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【映画鳩】ラストナイト・イン・ソーホー、ヒューマン・ボイス

夢と現実が混沌としていく系の映像、結構好きなので、そういうタイプの映画っぽい、というのを探し当てて「ラストナイト・イン・ソーホー」を見ました。ポスターもいい感じだよね。
「ヒューマン・ボイス」の方は、ティルダ・スウィントンの一人芝居、という情報が先にあり、映像で一人芝居か〜おもしろそ〜ということで鑑賞。



(注:以下ネタバレあります)


ラストナイト・イン・ソーホー

ざっくりとしたあらすじ:1960年代のイギリスに想いを馳せる、ファッション科学生のエロイーズ。ある夜、1960年代に歌手を夢見るサンディという女性を夢に見る。だんだんとエロイーズとサンディ、夢と現実が入り混じっていく……。

現実と夢の混同ではなく、現実と過去の出来事(の夢)との混同だったので、思っていたものとは違ったのですが、それでも面白かった。

主人公・エロイーズが純朴な少女で、そのフィルターを通して世界を見るので、サンディの境遇の悲惨さが浮き彫りになる。発端はもしかしたらどこにでもありふれた話なのかもしれないけれども、それでもエロイーズはサンディに同情するし、同じように悲しむし恐れる。あれが過去の出来事でなく、ただの夢だったら、エロイーズが叩く鏡をサンディは見てくれたんだろうか。

ラストに正義漢ぶってサンディを責めないのも、良いなと思うわけです。もちろんサンディも悪ではあるけれども、あの場でエロイーズを突き放すサンディに、人の心がなかったわけではない。サンディを壊したのは結局のところ、その過去の亡霊たちであり、エロイーズはその恐ろしさを追体験してしまったから、サンディを責めることはできなかったんだろうなあ。

一番最後のカット、ものすごく可愛かった……。サンディはエロイーズに共感してもらえて、少しは救われたのかもね。
全編通して1960年代ルックが可愛く、エロイーズの憧れとしての描写が詰まっていて良かった。鑑賞者としても鮮やかで可愛くて楽しい。

2020年代を舞台とすると1960年代はそこまで遠くなく、まだまだその時代を知る人たちが生きているわけで、過去と現在を繋げる物語にするには、絶妙な設定なんだろうなと思いました。


ヒューマン・ボイス

ざっくりとしたあらすじ:恋人が家に帰って来なくなって3日……。(ほぼ)電話での会話だけで進んでいく一人芝居。
※必要なネタバレ:犬は無事(ちょっと心配した)

話題になっていたのは知っていて、このたびようやく思い出して見ましたが、め、めんどくせえ〜〜〜〜〜〜〜!!!!! めんどくさない? この女、めんどくさないですか? "メンヘラ"じゃん、と俗っぽい言葉を使えばそう思ったわけですが、"メンヘラ"という言葉を知ってしまったばかりに、それ以上のキャラクターの追求ができなくなってしまったんだろうか、とも思ったり。まあともかく、こういうお話は向いていないんですよね、知ってたけどさ……。ただし別れの言葉ひとつ顔見て言えずに、未練で電話してくるような男、お前もだめです。そんなんだから浮気するんだろ(言及されていないけれども、なんかそんな感じがする)。
音信不通の3日間とあの電話のうちで、どう心境が変わったのか正直読み取れなかったのですが、まあでも、あのラストで良かったのだと思う。恋人と別れても明日もあるので、まずは犬とふたたび関係構築するところから始めるのだ。

ほぼ一人芝居で、電話の相手の反応やキャラクターなどが見えてくるのはやはりすごかった。演技の力。30分程度の作品なので、ちょっと見てみたい方にはおすすめです。
あと、タイトルの工具を使ったフォント、絶妙な読みにくさがあり、ぁ丶)ι日@≠″ャ」レ文字を思レヽ出ιまιナニ。


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