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【無料】基礎から分かる水産用語<48> K値とは

みなと新聞で毎週火・金曜日に連載している「基礎から分かる水産用語」を公開します。
みなと新聞の専門記者が、漁業、流通・加工、小売など水産で使われる一般用語から専門用語まで、分かりやすく説明する連載です。

K値とは

 主に水産物に関する科学的な鮮度評価指標。魚類の死後、筋肉中で時間経過に伴い増えるアデノシン三リン酸(ATP)関連物質の含有量を調査して鮮度の良しあしを測定する。6種類のATP関連物質の総和に占めるイノシンとヒポキサンチンの割合を%で表しており、値が低いほど鮮度が良く、高いほど鮮度が良好でないことを示す。

 消費者は一般的にイノシンとヒポキサンチンの割合が小さいほどおいしく感じる。K値が20%以下の魚肉は、死後から間もないことから鮮度が良く刺身用となる。40%前後は加熱用として用いられ、60%以上は腐敗で食品としては不適となる。

 農林水産省は今年3月、K値の統一的な試験方法「高速液体クロマトグラフ法」について日本農林規格(JAS)を制定。メーカー各社がK値の測定機器を開発する際の指標として活用できる他、流通現場では、官能評価に頼らない公正な評価・取引ができるとして期待が集まっている。

 また、将来的に同試験方法が国際的な衛生基準のISO規格となれば、国産魚の輸出促進にもつながる。「海外では魚体の見た目だけで値が付くケースが多く、日本で活き締めした魚は傷があるとして低く評価されることがある。今回のJASの制定が、活き締めで低いK値が保てると国外に証明するための第一歩となれば」と同省担当者。

みなと新聞本紙2022年9月6日付の記事を掲載