【無料】基礎から分かる水産用語<167> ニギスとは
ニギスとは
ニギス目ニギス科に属する海水魚。本州から九州北部の水深100~400メートルの砂泥底に生息しており、体長は20センチほどになる。主な漁法は底引網漁で、日本海、太平洋で漁獲され、国外だと東シナ海大陸棚縁辺や韓国・済州島、台湾などでも水揚げがある。特に日本海ではズワイガニ漁期以外の重要な漁獲物となっている。食用とされ干物などに加工されることが多く、鮮魚での流通は産地以外では珍しいという。
ニギスという和名は、大きな目に突き出した下アゴがキス(シロギス)に似ていることから命名されたが、近縁種などではなく別系統の魚だ。地方名ではキスやオキギス、ハダカイワシ、メギスなどとも呼ばれている。
食用としては、干物の他に塩焼きや煮付け、天ぷら、フライなどに加え、新鮮なものは刺身でも食べられる。身は白身で癖のない味わいが特徴。さまざまな料理に使えるが鮮度が落ちやすいため、産地以外では干物に加工されて流通することが多い。
水揚げは島根、兵庫、鳥取などの山陰地方や石川、愛知、高知県などで多い。兵庫県の産地加工屋は「地元では塩焼きや干物、刺身などで親しまれている。骨も柔らかく卵や白子もおいしいため、全身くまなく食べられる」と説明する。
みなと新聞本紙2023年11月28日付の記事を掲載