クロマグロの操業は特殊漁場での操業が基本。限られた漁獲可能量(TAC)を最大限有効活用している。
特殊漁場物はアッパーな食材を扱う業者から高い評価を受ける一方、「近年は特殊漁場のメバチが減っている」と豊洲卸。「メバチ=赤身のイメージがあり、脂のある特殊漁場ものが評価されにくくなっている。船側にとっても採算が合わないのだろう」と話す。
みなと新聞本紙2024年8月6日付の記事を掲載