見出し画像

【無料】基礎から分かる水産用語<45> 値入れとは

みなと新聞で毎週火・金曜日に連載している「基礎から分かる水産用語」を公開します。
みなと新聞の専門記者が、漁業、流通・加工、小売など水産で使われる一般用語から専門用語まで、分かりやすく説明する連載です。

値入れとは

 価格設定において、利益をいくら計上するか割り出すこと。売値から仕入れ値を差し引いた金額を値入れ高、売値に対する仕入れ値の割合を値入れ率といい、売価の内訳を決める指標となる。粗利益(粗利)と同義で使われる場合もあるが、小売業では一般的に、値入れが廃棄ロスや資材コストを考慮した見込みの利益、粗利が売り上げ計上後の実利益を指す。

 値入れ率は、販売方針や仕入れ状況により事業者ごとに幅がある。西日本のある量販店では8月現在、水産物の値入れ率を刺身で38~45%、鮮魚で25~50%、塩干・加工品で32~33%と設定。加工品の値入れ率は基本的に変えず、主に刺身や鮮魚で水産部門全体の利益率を調整している。

 値入れは最初に売値を設定し、それに収まるよう利益と原価を調節することが多い。例えば刺身を販売する場合、まず値ごろ感がある販売価格を決めておき、その後、必要な利益を確保しながら添え物(ツマ)の量や容器の種類、仕入れ先などを決める。

 原価を抑え、値入れ率を高める取り組みは事業者ごとにさまざま。この量販店では昨今の原料費高騰に対応するため、刺身用の底上げ容器を考案した。「売れ筋の魚を確保しつつ底上げ容器でツマの量を減らし、原価率を下げる。これで年間2500万円のコストが軽減する」と担当者。

みなと新聞本紙2022年8月26日付の記事を掲載