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養魚秘録『海を拓く安戸池』(14)~室戸台風~
野網 和三郎 著
〈注意事項〉
・文章、写真の説明文(キャプション)などは明らかな誤字脱字を除き、原文の通りとしております。ただし、著者略歴については、西暦を加筆、死去された年に関する記述を追加しました。
・敬称は原文に即して省略させていただきました。
・現在では差別的表現として、みなと新聞で使用していない表現についても、原文の表記をそのまま記載しております。あらかじめご了承ください。
・本書原本の貸与や販売は在庫がないため行っておりません。ご了承ください。
(14)~室戸台風~
第一室戸台風が、瀬戸内海東部全域を激しい自然の暴力で襲ったのは、昭和九年、九月三日で二百十日の厄日の二日後であった。そのすざましさは、正しく言語に絶するもので、けだし六十年の生涯に、どれほどの衝撃を、まざまざと見せつけられた自然の脅威はなかったのである。
現在のように、テレビ、ラジオ等が普及している時代ではなく、台風情報などもなされていなかったのであれほどのはげしいものとは、けだしレーダーもなかった当時の、気象台の係官にしても、想像もし得なかったものと思われるのである。