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短編小説『綾なす』(修正版・全文)

 この春、私は地元の専門学校を卒業して、都内の食品会社に一般職として就職した。
 学生時代、全くと言っていいほど化粧をしてこなかった。真夏に日焼け止めを塗ることさえしなかったけれど、そんな私を友達は誰も咎めなかったし、そのままを受け入れてくれた。
 しかし、働き始めると状況は変わった。

 入社してすぐに、私は新人研修を共に受ける同期入社の女子社員2人と、お昼を食べるようになった。彼女達は、毎日違うおしゃれなレストランやカフェに行って、ランチするのを好む。華やかでキラキラとした彼女達と、同じ制服を着て都会のど真ん中を歩くことに、私はなんだか引け目を感じていた。
 彼女達は、食後に必ず化粧室に寄って、化粧直しをする。
 未だに化粧をしていない私は、時間をかけて丁寧に歯磨きをして、最後に透明のリップクリームを塗る。これで終わり。
 しかし、私がわざと時間を掛けて歯磨きをしても、彼女達はまだ、コンパクトからスポンジに移したファンデーションを肌に滑らせているところだ。最終工程である、口紅までの道程はまだ遠い。
「翠月(みつき)は、化粧しないの?」
 朱莉が、ふわふわしたブラシで頬紅を取り、ピンクに染まったブラシの先を頬の上で踊らせながら、私に尋ねた。少し顔をこちらに向けると、緩やかに巻かれた髪の先が揺れた。薄く光に透けるブラウンの髪色が美しい。
「うーん、今までしてこなかったら、よく分からないんだよね。あはは」
 私は、半分笑いながら答えた。朱莉の血色のある艷やかな顔に見つめられると、自分の顔がまるで平らな能面のように思えて、思わず右掌で顔の右側を覆った。
「そうなんだ。似合いそうなのに、もったいなーい」
 朱莉はそう言いながら、鏡の中の自分へと目線を戻した。
 朱莉の隣の鏡の前に立つ桃華は、「本当にねー」と、朱莉に同調しながらも、気持ちは自分のメイクの乗り具合に向いているようだ。小さな顔を鏡に顔を近づけて、顔を左右に向けながら、アラがないかを丹念に確認している。
 私は、ニコニコした顔をしながら、二人が全ての工程を終えるのを待っていた。私の微笑みは、顔に刻まれつつある。入社してから、誰かと話していると、化粧をしていないお粗末な素顔をまじまじと見られている気がして、とても恥ずかしくなった。それでも、それを気にしているとは思われたくなくて、必死に笑顔を作っていた。
 朱莉と桃華が、化粧ポーチから同時に口紅を取り出した。どうやら、この時間はもうすぐ終わるようだ。

          ❋

 初めての給料が、新しく開設した自分の銀行口座に振り込まれた。私は、初めてのお給料で何を買うかを決めていた。仕事を終えると、会社近くの大きな銀行のATMで、5万円を引き出した。
 この日、私が向かった先は、駅の近くにある大手デパートだった。デパートの地下の食品売り場には、自分へのご褒美にケーキを買いに行ったことはあるけれど、地上階の洋服売り場や化粧品売り場には行ったことがなかった。
 今日は、2階の化粧品売り場に行こう。私は、とうとう化粧品を買うことを決意した。 入口を潜って、たった一階分をエスカレーターで昇ればいい。エスカレーターに身体を乗せれば、後は勝手に目的階まで運んでくれる。
 たったそれだけなのに、中々足が向かない。上階から流れてくる微かな香水の香りが、何もお洒落を纏っていない私には重く感じる。エスカレーターに乗っていく女性達は誰もが華やかで、私には行く資格がないとさえ思えてきた。
 私は、地下の食品売り場へと逃げ込んで、気持ちを落ち着けようとした。ここでは、皆が興味あるのは、透明なケースに並んだ惣菜や菓子達だ。まるで舞台で踊っているように、どの商品も明るいライトに照らされて、自分の一番美しい姿を行き交う客に魅せている。私の顔なんて、気にする人は誰もいない。だから、ここは落ち着くのだ。
 一時間、食品売り場をぐるぐると周り歩き回ったけれど、とうとう私は2階へと続くエスカレーターに乗る勇気を持てなかった。
 ただ、とぼとぼと帰路につき、いつもの電車に揺られながら、自宅の最寄駅に向かった。仕事から帰る人々で、電車の椅子は既に一杯だ。私は吊革を掴んで立ち、窓硝子に映る自分を見つめる。朝は、外の景色がよく見えるのに、夜は光が反射して、明るい車内にいる自分の顔がよく見えてしまうから嫌いだ。変えたいのに、変えられない自分が嫌いだ。

          ❋

 最寄駅に到着すると、私の足は自宅ではなく、ドラッグストアに向かっていた。夜8時でも眩しいほど明るく、扉もなく広く入口が開放されている店内に、私は吸い込まれる。
 私は、ストアを入ってすぐ左手にある階段を昇った。2階には、化粧品売り場がある。
 閉店30分前のフロアには、大学生と会社帰りらしき人が、3人ほどいた。皆、店内をゆっくりと歩きながら、真剣に商品を見定め、手の甲に色を乗せてアイテムを試している。
 私も、真似をして歩き出してみる。化粧品のメーカー、ブランド別にコーナーが設けられ、そこに口紅やらアイシャドウやらが、ぎっしりと詰め込まれている。どうやら、新作が一番上段にディスプレイされているようだ。
 私は、ある棚の前で足を止めた。そこには、整然と並んだ色とりどりの化粧品たちと一緒に、大きなポスターが貼られている。ポスターの中の女の子は、黄色やオレンジ色、黄緑色のカラフルな色に囲まれて、溢れんばかりの笑顔でポーズを取っていた。
 
「お客様、大丈夫ですか」
 突然、柔らかな声が聞こえた。
 私は、ポスターをただ眺めていたつもりだったのに、いつの間にか涙を流していたことに気が付く。
「すみません、大丈夫です。あはは」
 慌てて笑顔を作ろうとしたものの、涙は止まらず、私は右手で顔を隠すようにして、声だけ明るく振る舞った。
「お探しのものがあれば、一緒に探します。何でも相談してください」
 声を掛けてくれた彼女は、優しい視線を私に向けて、水色のハンカチを差し出してくれた。
 そのハンカチは、きちんとアイロンが掛けられていて、ふわりと花の香りがした。
「ありがとうございます‥‥‥」
 花の香りに誘われるように、控えめにマニキュアが塗られた美しい手から、私はハンカチを受け取った。

 彼女は、私を落ち着けるために、椅子に座らせてくれた。ここは化粧品を試したり、買い求める人のためのカウンターだけれど、「そんなことは気にしないで」と言うように、私の背中を優しく撫でていてくれた。そして、私が話し出すのを、ただただ待っていてくれた。
 彼女は、私よりも大人で、落ち着いた女性だ。黒く透き通った瞳は、静かな湖の水面のようで、初めて会った人のはずなのに、私は遊び慣れた故郷の川辺にいるような安心感に包まれた。
 すると、私の心の中で堰がボロボロと崩れ出し、そこに溜まっていた悔しさや恥ずかしさが、涙となり鼻水となり、一気に溢れ出て来てしまった。
 私は泣きじゃくりながら、彼女に色々な思いを吐露した。今まで、全く化粧に興味がなかったこと、働き始めた途端に周りの目が気になって素顔でいることが恥ずかしくなってしまったこと、無理して笑うことに疲弊していること。
 そして、この状況を脱するために、化粧品を買おうといざデパートに行ったものの、どうしても化粧品売り場に近寄ることができず、最後に辿り着いたのがここであること――。
 私の話は、嗚咽を交えながら話す順序も滅茶苦茶で、聴く側にとっては酷いものだったと思う。それでも彼女は、私がひとしきり話し終えると、
「ここに来てくれて、ありがとうございます」と言って、私の冷えた手を温かく包んでくれた。

 彼女の名前は、青木さんという。私はひとしきり話すと、彼女の胸元のネームプレートを確認できるほどに落ち着いた。
 青木さんは、私の呼吸が落ち着いてきたことを確認し、「少々お待ちくださいね」と言って、小さな籠を片手に売り場へと歩いていった。
 ふと、カウンターにある丸い卓上鏡に映る自分と目が合った。泣き腫らした目は、真っ赤に充血して、酷い顔をしている。
 私って、こんな顔してたっけ。いつも見ている私と違う顔。私の本当の顔はこうだったっけと、頭が混乱しそうになる。
 暫くすると、青木さんが戻ってきた。手元の籠には、いくつかの化粧品が入っており、一つずつカウンターの上に並べ始める。彼女の指先は、ほんのりと桜色のマニキュアで染められていて、すらりとした指で物を並べる様は、艶があって色気すら感じる。
「青木さんは、何でお化粧をしているんですか。この仕事を選ばれたのは、どうしてですか」
 初めて会った人に、いきなりこんな質問をふっかけて、私は失礼な客だ。でも、どうしても聞きたくなった。「化粧品を買う」そう決めたものの、化粧をする意味や理由を私は明確にできていなかった。ただ、今の素顔を隠したい。それだけが私を動かしていた。
 青木さんは、籠の中の小さな化粧品達を一通り並べ終えると、私の不躾な問いかけにも穏やかに答えてくれた。
「以前、私は違う仕事をしていたんです。今よりも、自分のことに構っていられませんでした。ある日、たまたまプレゼントで頂いたチークを入れたら、「今日は顔色が良いね」なんて人から言われることがあって。私、そんなに疲れた顔してたのかぁって気が付いてからは、生活習慣の見直しと一緒に、チークの色を変えたり、眉の書き方を変えたり、メイクを研究し始めたんです。毎朝、今日はどうしてやろうかな、なんて考えるようになって、どんどんメイクが好きになって‥‥‥。結局、メイクに関われる仕事を探していました」
 青木さんは、最後に「単純ですよね」と言って、ふふっと笑った。彼女は、遠慮しがちに笑う。でも、その笑顔はとてもチャーミングだ。
「私も、お化粧を好きになれるのかな‥‥‥」
 私が小さく呟くと、
「お化粧は、義務ではないですからね。無理に好きになる必要はないですよ」
と彼女から意外な言葉が返ってきた。
「ただ、今のお客様には、お化粧がお手伝いできることがあるかもしれません」
 青木さんがそう言ったその時、閉店時間を知らせる音楽が流れてきた。
「お客様に合いそうなものを、いくつか選んでみました。見本品を試してみませんか」
 レコードから流したような、少し掠れた音の「別れのワルツ」が流れ始めても、青木さんは私のために時間を割こうとしてくれる。私は、閉店する直前に居座る迷惑な客になっていることが申し訳なくて、「全部買うので、お会計してください!」と押し切った。

          ❋

 家に着いてから、コンビニで買ったお弁当を食べて、熱めのお風呂を沸かした。私は、先程のドラッグストアでの出来事を回想して、恥ずかしさのあまり湯船の中で悶絶した。人前で子どものように泣くなんて、一体何年ぶりだろう。
 リビングのソファで、冷たい牛乳の入ったグラスを片手に落ち着くことができたのは、夜中の0時近くだった。
「 4千円しなかったな‥‥‥」
 ドラッグストアのレシートを見ながら、気の抜けた声が出た。いくらかかるか分からないから、気合いを入れて銀行から5万円もお金を引き出したけれど、私の化粧の第一歩は思っていたよりも安価で済んだ。
 青木さんが勧めてくれたものは、
・日焼け止め効果のある化粧下地クリーム
・ベージュのアイシャドウ
・色付きリップクリーム
の3つだった。それに、ミルクタイプのメイク落としを付けてくれた。
 一つ一つの品には、小さな付箋が付いていて、「お客様は、肌も奇麗ですし、少し肌色の付いたクリームでツヤを足せば十分です」、「このリップクリームは、薄いピンク色になるんです。口紅ほどしっかり発色しないけれど、普段の延長線上で使えると思いますよ。」、「アイシャドウは、指に取って、軽く瞼を往復させればOKです」といったメッセージが書き込まれていた。
 彼女は、いつの間に書いたのだろう。一人で立ち向かおうとしていた未知の世界に、背中を押してくれる心強い味方ができたようで、付箋に書かれたかわいらしい文字を撫でながら、暖かい気持ちになった。
 私は、化粧品一式の入ったドラッグストアの買い物袋を抱えて洗面所に行くと、洗面台の鏡の前に中身を全て並べた。
 目の前の鏡には、泣き腫らした目も落ち着いた、いつもの私の顔が映っている。私は、化粧水等のスキンケアを簡単に終えると、早速、化粧の練習に取り掛かることにした。明日、仕事はお休み。金曜日の夜は長い。

          ❋

 次の週の月曜の朝、私は化粧をした。
 いつもより、ほんの少し明るくて、ほんの少しツヤのある肌。瞬きをすると、アイシャドウのパールが、控え目に煌めく。リップクリームが、唇にほんのり血色を与えてくれる。
 他人からみれば、それはとても薄化粧なのだろう。もしかしたら、誰にも気付かれない程に。それでも、私の心は朝からずっとドキドキしていた。
 胸の高鳴りと同時に、不安もあった。出社して、その日初めて自分の名前を呼ばれた時、少しどきりとした。顔を向けたら、いつもと違うことを変だと思われないか、訝しい目で見られないか、そんなことを考えていた。
 けれど、そんな不安は必要なかった。話しかけてきた同僚は、いつも通り挨拶をしたり、時折眼鏡の縁に触れながら、商品単価の変更や在庫調整の話など、仕事の話をしてくるだけだった。
 私は、今日は不思議と、相手の視線がいつもより気にならないことに気が付く。化粧という薄いベールを被り、素顔を見られていないと思えるだけで、気持ちが軽くなった気がした。

 その日の午後、朱莉が私のデスクまでやって来た。新人社員研修を終えて、私は朱莉と桃華と異なるの部署に配属され、今では二人とランチに行くことも殆どなくなっていた。
「仕事どう? 元気にしてる?」
 朱莉は、小さな声で話しかけてきた。続けて、用事のついでにここに寄ったと言うが、どうやら私の様子を気にかけて来てくれたらしい。
「うん。何とかやってるよ」
私がパソコンに入力する手を止めて、朱莉の方に顔を向けると、朱莉はすぐに私の変化に気が付いた。
「あれ? 翠月、今日少しメイクしてる?」
 さすが、朱莉だ。周りの人や状況の変化に対する反応が早い。時に、人の考えを先回りする機転の良さは、彼女の強みだ。
「うん。少しだけ」と、私は前髪を触りながら答える。朱莉がどんなことを言うのか、少し怖くて身構えた。
「うん、いいね。いい感じ!」
 突然、朱莉のコーラルピンクで縁取られた形の良い口元が弾ける。朱莉の声が少し大きかったものだから、先輩社員の視線がぴしりと刺さった。
 それを察した朱莉は、「あ、それじゃあ、この書類、よろしくお願いしまーす」と言って、存在しない書類を私に渡す素振りをして早々に退散した。帰り際、「また、桃華と 3人でランチ行こうね」と、小声で言い残して。

 会社帰りに、あのドラッグストアに寄って、青木さんにお礼を言おう。この間、勝手に号泣し、一方的な質問だけして、さっさと帰ってしまった失礼を謝らなければ。
 そう思ってはいたものの、すぐに月末の繁忙期に差し掛かり、残業が続くと、最寄駅に到着する頃にはドラッグストアの閉店時間を過ぎてしまっていた。
 私は、まだ慣れない月次業務に注意を払う。膨大な量の仕入・売上情報を、入力した数字に間違いがないか詳細にチェックしていく。A4用紙に並ぶとても小さな数字を見ていると、目が疲れて首が固まってくる。それでも、素顔を誰に見られることもない安心感からなのか、気持ちは前よりずっと楽だった。

          ❋

 その週の土曜の夜、私は青木さんのいるドラッグストアに行った。2階の化粧品売り場は、色とりどりの化粧品に蛍光灯の白い光が反射して、何色もの光を携えているようだった。あまりの明るさに一瞬目が眩んで、虹のように見えた。
 青木さんは、私を見つけると「いらっしゃいませ」と笑顔で迎えてくれた。私は、客が落ち着いた頃を見計らい、彼女にお礼とお詫びを伝えた。
「お仕事、いかがですか?」
 青木さんが私に尋ねる。
「何とか一週間を乗り切れました。青木さんのおかげで、お化粧もできました。本当にありがとうございます」
 私がそう答えると、青木さんは私の顔をじっと見た気がした。
 私は、その視線にギクリとして、動揺してしまう。今日は、どうしても気が乗らなくて化粧をしていない。せっかく化粧品をお勧めしてくれたのに、素顔で来てしまったから、がっかりさせてしまったかもしれない。そんな考えが、頭の中を巡って目が泳いでしまう。
 すると、青木さんはにっこりと微笑んで、
「そちらの方が素敵ですよ」と言った。
 思ってもいなかった言葉に、思わず「え?」と聞き返してしまった。
 言葉の意味を理解できずにいると、「お客様の笑顔、とても素敵です」と、彼女は百合のように清くてまっすぐな満面の笑みを返してくれたのだった。

 ドラッグストアから家への帰路は、胃がふわふわと浮くような、不思議な感覚だった。
街頭はオレンジ色に灯り、道沿いの飲食店やカラオケ店の看板は、赤や黄色や緑色に彩られている。どこかの居酒屋から、焼き鳥の香ばしい香りが流れてきた。
 心地よい春の夜風が頬を撫でてゆくと、ふと頬がつれる感覚がないことに気が付く。そう言えば、今週は無理にニコニコと笑うことが少なかったかもしれない。
 信号を待つ間、目の前にある美容室のガラス戸に映る自分の姿を眺めていた。閉店後の美容室は、人の気配がすっかり消えて真っ暗で、化粧をしていないすっぴんの私だけが、こちらを見つめ返していた。
 私は、「あれ?」と思う。
 私は素顔が嫌いで、恥ずかしくて、見られるのが怖かった。その気持ちを隠したくて、笑顔を作って誤魔化していた。でも、ほんの少しだけ化粧をしたら、素顔を見られていない安心感から、無理に笑顔を作らなくて良くなった。そして、今はその化粧をしていない。でも、今の私は‥‥‥。

          ❋

 翌朝、目が覚めると、窓から明るく柔らかな日差しが差し込んでいた。鳥の囀りが、芽吹く春を賛美している。
 私は、洗面台で顔を洗うと、鏡に映った自分に向かって笑いかけてみる。
 鏡の中の私は、にっこりと笑い返してきた。作り笑顔でも、私が嫌いだった私の顔とも違う、すっきりとした笑顔だった。
「おはよう。今日もよろしくね」
 私は、もう一人の私に語りかける。
 さぁ、朝だ。今日は天気が良いから、外にに行こう。自転車に乗って、公園に行こうかな。きっと、家族連れや犬の散歩に来ている人達がたくさんいるだろう。
 でも、大丈夫。私はもう怖くない。

(完)

※この作品は、以前noteで連載した同名小説を、修正・加筆したものです。
内容を一部変更しています。

いつも応援ありがとうございます🌸 いただいたサポートは、今後の活動に役立てていきます。 現在の目標は、「小説を冊子にしてネット上で小説を読む機会の少ない方々に知ってもらう機会を作る!」ということです。 ☆アイコンイラストは、秋月林檎さんの作品です。