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【無料】基礎から分かる水産用語<230> カニ旅行とは

みなと新聞で毎週火曜日に連載している「基礎から分かる水産用語」を公開します。

みなと新聞の専門記者が、漁業、流通・加工、小売など水産で使われる一般用語から専門用語まで、分かりやすく説明する連載です。


カニ旅行とは

 主に冬のズワイガニを食べる目的で11月~翌年3月ごろに企画されるフードツーリズム。ブランドガニ産地の北陸、山陰、兵庫の日本海側に近い関西発のツアーが多い。

 1962年に開店した大阪・道頓堀「かに道楽」から、産地へ「かにすき」などが逆輸入されたことが発祥。同店が氷を使った生鮮の流通・保存法を確立するまでズワイは軽視され、肥料化を含む産地での消費か缶詰加工が多かった。70年代にツアー化が始まった。

 特急切符と飲食のセット「かにカニ日帰りエクスプレス」を扱うJR西日本では、初秋からカニ旅行のパンフレットを駅に陳列する。赤く染まる構内は関西独自の風物詩となっていたが、北陸新幹線が金沢に延伸した2015年、JR東日本やJTBなども初の東京発ツアーを企画した。

 1月の能登半島地震を受け、富山湾では地すべりの影響と思われるズワイの漁獲減が発生。資源の回復がみられる石川でも、能登では出漁自体が困難に。10月25日に輪島港が仮復旧し、11月6日に漁が解禁された。

 JTBによれば観光施設にも休館が続き、金沢と能登の食がテーマのパンフ「雪の章」も今年度は金沢周辺に絞った。その中で、能登の露出が減らないよう休業中の和倉・輪島の事業者による復興への意気込みを1ページ掲載。再開後の応援消費を見据えている。

みなと新聞本紙2024年11月12日付の記事を掲載