【無料】基礎から分かる水産用語<170> 残さとは
残さとは
食品や飲料などの残りかす。水産業では農業や都市からの食品ごみをいかに養殖飼料として生かすかと、水揚げから消費までに発生する水産業からの残さをいかに削減・活用するかが焦点だ。
愛媛県愛南町が2022年に発売した「ウニッコリー」は2通りの残さ活用の好例。磯焼けを引き起こす上、通常は食用とされないガンガゼウニを捕獲し、特産のブロッコリーの茎や河内晩柑の落下分など廃棄分を与え苦みやえぐ味を軽減した。さらにはウニの殻を餌となるブロッコリーや晩柑の畑にまき、炭酸カルシウムの肥料となり得るかの試験も実施。資源の循環も見据え、一般販売などのビジネスモデル構築を急いでいる。
都市残さの養殖飼料への使用には課題も。日本の飼料工場は加工場や、小売店などから回収した残さ由来の魚粉を活用するケースが多い。水産養殖管理協議会(ASC)が2月に発効した飼料認証では、絶滅危惧種や、違法・無報告・無規制(IUU)漁業由来の魚が含まれる可能性を否定できないとして残さの使用を原則禁じた。25年の正式施行まで、残さのDNA解析などで基準への抵触を検証し、同認証の再普及を図るとしている。
マリン・エコラベル・ジャパン(MEL)協議会は国際社会に日本特有の残さ由来魚粉に理解を求めつつ、国際基準への準拠を進める意向を示している。
みなと新聞本紙2023年12月8日付の記事を掲載