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人前で話すということ

こんにちは。みなと計画の橋本です。

どちらかというと「聴く」ことについてお話しする機会が多いですが、「話す」ということもこういう活動をしている以上、避けては通れないものです。

そして私はそれがとても苦手です。

元来上がり症なのでいざお話しする時に、思ったことが上手く言葉に出来ず、しどろもどろして後から自己嫌悪に陥ります。

例えばワークショップなどで最初に一人ずつ自己紹介をする場面がよくありますが、そんな時はなにを話せばよいか頭の中で必死に考えるので、結局他の人の話しが頭に入らないという本末転倒な状況にも陥りがちです。

さて、そんな口下手な人間ですが、2週間後に大学で1コマお話しをするご縁を頂きました。90分の長尺は今年度初ですし、一年に何度もある機会ではないため、準備に取り掛かる前に自分で課している「人前で話すときの掟」に向き合うこととしました。

※これは洗練されたスキルではなく、口下手の人間が実戦叩き上げの末に得たド根性手法ですので、「こういうやり方もあるんだね」ぐらいにご笑覧下さい。


掟1.同じ話しは二度としない

いかにもなイメージ画像ですが自分で撮影するのは大変なのでありがたい

当然といえば当然ですが、同じ内容を求められても、同じ環境(時間、参加者、人数、部屋の大きさ、地域などなど)で話せることは二度とないので、まったく同じスライドを使用して同じ言葉で話すことはまずしません。

同じ内容であっても、前回話したときに「これを入れたら良かったかも?」とか、時間がたつと新たな視点や情報も増えるので、それらを加えていくと、バージョンアップが必然的に行われます。

逆に、このバージョンアップを行えないとその事業や自分自身が成長していないことになるので、意地でも内容を変えます。

例えば、自分がフィールドにしている商店街の活性化事例をお話しするときに、そのポイントを3つほどに整理してお伝えしますが、これも毎回ちょっとずつ変化していきます。

成功の秘訣が毎回変わるのはおかしいだろ!と思われるかもしれませんが、そもそも成功している訳ではなく、まだまだ試行錯誤の途上であり、その過程で今はこれがポイントだと思ってお伝えしているだけにすぎません。

だから時間が立てば抜けていた視点に気づかされたり、より最適な表現を見つけられることがあるため、「現時点での最新の考えです」とお断りをしてお話しします。

掟2.お土産を用意する

ちなみにフリー素材サイトの有料会員ですがプレゼン資料作りには欠かせません

お時間を割いて頂く方々に向けて、なにか一つでもお持ち帰り頂けるようなことを用意します。

聴いたことは20分たてば40%、1日たてば70%忘れてしまうとも言われていますので、その場でせっかく熱心にお聴き頂いていても、メモなどお手元に残るものがなければ明日にはほとんど忘れてしまうでしょう(自分自身はそうです)。

そこで、ポイントを思い出せるように、分かりやすく例えた数字や今日から使えそうな小ネタをあしらった資料を配布したり、話しにちなんだ現物(お菓子とか)をお配りしたり、手触りのある物としてお持ち帰り頂けるような工夫をしています。

最近では、お話しの内容をざっくり四象限に分けたA3サイズ1枚の概要版を配布しています。

スライドそのものを印刷してお渡しするのがオーソドックスですが、それよりもさらに要点をしぼってテキストや図で示し、これだけ抑えておけば今日のお話しで伝えたいことは最低限整理できます、の方が親切かと思います(スライド印刷はそもそも枚数が多くて持ち帰るのも見返すのも大変…)。

さらにその概要版は、空欄も幾つかあって、ポイントごとにお伝えをして記入してもらいます。
最初から答えが書いてあるより、自分で気づいて記入する方が印象に残ると考えてのことです。

ちなみに、スライド資料を最初から配布すると、さっさと先のスライドを見てしまいオチもなんもかんも分かってしまうのも難です。
これはセットリストが最初からわかるライブみたいで、内容は良くても魅力が半減すると思っています。

掟3.仕上げの1000本ノック

意外とノックの写真素材が少なかったです

プレゼン資料が出来た時点で少しほっとしますが、実はここからが正念場です。

出来た資料を元に、実際にお話しをする感じで声に出して何度も練習をします。
1000本はさすがに言い過ぎですが、5~10分の内容なら100回近くは繰り返します。

声に出して練習してみると、スライドのつながりがどうにも悪かったり、時間が想定以上にかかったりと、様々なことに気づきます。
そうして修正を加えながら何度も繰り返し、うんざりするほどひたすら練習です。

この練習で一番大事なのは、自分の言葉=言霊になるまで練り込むことです。

声に出していると、「なんかこれただ説明しているだけで面白くないな」と感じることがあります。
説明するだけなら資料を読めばすむことですが、そうではなくどの言葉も、自分の魂を乗せて発することが出来ているか?が大事なので、それを問いながら、より最適な言葉を選び、しっかり体重を乗せて話せるようにしていきます。

そこまで行ってようやく自分の言葉として話せるまでになります。

プレゼンの成否は、この練習量が最も大事だと思っています。

おまけの掟.でも聴くかどうかはあなた次第

帰って良いとは言っていない

1000本ノックも終わればあとは本番です。
これだけ準備したのだから、ご参加される方にはぜひ真剣にお聴き頂きたい!と思うところですが、冒頭ではこんなことを話します。

(大学の講義の例)
・あなたにとっては毎日あるたくさんの講義の一つに過ぎないでしょう。
・しかし私にとってはあなたと向き合えるただ一度の機会です。
・だからこの日を楽しみにしつつ、あなたの人生になにがしかの影響があるような、あなたにとって価値があると思うお話しがなにかを考え真剣に準備してきました。
・とはいえ、それを聴くかどうかはあなた次第です。
・他に優先したい勉強をしたい人もいれば、これからの予定のためにひと眠りしておきたい人もいるでしょう。
・他の講義はどうか知りませんが、この時間はあなたが優先したいことを遠慮なくして下さい(講義を聴きたい人の邪魔にならないことなら)。
・出席要件の感想シートには、配布した資料にある要点を書き写せば十分でしょう。
・どのように過ごすのも自由です。ただし、ご自分の意志でそれを選択して下さい。


土俵の外から観覧するのではなく、土俵に上がってきて相撲を取ろうというお気持ちになってもらいたいと思い、これをお伝えしています。
このように一人一人と角を突き合わせて向き合えるように土俵を整えることが、場の質感を左右すると感じています。

その意味で、まさに真剣勝負。

人前で話すというのは、それがどのような場であれそういうものだ、と肝に銘じています。


いま、EBETSUtoのPRで各大学に訪問をしてお話しする機会を多く頂いていて、そのほとんどは、若きコーディネーター陣が担当しています。

話し方について私からどうこうお伝えすることはほぼないのですが、きっとそれぞれに実践しながら自分なりの「掟」を見つけていくだろうと思っています。

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